二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

妊活と鍼灸治療 5 ~ 運動しましょう! 3 - ミトコンドリア(1)‐ ~

2015年12月10日 | 不妊症

このブログで、不妊症関連の記事は1年以上書いてなかったんですね。反省です

標題ですが、今まで「不妊症と鍼灸治療」ということで書いていましたが、今回からは話は続きですが、題名は「妊活と鍼灸治療」に変えて、記事を書いていきたいと思います

前回からの続きということで、当院では妊娠希望で来院されている皆様には、例外なく「運動しましょう」とアドバイスさせていただいております。その時に使用するワードがミトコンドリアです。

私は野球を中心にスポーツトレーナーもさせていただいておりますので、筋肉や関節などから身体の動き等についても勉強するわけですが、解剖学だけではなく運動生理学なども一緒に勉強しないといけません。

そこで、運動、いわゆる身体を動かすために必要なものは何かと調べると・・・その大きな働きを担うのが、運動ためのエネルギーを産生する場所であるミトコンドリアというわけです。ということでちょっとご説明。 

~ ミトコンドリア は細胞の中にある小器官の一つです~

  

昔、この図を見ると、学校の生物学で勉強したな~などと思い出す方もいるかと思いますが、ミトコンドリアは楕円の丸の中に螺旋のような模様を描いたものです。「あ~あれね」と思ってもらえるかなと思います。

 

 ミトコンドリアはどこにある

ミトコンドリアは、人体の総細胞数を約60兆個とすると、その細胞すべてに存在します。そして、筋肉や神経、脳神経、心臓、肝臓のように新陳代謝や機能の活発な細胞に多く存在して、個数は約数100個~3000個などの開きがあるようです。使う細胞ほどエネルギーが必要だということです。

もちろん卵子にも精子にも存在しますので、卵胞が育ち排卵し受精する、精子が育ち、卵子のもとまで突っ走る、それらのエネルギー源のほとんどはミトコンドリアからの供給となります。

ミトコンドリアは筋肉などでは酸素を多く利用する遅筋繊維(赤筋繊維)で利用されますので、その部分に多く存在します。

 

 大きな仕事は身体(細胞)を活動させるエネルギーをつくること

細かいことを解説していると難しくなってしまいますので、簡単に説明します。

ミトコンドリアでの機能で一番重要な仕事は、「エネルギー」をつくることです。社会生活でも火力や水力などのエネルギーがない生活を考えてみてください。人類が終わることはありませんが、現在の社会活動はほどんど出来なくなってしまいます。それを支えているのがエネルギーです。

身体の中のエネルギーの原料はATP(アデノシン三リン酸)と言われるもので、ここからリン酸が一つ外れることによりエネルギーが発生します。原子力エネルギーが発生する機序と似ています。ということは、どれだけATPをたくさんつくり貯蓄しているかということがエネルギーがたくさん出ている目安(活力ある身体)となるわけです。

エネルギーは、運動の強さや速さによって3段階のシステムにより産生されています。

・筋肉内に蓄えてあるATPとクレアチンリン酸を使って行う運動(10秒程度の瞬発的な運動)
 限りがあり、すぐに供給しておく必要があります。

・細胞質内で糖質を利用する運動(3分程度の酸素がいらない運動)
 細胞の中に取り込める(使える)糖にも限界があり、使いすぎるとばてる。
 糖から産生されるATPは2分子

・ミトコンドリア内で主に脂肪と酸素を利用する運動(長距離走などの持久的運動)
 脂肪は、酸素の供給があればほぼ無尽蔵に使用することができる。
 脂肪から産生されるATPは36分子

ここからここまでが、ここでの運動ということではなく、これらは一つの身体運動の中で適したエネルギー供給システムを選んで働いているのです。少し強い短い運動の時は糖分を多く利用し、その後の持久運動では酸素と脂肪を利用していくという具合です

では、自分でコントロールをしてエネルギー量を増大させることができるとすると、「運動しよう」ということになると思いますが、それには何が必要かというと筋肉だということは分かりますよね。基礎代謝の産生量も、人体では筋肉量が多いほど活発に行われます。それに熱を溜めっぱなしでは熱が身体の中に滞って、これも命に関ってしまうので、発汗システムなど熱を逃がす循環も整ってきて、汗もかきやすくなります。

