二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

がん患者学~がんとは何者?!~

2018年05月11日 | 癌(ガン)

 当院には、乳がん、肝臓がん、胃がん、大腸がん等多くはありませんが、ガンを患い、病院において手術や抗がん剤、放射線治療など三大療法を行い、その術後(治療後)の身体ケアのため、あるいは自然治癒力を賦活させるために治療に通院されている患者さんもおられます。

 近年、メディアにおいては芸能人や有名人などのガン闘病記、あるいは死などが報じられるなどしており、やはり、がん=怖い、がん=死、がん=戦い、がん=怒り・悲しみ、などのイメージが出来上がってしまっているのかと感じます。

 確かに、がんを発症すると厄介で、治療や検査という手間がかかることは確かです。

 がんの進行状況によっては、命に危険を及ぼす状態になることもあります。

 発症しないためには、がんを発症しにくい身体をつくっていくこと予防養生といったことが重要となることは、すぐに理解できることかと思います。

 現代は、いろんな形で多くの情報を得ることができる時代です。「これをやればガンにならない」「これを食べるとガンを防げる」「ガンが治った!」などの情報が溢れています。どれが正しいのか、どれが自分にあっているのか、何を選択したらいいのか、本当に信じていいのか、ガンに関する情報だけではないと思いますが、混乱してしまうのが現状なのではないでしょうか。

 また、あるアメリカのある研究では、遺伝的素因あるいは生活習慣など自身の日常生活における行いの素因の他に、偶然、偶発的に発症するガンというものも存在し、比較的多い確率でることも報告されていますので、「自分はこんなにも規則正しい生活習慣をしているのに、なんでガンになるんだ」という事例も、そう考えると納得のいくところです。

 上記の事柄に関して、こちらのブログを参考にしてください

  『がん治療で悩む あなたに贈る言葉~アメリカ在住がん研究者のブログ』

 また、エビデンス(科学的根拠)を求めることは、この医療技術がどれだけの確率で効果があることを知るうえでは大切なことです。しかし、現代科学や医学の研究で全てが分かるわけではありませんし、全ての人、個人個人に効果があるわけではありません。

 そこで、特に「死」を意識するような、ガンという病を持った時に必要なのはナラティブ(物語と対話)だと言われています。患者さん側にしてみれば、自分のこれまで生きてきた歴史(物語)を理解してもらい、この病に対してどう向き合っていきたいかを対話できれば、患者としても素晴らしく満足がいくし、覚悟もできると思います。医療者側としても信頼関係の構築された中で医療技術を提供できます。

 病院や医院、とくに大病院などは、本当にたくさんの患者さんが来院されて分刻みで対応されているので、ナラティブを実現するのは困難な場合も多いかと思います。その点、鍼灸院では、いろんな話をお聞きしながら、施術する場合でも、施術者の手で脈に触れ、腹に触れ、背中に触れ、手足に触れ、対話をしながら施術できることは、ナラティブを実現しやすいと言いますか、そのままナラティブを体現できる施術なのだと思います。

 先ほどからナラティブというお話が出てきておりますが、ガン患者さんは、百人百様の人生劇場を歩まれてきています。また、一人として同じ個体は存在しません。

 現代の日本において、男女ともに死因の第1位はガンです。だからこそ、患者さんの声、患者さんの人生物語に声を傾けて、なぜそのガンが出来てきたのかを医療者、患者さん、そして家族の皆さまが理解していくことが大事なのだと思います。

 そうすれば、ガン再発もかなり予防でき、ガン自体も予防できる世の中となっていくのかもしれないと感じます。

 そんな、がん患者さんの声を下記書籍より抜粋し、いくつか印象に残った言葉をご紹介したいと思います。

 

 『がん患者学Ⅰ 長期生存患者たちに学ぶ』  柳原和子 著  中公文庫 

 昭和8年生まれ、67歳の男性で1992年に重度の進行性胃がんを発症した男性の「頑張ったらだめ、この病気は」より抜粋

 死から目を背けるより、死についてきちんと考えたほうがいいんです。

 この病院(帯津三敬病院)に遊びにくるようになり、多くのガン患者さんと仲良くなりました。病気が病気だから亡くなる方もたくさんいます。私も今までの人生の中で、死をこれほど恐怖したことはなかった。こういう体験をすると人生観が変わりますよね。

