次は、「伝松平伊豆守旧蔵謡本」(江戸時代、紙本墨書、24.5/18cm、
5帖(98帖野内)、東京・法政大学鴻山文庫所蔵)。九種の色替わり表紙
をもつ綴葉装の豪華版。本文は近衛流を示すが、書風の異なる数人の
手になる物と考えられる。慶長年間の頃の成立と推定。
表紙には、金銀泥で曲にちなむ絵が描かれており、「善知鳥」では
裏拍子に外の浜の景観、そして表紙には僧が漁師のために手向けた蓑
笠に向かって回向している様子が説明的に表されている。
「富士太鼓」では、宮中で行われる管弦の催しに際し太鼓の名手と
出会った富士が殺害されたという内容にちなみ、表紙には雅楽の太鼓
と藤の花を大きく配され、特に藤の花は“富士”との音通から採用され
たと思われる。
“杜若”“舟橋”は単純にタイトルをそのまま絵画表現は説明のようで、
また象徴的のようで一貫していないようにみえ、定型表現が成立した
わけではないという。
TNM(台東区上野公園13-9)
5帖(98帖野内)、東京・法政大学鴻山文庫所蔵)。九種の色替わり表紙
をもつ綴葉装の豪華版。本文は近衛流を示すが、書風の異なる数人の
手になる物と考えられる。慶長年間の頃の成立と推定。
表紙には、金銀泥で曲にちなむ絵が描かれており、「善知鳥」では
裏拍子に外の浜の景観、そして表紙には僧が漁師のために手向けた蓑
笠に向かって回向している様子が説明的に表されている。
「富士太鼓」では、宮中で行われる管弦の催しに際し太鼓の名手と
出会った富士が殺害されたという内容にちなみ、表紙には雅楽の太鼓
と藤の花を大きく配され、特に藤の花は“富士”との音通から採用され
たと思われる。
“杜若”“舟橋”は単純にタイトルをそのまま絵画表現は説明のようで、
また象徴的のようで一貫していないようにみえ、定型表現が成立した
わけではないという。
TNM(台東区上野公園13-9)