かどの煙草屋までの旅 

路上散策で見つけた気になるものたち…
ちょっと昔の近代の風景に心惹かれます

旧今泉医院診療棟(愛知県豊川市)

2014-06-22 | 東三河の近代建築

 旧御津郵便局を後に県道384号線を南に向かい、今回最後の探訪物件旧今泉医院を目指しました。東海道線の踏切を超え、東三河環状線から住宅街の細い路地に入りしばらく歩くと、敬圓寺という大きなお寺のすぐ南側、木立に囲まれた閑静な一角にお目当ての建物は建っていました。ひと目で戦前に建てられた西洋館だと分かる怪しくも重厚なたたずまいは、まさに長い年月をを経て醸し出された本物だけが持つヴィンテージ感が漂います。

 西側道路に面した診療棟は昭和2年築、1階の外壁はドイツ壁、2階は洗出し仕上げで大正~昭和初に各地で見られた典型的な洋風建築の意匠を備えています。西側ファサードは左右対称で、中央玄関部にバルコニー付の大きな車寄を設け、その上に医院名のレリーフが施された額を掲げています。玄関車寄の意匠や窓割り、建物両隅を張り出して強調した外観は、ルネサンス、バロック建築の様式を取り入れた手法で、当時の洋風建築の姿をよく残しています。

 今回は一日で新城~豊川の飯田線、東海道線沿線をまわったので取りこぼした物件も多く、近いうちの「奥三河~東三河地域建築探訪パート2」の決行を心に決め帰路に就きました。
 

◆旧今泉医院診療棟/愛知県豊川市御津町御馬西37
 竣工:昭和2年(1927)
 構造:木造平屋一部2階建
 撮影:2014/05/03
 ※国指定登録文化財
 (同敷地内に隣接する和風意匠の病室棟と、前庭に残る手洗い場も国の定登録文化財に指定されています)
 
 
■建物西側正面



■建物北側



■窓割りのデザインに大正~昭和の洋館らしさが漂う



■洋風意匠が際立つ車寄



■右から書かれた医院名に時代を感じる