かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

丸の内~有楽町(4)明治生命館/千代田区

2017-08-22 | 東京の近代建築

皇居側馬場先濠に面して立つ戦前のオフィスビルですが、東隣の三菱一号館とはスケールが違います。お堀に面したファサードに10本のコリント式ジャイアントオーダーが立ち並ぶ威風堂々とした古典様式の建築は、明治以来先人たちが西洋から学んできた歴史様式建築の最後の到達点と言われています。

大正末から昭和初期にかけて、銀行や保険会社をはじめとするオフィスビルは、アメリカンボザールというアメリカナイズされた古典主義建築が黄金期を迎えます。現存する三井本館や明治生命館はその代表で、戦後に建てられたビルは装飾排除のインターナショナル・スタイル一色になってしまいます。

構造設計は日本の耐震構造技術の生みの親内藤多仲が担当、昭和期に建てられた建造物としては初めて重要文化財に指定されました。明治~戦前期の近代建築はまさに百花繚乱、咲き乱れた様式建築という華麗な花々の最後の大輪のひとつが明治生命館です。ツルピカの高層ビルが林立する丸の内のオフィスビルに囲まれて、明治生命館は平成の現在でもその圧倒的な造形美と存在感で、時代を超えてひときわその輝きを増しています。


■一階を石積み、2階以上を列柱、最上階に窓を並べる三層構成は、大規模な古典様式オフィスビルの定番



■こちらも背後には高層ビルがそびえます



■アカンサスの葉をかたどった精緻な彫刻がほどこされたコリント式ジャイアントオーダーは圧巻



◆明治生命保険相互会社本社本館/千代田区丸の内2-1-1
 竣工:昭和9年(1934)
 設計:岡田信一郎
 施工:竹中工務店
 構造:SRC地上8階、地下2階建、屋上塔屋付
 撮影:2017/08/11
 ※国指定重要文化財