筋肉を動かし大きくなったり、数が増えてくると、ミトコンドリアの数も増量しエネルギー産生システムが整ってくるということになります。元気で、活力ある生活ができるということです。

人の身体というのは、細かく僅かな機能異常や低下は自然に修正するシステム(自然治癒力)が存在します。ですから一つの身体という大きな器が母船となり、あとはそれぞれが機能的に動くことで、快適に、勢いよく動かすことができます。
そういう意味で考えると、生殖細胞でのエネルギー循環システムというものは全体の状態が反映し、その逆もまたしかりかもしれませんが、全体のエネルギー循環システムが上手くいっていれば、生殖機能にもエネルギーが上手く循環出来たり、補うこともできるのだと私は考えます。

運動により、まず全身のエネルギー量を増やし、エネルギー循環システムを円滑にしておけば、不妊症や妊娠だけでなくすべての不調や病に効果的なのではないでしょうか

 

 もうひとつのミトコンドリア機能で重要なこと

ミトコンドリア内で起こるエネルギーへの変換率は約40%と言われています。残り60%はいずこへ ということになるのですが、それはミトコンドリア内に存在する脱共役タンパク質の働きで   に変換され体温をつくるということです。

カイロやお灸を行うような表面から温めるきっかけを与えてあげるというものではなく、根本の身体の熱産生能をあげるということを考えると、運動するということが、一番の冷え予防、冷え改善に繋がるのではないでしょうか

地道なことではあると思いますが、自分の将来のために「今」何をするかですね

 蛇足 

ちなみに、ミトコンドリアにも核に比べれば少量ですが独自の遺伝子が存在します。
精子は、尻尾の根っこについているミトコンドリアエネルギーをモーターとして卵子に辿りつき、見事選ばれた精子が卵子と受精します。核では23対の精子(男性)と卵子(女性)の遺伝子が遺伝されますが、ミトコンドリアの遺伝子は100%女性の遺伝子が残される母性遺伝です。精子の損傷激しい遺伝子を次世代に受け継がせないためのマイトファジーなる機能が関連していると言われています。

      

 

 活性酸素が発生する場所でもある

上記の糖でエネルギーが生成された後は、一部は乳酸となり、肝臓や脳、筋肉で再利用されたり、一部はミトコンドリアの中でエネルギー産生に使われます。脂肪は何度か物質が変化し、ミトコンドリア内に入った後もβ酸化などの変化が起こり、糖と同じエネルギーシステム(TCA回路)で使用されます。
また、そこで発生した電子を、ミトコンドリアの膜を上手く利用して、さらにたくさんのエネルギー(ATP)を増産するためのエネルギーシステム(電子伝達系)に入ります。ここで酸素を利用するので呼吸鎖とも言われます。

この電子伝達系では多くの水素イオンを生むので、酸素と結び付き最終的産物として水と、そして二酸化炭素が出現し排出されます。

酸素を使い電子をエネルギーとして利用される際に、ロスが若干生まれるわけですが、この反応として産生されるのが活性酸素です。運動にしても食事にしても、すべての身体活動において活性酸素は必ず出来ています。

しかし、そこは人間の身体は上手くできていますので、許容範囲であれば、活性酸素を殺菌作用などの生体防御機能として利用したり血管の機能を調整(血圧など)したりと、身体に必要なものとして利用するわけです。

また、エネルギーシステムの停滞や多くの電子の流入により、多量の活性酸素が産生された場合には、スカベンジャー機能(お掃除屋さん機能)を有したSODなどの物質が存在し、活性酸素をキレイに排除してくれます。

しかし、それでも追いつかない場合、例えば、ミトコンドリア内の機能は、運動不足でミトコンドリアを有効利用していない、動かしていない人は停滞しやすいと言われています。またその機能は、過剰なあらゆるストレスにも左右されますので、活性酸素が多量に存在する場合は細胞膜や遺伝子を傷つけてガン等のさまざまな病気の原因になるわけです。

この段階で、過剰な活性酸素除去に役立つのは、抗酸化物質であるビタミンCやビタミンEなのです。

 

