二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

酔耀会(鍼灸手技療法研究会) 平成23年11月

2011年12月02日 | 酔耀会(すいようかい)
11月16日(水)、毎月恒例の酔耀会(鍼灸手技療法研究会)が開催されましたので参加しました。

んん~なかなかブログが更新できませ~ん。 でも、いろんな活動を兼務していると、今、一番やらなければならない仕事から順に整理できてくるんですよね。脳って不思議です。朝目覚めると、「今日はあれとあれをやって、これを仕上げよう」なんて…まだまだ無駄な時間の使い方が多いんですけどね。

さて、さて、皆、臨床が終了してからの午後8時30分から研究会が開始するわけなんですが、毎度おなじみ~やはり勉強に熱が入るわけです。終わってみれば午前1時過ぎ。次の日は、意外にテンション高くいい調子なのですが…数日後に…、まあ、患者さまにもいつも言っているように、「あまり無理しないように」って言葉を自分の身体に話しておくとしましょう。

 内 容 

・研修会参加報告  『鍼灸師に知ってほしい産婦人科』
             講師:岐阜大学大学院医学研究科産婦人科学  森重 健一郎 教授

【豊島先生】
岐阜県臨床鍼灸研究会(旧 全日本鍼灸学会 岐阜地方会)が主催し、(社)岐阜県鍼灸師会と共催している、産科・婦人科専門領域研修へ参加した報告でした。子宮内膜症、子宮筋腫、更年期から閉経期にみられる身体変化などの内容でした。豊島先生もそうですが、私も不妊症の患者さまが多く来院されます。また、更年期の女性は閉経というホルモンの劇的な変化を中心に様々な症状が出現してきます。そして、この婦人科疾患、あるいは妊娠期や出産後のケアに鍼灸治療が効果を発揮することが多いのも事実です。女性の身体の基礎医学的、あるいは基礎病理を把握しておくことは、患者さまを診療する際、特に女性の患者さまが多ければ、より知っておく必要があります。産科・婦人科領域は私も詳細に勉強しなければいけませんが、豊島先生にはこれからもどしどし、日本中へ飛び回って頂き情報収集してもらいたいですね。


・課題発表  「小胸筋について②」

【粟 先生】
前月に引き続き、第2~5肋骨から烏口突起に、形としては扇状に付着する「小胸筋」について、神経支配とともに、クリニカルマッサージの手技療法を紹介してもらいました。この手技は小胸筋へ直接コンタクトする方法です。実技を行いながら、参加者全員がイメージして小胸筋を触ることができませんでした。小胸筋は分かるのですが、その手技のイメージです。発表者の粟先生も皆の質問に、迷いが出てきて、来月イメージして再び実技にチャレンジするということになりました。効率が悪いような気がしますが、分からないことを、分からないままに通り過ぎることこそ、怖いことですからね。来月も楽しみに、私も予習していきたいと思います。(そんな暇があるかな)。


・課題発表  「証をたてるにあたっての基本的考え方」

【宮川先生】
「証」というのは、ちょっとニュアンスは違うが西洋医学で言う「病名」のようなものです。それを基準に治療方法を決定するという意味でです。「黄帝内径 素問 陰陽応象大論 篇第五」における陰陽の道理の説明、そこから五行に話の展開がありました。陰陽は世の中を見ると電気も+-があるし、昼と夜、男と女~、表と裏などなど、陰陽から成り立っていると言われると、そ~なんだろうと理解できます。また、おそらくこれら鍼灸医学の古典に関する根本は易学にあると思われ、その話もありました。そして五行に関して、現在広く使われている五行の図とは違って、もう少し複雑に環の端無きが如く繋がり、五行の図に書かれていない気の流れがあるのではないかということでした。五行というものは陰陽と違って非常に理解するのに難しい。そのまま信じている人は別としてです。来月は、五行の成り立ちを発表してもらえるそうです。…私がやってきてって言ったからでした。


症例報告  「抗がん剤治療後の末梢神経障害に対する鍼治療の1症例」
        ~がん患者のQOL向上と再発しない身体づくりを目指して~

【田中良和】
卵巣がん手術、化学療法後、再発し、再度、化学療法を行ったところ、手足のシビレや足がふらついて歩きづらく、力が入らないなど多くの末梢神経障害症状を発症した30代の患者に対し、約3ヶ月で19回の治療(生体制御療法+パルス通電)を行い、運動神経障害の症状がかなり改善された症例でした。抗がん剤による末梢神経障害の説明、症例報告、この患者の卵巣がんの説明と、少し長い症例報告となりました。この患者は、担当医に鍼治療を行うことを話しており、担当医も「鍼治療ならやってみてもいいんじゃないですか」と話されました。鍼治療は、がんを治すというより、様々な症状緩和、あるいは緩和ケアの分野においても利用されているのです。この患者もまだ治療継続中であり、さらなる末梢神経障害症状の改善と、がんを再発しない身体づくりを目的に、これからも治療していくつもりです。当院には、がん治療後の身体ケア、治療中の身体ケアで通院されている方もみられます。一人ひとりが違う病態、病気の捉え方です。症例報告での質問に際し、いくつか答えがあやふやな回答をしてしまいましたので、来月はその辺りガッチリ調べて、自分の考察を述べたいと思います。「そんな考えもあるね~」「いや、それは違う」など、質問を受けると調べて、回答、反論することになりますので、勉強になるのです。



私がこれからも中心で勉強していくのは、「成長期のスポーツ障害の治療」。これはライフワークであり、いつも野球と隣り合わせなので、勉強していてもやり甲斐があるんです。

「不妊症の鍼灸治療」。現在も多くの患者さまに通院して頂いております。鍼灸治療単独ではないにしても、妊娠の確率を少しでも上げ、また、身体だけでなく心の面もカバーできるのが、鍼灸臨床のいい所なのです。順調にいくとは思いますが、来年は7名がご出産予定です。ですから、常に勉強していく必要があるのです。

そして、「がんに対する鍼灸治療」です。私の父のガン性疼痛の叫び、あるいは入院時、鍼治療ができたことにより心身ともに楽になり、この仕事に就いて良かったと思った記憶(父は2006年に本来の場所へ旅立ちましたが…)。抗がん剤治療の副作用により亡くなっていかれた当院の患者さまの不安な顔、心など、様々な状態の顔が思い浮かび、何らかの形で「がん」というものの改善に鍼灸治療で取り組んでいきたいという信念があるわけです。

この3本柱を中心に、そして、太極なる身体感である東洋医学の全体性なども視野に入れて勉強していきたいと思っているしだいで~ありま~す。

常に「なぜ」と疑問を持ちながら、問題意識を持って仕事に取り組んでいきたいです。
「問題がないのは恐ろしいことだ。仕事が順調に進んでいるとき、人はよく”問題はありませんか”という。しかし、実際は問題があるのに君子危うきに近寄らず避けて通る場合、問題があるはずなのにまだつかんでいない場合、仕事をやらないから問題の出ようがない場合、等々…多くの人は問題がないと片付けてしまうことが多い。
問題がないのは、望ましいことではなく恐ろしいことだ。
それは無事平穏で大過なく失敗のない状態だからだ。だが、その状態は徐々に組織を蝕み死に至らしめる」(土光敏夫さんの言葉)

勉強することは、た~くさんあり、すればするほど問題が出てきますし、分からないことが出てきます。確かに勉強しないと、疑問も、問題も出てきませんね。その状態が”井の中の蛙”なのかもしれません。


二葉鍼灸療院 田中良和

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