塩哲の色不異空

日々の思いを気の向くままに

ミュージアム巡り 光悦の大宇宙 観世身愛奧書謡本

2024-07-26 04:48:51 | ミュージアム巡り_2024
 次は、「観世身愛奧書謡本」(慶長11年・1606、紙本雲母擂絵・金銀
泥下絵墨書、24.9/17.7cm、一帖、奈良・大和文華館所蔵)は、観世九
世太夫・身愛が章句をつけた50帖からなる豪華版謡本。
 本作には“藍染川”が納められ、“放生川”“昭君”“松川鏡”“鵜羽”“鍾
馗”の現存が知られている。これは金座の経営・管理を担う後藤庄三郎
に贈られたことが奥書辛判明され、“後藤本”と称される。
 表紙や本文料紙ともに雲母摺りを有し、具引き色替え料紙に金銀泥
絵と彩色を併用しており、肉筆謡本としては高度に複合的な技法を用
いた装飾が見られる。
 ここにある薄や藤、飛蔓等を描く雲母摺りや肉筆画は宗達画を漂わ
せ、本文の書風は光悦流を示すが観世身愛とは別筆で、角倉素庵に比
定する向きもある。雲母摺り文様は「光悦謡本」と呼ばれる一連の坂
本と同版とみられ、特に色替え料紙に雲母文様の特徴が「色替り異装
本」と共通するため、その刊行時期を確認する基準と考えられる。
TNM(台東区上野公園13-9)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Weekdayの麺処巡り くろ㐂 で... | トップ | Weekdayの麺処巡り 向日葵 で... »
最新の画像もっと見る

ミュージアム巡り_2024」カテゴリの最新記事