 多様で重要な機能を持つミトコンドリア

生殖細胞づくりについては上記で述べました。

私がこのまま生き続けると体に害を及ぼすな~と核の遺伝子レベル判断されるとミトコンドリアにシグナルが送られ、ミトコンドリアからは、自分自身の細胞をアポトーシス(自然死)させるため核を切り刻むための酵素が放出されアポトーシスがスタートします。この機能が癌化等の細胞の発生、増殖を防ぎます。

ミトコンドリアの行なうエネルギー代謝には、グルコース・必須アミノ酸・必須脂肪酸・ミネラル・ビタミン・酵素・補酵素が不可欠です。これらの物質を血液によって細胞に運び、これら養分の量を制御するのは内分泌腺ホルモンでですが、このホルモンをミトコンドリア自身が産生して、血中に分泌しています。

   ・呼吸を促進、血圧を調整、酸素濃度を加減したり、
    
血糖値とミネラル濃度(カルシウムや鉄など)を制御

   ・脂肪細胞(褐色脂肪細胞など)で体温を産生

   ・筋肉細胞、脳神経細胞、骨芽細胞・造血細胞、内分泌腺細胞などの機能は、
    全てミトコンドリアのエネルギー代謝とホルモン等の特徴物質の産生に依存

   ・ホルモン以外の機能物質も、ミトコンドリア内で産出。
    脳においては、神経細胞のミトコンドリアで、ドーパー、
    ドパミン、メラニン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セロトニン、
    アセチルコリンが産生され、代謝

   ・ステロイドホルモン30種も、副腎・性腺のミトコンドリアで産生

 

 ミトコンドリアに対する研究や考え

ミトコンドリアにおいては様々な研究が各国でされていますが、運動が卵子や精子のミトコンドリアにどう影響しているかという論文等に関しては、まだ調査不足、勉強不足で調べておりません。

しかし、活発な高齢者、不活発な高齢者と若者を比較した研究では、上記にも出てきましたSODの機能が不活発な高齢者では著しくその機能が低下していたことや、運動するとミトコンドリアにおいても新陳代謝が活発化され、機能が低下して老化したミトコンドリアは排除されて、新しいミトコンドリアが出来てくるということも分かってきています。

生殖細胞と体細胞はおおざっぱに分けて機能が違いますが、成長と新陳代謝の観点から考察すると、生殖細胞でもミトコンドリアは新生または良いものに変化するのかもしれません。それは卵子・精子の生成、成長を考えると、精子のもののほうが影響が大きいのかなと考えています。

また、元気なミトコンドリアは病気のミトコンドリアに必要な物資を調達して機能を正常にするというミトコンドリア連携説を説く研究者も存在します。

 

 まとめ

身体のあらゆる機能をエネルギーやホルモンを産生するという形でコントロールするミトコンドリア

元気なミトコンドリアを保つには運動により、そのシステムを動かすこと

ミトコンドリアではエネルギーばかりか、熱(体温)も産生されること

機能的なミトコンドリアは過剰な活性酸素を除去する能力が高いこと

運動によりミトコンドリアが活性化されると、機能が低下したミトコンドリアを助ける
 または、排除して新しいミトコンドリアを産生する

ミトコンドリアの量を増加させるためには、筋肉量を増やすことが近道

などを考えると、細胞レベルから自分の身体の健康を保つ、または、元気な身体をつくり、妊娠しやすい身体をつくるためには運動は欠かせません。運動は生活の中の一部としていくべきだと私は考えております。

そして、そのようにアドバイスさせていただいております。

 

ミトコンドリアについてみてきました。 長くなりましたので、次回は、「では、元気なミトコンドリアで、活力ある身体をつくるためには、どんな運動をしたらいいのか」ということをお話していきたいと思います。

鍼灸治療でも、疲れがとれ、身体が元気になることが多々あります。

治療後すぐに疲労感がとれる場合もありますし、継続していくことで疲労が取れやすかったり、疲労をあまり感じなくなることもあります。

鍼灸治療で身体を軽くして、運動に臨む、運動を始めるということも、運動を継続して運動効果を出すための一つの方法であるとも考えておりますので、疲れやすい、疲れがとれない身体の状態の場合は、一度、鍼灸治療を受けていただくと良いのかもしれません。

何かご質問等がございましたら、下記、治療院名をクリックしていただければ当院HPに飛びますので、いつでもどんな些細なことでもご連絡くださいませ~

長文をお読みいただき、ありがとうございました

 

    二葉鍼灸療院 田中良和


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