二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

妊活は夫婦の共同作業~鍼灸院臨床現場の巻~

2017年12月18日 | 不妊症

 毎日、ブログ更新しますと誓いながら、できていない私でした 

 さて、当院には子どもが欲しい妊活に励むご夫婦が来院されます。最初に来院するのはだいたい奥様のほうです。

 やはり病院での不妊治療で心身に大きく負担がかかるのは奥様の方です。これは確かです。しかし、本来の自然妊娠しかり、不妊治療にしても、卵子だけで子どもはできないわけです。そこには元気な精子が必要となります

 妊娠までは旦那様の協力が不可欠なわけです。

 考えてみると、旦那様は奥様が妊娠された以降、子どもを直接育むことはできません。では、何ができるでしょうか

 奥様の不便な行動をカバーしたり、マイナートラブルなどの症状などを気遣うことはできるでしょう。出産などの準備に向けてさらに元気に働くこともそうかもしれませんが、やはり直接は何もできなくなるわけです。

 その分、元気な天使ちゃんがご夫婦の前に現れるまで、奥様とお腹の赤ちゃんに優しさと愛を傾け、気遣いを実践してあげることが大切なのだと思います。こんなことは言わなくても分かっておられることだと思います。

 もう一つ大切なことがあります・・・

 その答えの前に、当院での鍼灸臨床現場でのある場面のをお話したいと思います。

 

 30歳前後の男性(旦那様)の患者さんの話です。

 この方の主訴は、「妊活」ではなく、関連しているかもしれませんが、泌尿器症状でご来院されました。その泌尿器症状に対しては、当院へ8月の中頃に来院され、約週1回の鍼治療でかなり改善されました。当初訴えていた症状はほとんど消失しています。

 さて、その患者さんとの臨床現場の話の中で、実は妊活に励んでおり、11月に人工授精も考えているとのことでした。奥様は来院されていませんが、年齢は旦那様と同じくらいです。

 奥様は、若いころにとある臓器の病気を患っており、今は寛解状態ですが妊娠したら奥様の身体は大丈夫だろうか・・・というところが心配なのだと話されています。また旅行へ行かれた話などお聞きしていると、かなり奥様への気遣い、心遣い・・・愛情がある方だなと感じております。

 旦那様は泌尿器系の症状を持っていることと、妊活中ということで、精液検査等も併せて実施しております。その結果は、精子数、精子運動率ともに少し低下気味とのことでした。病院からは当院へ来院する1ヵ月前に漢方薬(補中溢気湯)を処方され毎日服用されていました。

 鍼治療開始後3ヶ月(治療回数が14回)ほど経過したある日の精液検査で、精子運動率が40%から60%に改善されていました。11月の人工授精は残念ながら良い結果は得られませんでしたが、精液検査を行ってからこれまでにない運動率向上の結果でした。

 これをどう考えるかが大切です。ここで安易に「鍼治療の効果です!」と書いてしまってはいけないということなのです。よく不妊症を頑張っている鍼灸院のHPにあるのは、現在も併用している治療方法や今までの鍼灸治療を始める前の情報を無しにして「鍼灸をやったから良くなった!」というものです。

 本当にそうなの とビックリしてしまうものが多いような気がします。

 不妊症で悩まれているご夫婦に関しては勘違いしてしまう皆様が多いのではと、同業者として少し怒りを感じることもあります

 今回の男性の場合は、当院に来院する前に泌尿器科から漢方薬(補中溢気湯)を処方され服用し4ヵ月ということで、漢方薬の効果というものがまず考えられることです。

 補中溢気湯に関しては、エビデンスレベルは分かりませんが、精子運動率などの精液所見などが改善されたという報告(論文)はみられ、一定の効果はあるようです。ただ漢方薬ですので、薬に効果的な症状が現れていたとしても、その患者さんの体質(証)に合わなければ効果が出ない場合もあるということです。

  ちなみに補中溢気湯は、胃腸などの消化機能(中焦)を補い、気を溢れさせ、消化機能の衰え、四肢倦怠感、虚弱体質者の諸症状に使用される漢方薬です。ニンジン、オウギ、ビャクジュツ、サイコ、ショウマ、チンピ、タイソウ、ショウキョウ、カンゾウ、トウキなどが入っています。

  付け足しとして、柴胡加竜骨牡蠣湯(サイコカリュウコツボレイトウ)も精液所見の改善に効果があるという報告もあります。病院にて多く処方されるのは補中溢気湯のようです。

 鍼灸治療についての精液所見に関するデータに関してはほとんど出ていないと言ってもいいかなと思います。まだ調査不足かもしれませんが、これについて研究されている鍼灸師もおられますので、今後、少しデータが出てくるかなというところでしょうか。現在のところ各治療院レベルで鍼灸臨床の実感として精液所見が良好になっているなという状況かなと思います。

 そのように患者さんの話を聞いたり、論文や学会発表などを調べたりし、それを辿って自分の治療を客観的に判断すると、可能性として漢方薬と鍼の効果がコラボしたことは推測はできることは言えるかと思います。

 若干、話は逸れましたが、やはり妊活はご夫婦の共同作業です。卵子の状態が良くても、精子の状態が良くないと受精はしませんし、そこから進むことができません。顕微授精という方法もありますが、やはり精液所見が良好な方が確率も妊娠する確率も高くなるわけです。

 

 さて、冒頭お話した、もう一つの大切なこと・・・それは、旦那様は、出来る限り良好な精子ができるように生活習慣等を改善して、努力することです

 少し長くなりましたので、次回は、では、どうやって精子が出来るのか 精子所見について大切なこと 良好な精子をつくる上での注意点 などを書いていきたいと思います

 でも人間の身体の仕組みや、夫婦関係などもそうかもしれませんが、人生って絶妙に出来ているんだなとつくづく思います。

 最後までお読みいただき、ありがとうございます 

 

   二葉鍼灸療院 田中良和


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