お盆休みの後半、古くからの友人たちの家族と高山、平湯温泉へ一泊旅行に出かけました。高山市内で2時間ほど時間が取れたので、市内の近代建築を駆け足ですが巡ることができました。高山市内を南北に流れる宮川沿いにある伝統的建造物群保存地区には、江戸から明治、戦前にかけて建てられた伝統的な町家建築が建ち並んでいますが、明治以降に建てられた西洋の技術を取り入れた洋風建築も数は少ないながら点在しています。
高山市政記念館(旧高山町役場)は三町伝統的建造物群保存地区の南の端、高山陣屋の東に位置し、古い町並みを見渡すように建っています。中橋に通じる道路に面した建物の北側に正門があり、正面には二つの玄関が東西に並んでいます。
外観は和洋折衷の明治建築で、明治28年町役場として竣工、高山市役所(昭和11年)、公民館(昭和43年)を経て、昭和61年高山市政記念館として開館し、古くは高山町から現在の高山市にいたる行政資料を保存展示しています。
建物を手がけたのは飛騨の名工といわれた大工棟梁坂下甚吉。甚吉は伝統的技法を基本としながらも洋風建築を巧みに取り入れ、優れた高山の洋風建築を多数手がけ、旧高山測候所は山岳資料館として「飛騨の里」で保存されています。
◆高山市政記念館(旧高山町役場)/岐阜県高山市神明町4-15
竣工:明治28年(1895)
設計・施工:棟梁坂下甚吉
構造:入母屋造桟瓦葺木造2階建
撮影:2012/08/18
※高山市指定文化財
■正門から西玄関を望む
■東門から建物を望む
■建物北側正面~同形式の玄関が二つ並び向かって左側が事務室、右側が2階議場への出入り口になっている
■西玄関(向かって右)~東西両玄関ともむくり屋根、ガラス窓は高山で初めて導入された
■東玄関(向かって左)~手前の花の連続模様の鉄欄は、東京の鋳物問屋に注文した特注品で、太平洋戦争で供出後復元されたもの
■西玄関の照明
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