 それからの方が、むしろ死を怖がらなくなったかな・・・。

 それは死の恐怖はあるんですけど、そこから目をそらさずに突き抜けていくと、また生に戻ってくるんですね。

 死というのは健康に暮らしている時には、考えずに通り過ぎてしまうものです。人によっては「うちは子どもが自立したし、お墓も買ったし、いつ死んでも平気なんだ」と威勢のいいことを言う人がいます。そうじゃないんですね。死を考えるということは。ぜんぜん、ちがう。

 結局、ストレスの原因は欲なのです。欲があるから人と競争したり、人よりいい暮らしをしたいと思うわけでしょう。ストレスを無くすには欲を捨てればいい。・・・簡単です。

 ところがね、人間というのはなかなか欲が捨てられない。「もうちょっと生きていたい」、これも欲でしょう。

 なかなか捨てられないんだけど、自分の身の丈にあった欲を持てばいいんですよ。不相応な欲じゃなくて。

 僕はこの病気をしてつくづく思うんです。

 お医者さんは病気を良くするのが限度だ。って。良くすることはできても、根本から治すことはできません。治すのは自分であって、医者はその手伝いをするだけ。だけど、そこがよくわかってない人が実に多いような気がします。

 この帯津三敬病院に来ている人たちもそうですけど、いろんなガンの患者さんを見ていると、病気が良くなって、そのままスーッと飛び立っていける人は本当にすくない、と気がつきます。ほとんどいません。

 また良くなったと本人が感じている時が一番危ないんですよ。良くなったと安心して、精神的にも、物理的にも、元の生活に戻ってしまう。だけど、そこから生まれるストレスが病気の原因になっているとしたら・・・元の生活に戻る・・・実際にそれができる人は少ないわけです。

 だいたいの人はそこで帝国ホテルのフォアグラを欲深にも追い求め始めます。

 欲を捨てれば、病気の原因になったはずのいろんなことを処理する決断がつくし、新しい生活を始めようという気持ちになるのにね。

 ガンというのはそういう病気なんですよ。

 力まなくなっちゃったんですね。よく皆さん「がんばれ」なんていって、がんばることが良いことのように言うけど、がんばったらダメになっちゃうんだよね、この病気は。そうじゃなくて、どうやってがんばらずに、楽しく過ごそうかと考える。

 入院患者の中でも、元気になっていく人とそうでない人がいるでしょう。何が一番ちがうかというと、元気になっていく人は皆、プラス思考ですね。病気をしたらこういう出逢いがあったとか、今まで知らなかったことを知ったとか、それだけを聞いていると、なんだか病気をしないと損みたいな錯覚を起こしてしまうくらいプラス思考。

 それは必ずしも持って生まれた性格だけじゃない、本人の努力も大きいんだと思います。

 ガンになんてならないのが一番ですよ(笑)。でも、なったらなったでいいこともある。そういうもんです。

 自分の努力で良くしていけばいいんですよ。

― 抜粋終了―

                    がんばらないことも大切だニャ~

 がん患者さんに限らず、病気にかかっている皆さまにはいろんな状況があり、いろんな環境に置かれていたりしますので、ひとくくりにまとめることは出来ません。病と一緒に過ごしていく人生の一ページでは、他の患者さんの生の声を聞いて、いろんな体験を知ることも大事だというなのだと思います。

 自分のヤマイライフのヒントが見つかるかもしれませんし、心の転換できるきっかけを得られるかもしれません。

 それもまた出逢いなのだと思います。

 冒頭の「がんとは何者?!」との問いには、ガンとは自分の今まで生きてきた人生において、「今」の心と身体を形成するこれまでの経験や人との繋がりにおいて、さらに深く考え気づきを与えてくれる出来事なのかもしれません。

 が、しかし、ガンにならないのが一番であり、予防や養生が大切であることは最重要課題です。

 また、ガンで治療をされた皆さまは再発しないようにすることが最重要課題であり、そこが大切です。

 どんな状況や環境にあっても、心の中から前向きな、積極的な、楽観的なエネルギーが湧き出ていれば豊かな人生を送れるのだと私は思います。

 少しでも皆さまの「ガン予防」「ガン再発予防」のために貢献すべく、鍼灸治療の技術や知識の向上に精進していきたいと思います。

 些細なことでも、どんなことでも結構ですので、何かお悩みや質問等がございましたら、いつでもご連絡くださいませ。

 

 長文、最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

   二葉鍼灸療院 田中良和


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