かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

上野公園(1)東京国立博物館本館(旧帝室博物館)・表慶館/台東区

2018-01-14 | 東京の近代建築

上野の森は戦前築の博物館、美術館、図書館、東京芸大キャンパスの建物などが数多く残されていて、まさに近代建築の宝庫です。
今回は上野公園に現存する近代建築を巡ります。


■東京国立博物館本館(旧帝室博物館)/台東区上野公園13-9
 竣工:昭和12年(1937)
 設計:渡辺仁+宮内省
 施工:大林組
 構造:SRC造地上2階、地下2階
 撮影:2017/08/12
 ※国指定重要文化財



コンクリートの躯体に伝統的な瓦屋根をのせた、いわゆる「帝冠様式」の代表作。昭和6年に公募された設計競技(コンペ)の募集要項に「日本趣味を基調とする東洋式」という規定があったため、渡辺仁の当選案もそれに沿ったものですが、それに反発した日本インターナショナル建築会が不参加を声明しました。
そんななかで、近代建築の巨匠ル・コルビュジエの事務所で修業した前川國男は、落選覚悟でインターナショナル・スタイルの設計案で応募、自己のスタイルを貫いた建築家として有名になりました。
様式を自在に駆使し応募規定に沿って設計する渡辺と、あくまで自分のスタイルを曲げない前川。どちらもまさにプロフェッショナルと呼ぶにふさわしい建築家です。


■東京国立博物館表慶館/台東区上野公園13-9
 竣工:明治41年(1908)
 設計:片山東熊+高山幸次郎
 施工:新家孝正
 構造:煉瓦造2階石貼り
 撮影:2017/08/12
 ※国指定重要文化財



大正天皇の御成婚を記念して建てられた美術館。設計は赤坂離宮(迎賓館)を手がけた宮廷建築家片山東熊で、中央に巨大ドームを設け両翼にも小ドームをのせた典型的なネオバロック様式の建物。