二葉鍼灸療院 院長のドタバタ活動日記

私が日頃行っている活動や、日々の鍼灸臨床で感じたことなどを綴っていきたいと思います。

不育症と胎内記憶

2017年04月19日 | 不妊症

 やや涼しい4月と言う印象のある現在、皆様、元気に、明るく、楽しく生活していますでしょうか

 さて、本日は不育症と、臨床の中で流産の後にタイミング療法で妊娠し出産された健やかに成長している女の子とお母さんのコミュニケーションについて、「面白いな」と思ったので書きたいと思います。

 

 不育症=妊娠してもお腹の赤ちゃんが育たず流産、死産を繰り返してしまう状態です。

 初めて妊娠された女性の流産率は、10~15%と言われています。

 その半分以上が胎児の染色体異常であることは分かっていますので、流産されたからと言って決してご夫婦のせいではありません。
 でも、その確率を少しでも改善すべく生活習慣を変えたり、整えていくことは大切なのだと思います。

 妊娠を臨んでるご夫婦で、流産や科学流産を繰り返すのであれば、不育症の検査をまず行い、ご夫婦の身体の状態、免疫や精子、卵子の状態を把握しておくことが重要だと思います。

 

不育症となる危険因子

心理的ストレス:流産に強い不安感や罪悪感を持ってしまう。緊張状態の持続。

染色体異常:夫婦いずれかに染色体異常があれば、受精でも一定の確率で染色体異常が起こります。

子宮形態異常:双角子宮、単角子宮、中隔子宮や子宮筋腫など赤ちゃんに栄養がうまく送れない状態にあると妊娠維持ができなくなります。しかし、手術をしなくても、約60%は妊娠維持可能という報告もあります。

内分泌異常:黄体機能不全、高プロラクチン血症、甲状腺機能低下など。

凝固因子異常:身体を守るために必要な血を固める因子に異常が起こると、胎盤内に血栓ができやすくなり、胎児に栄養がいかなくなります。

拒絶免疫異常:受精卵や胎芽は、夫である男性側の遺伝子も含まれているため、本来なら女性の身体にとっては異物なので排除の方に働くのですが、それを「大丈夫よん」と受け入れる体制が整えられます。それを免疫寛容というのですが、その機能が上手く働かなくなっている状態です。

 今回、ブログを書くために参考にさせていただいた、名古屋で不育症・着床障害を専門として診療をされている、青木産婦人科クリニックの青木耕治先生(HP;http://www.dr-aoki.com/は、「100%の確率で流産を引き起こす因子はない」、「多くの因子が流産や死産に関っている」と言われ、「危険因子を除外していくことで妊娠を維持しやすい環境をつくっていく」とされています。

 

 また、妊娠初期に大切な時期というのは、10~16週であるそうです。

 妊娠10~16週の間に母体と赤ちゃんを繋ぐ胎盤内の血管内皮細胞が、母体の細胞から胎児の細胞に置き換わる時期だそうです。
 胎盤は妊娠7週からつくられ始め、16週ほで完成するようです。そこからも胎盤は成長するわけですが、それまでは胎児の栄養は子宮内膜が受け持つわけです。

 妊娠期に安定期はないという話もありますが、妊娠初期は、すこし控えめな、慎みのある生活を心がけた方がいいのかと思います。

 

 また、ある調査によると、流産の原因となる「心理社会的因子」として、

妊娠前・妊娠初期に抑うつ状態である場合

社会的支援への不満

不育症の危険因子に持続性があると考えられる場合

 などがあるそうです。全てをカバーしたり、改善できないまでも、抑うつ状態の改善、危険因子に対する不安感などは、医療機関を受診することで和らげられますし、鍼灸治療でも貢献できる部分があるかなと感じます。

  ちょっと話は変わりますが、総面積700万平方キロメートル、南米9カ国にまたがる世界最大の熱帯雨林、アマゾン川流域です。

 川の水は肥沃の大地により養われ、肥沃な大地はアマゾン川の豊富な水によって活力を得ます。ここにアンデス山脈や空などの天気も加わるのだと思いますが、絶妙な自然のバランスと繋がりにより、地上に生きる他の生物は恩恵を受けています。もちろん人間もです。

 4000以上の樹種、約6万種の植物、1000種以上の鳥類、約300種以上の哺乳類が生息しており、まさしく地球の宝箱や~とも言えます。

 これを子宮環境に私なりの解釈で置き換えて考えてみると・・・

 子宮には子宮動脈という大きな動脈が流れており、子宮内膜に120本以上のラセン動脈の支流が別れ子宮内膜を「妊娠」に向けて栄養しています。「妊娠」が成立しないと、ホルモンの作用により交感神経が緊張して血管が収縮し、血流が阻害されます。
 子宮内膜は血液がないので維持できなくなり、機能層が剥がれ落ちていきます。これが月経です。

 交感神経は過剰なストレスを感じたり、上記のような心理社会的因子の環境では緊張するように働き、それが持続することで末梢の血管が過度に収縮してしまいます。これは全身で起こるわけですが、子宮の中(内膜)でも例外はありません。

 子宮内膜をアマゾン川流域のように豊富な量の水と栄養分(血液)で満たしておくためには、交感神経過緊張状態(過剰なストレス環境・心)の持続は避けたいものです。

 鍼灸治療のバランスを調整する作用の一つに自律神経の調整があります。交感神経過緊張状態を和らげ、副交感神経が働きやすくするのが鍼灸治療のメリットでもあります。

 不育症を治すということは言えませんが、その因子を少しでも取り除くという点では、鍼灸治療は利用する価値のある治療ではないかと考えています。

 

 現在、世界各国の多くの医療機関や研究機関で、不妊や不育に関する研究が行われています。現在の社会システムの中で、妊娠を臨む夫婦の選択肢を増やすためであるのだと思います。
 受精から胚の成長までに関しては科学的に証明されつつある段階ですが、胚移植から妊娠確定までの期間は、その発育過程がほとんど分かっていないようです。

 前述した青木先生曰く「神の領域」だということです。

 

 そんな中、こちらはリプロダクションクリニック大阪 院長の松林秀彦先生(ブログ:https://ameblo.jp/matsubooon/のブログで勉強させていただきましたが、現在は、不育症の捉え方として「着床促進」という考え方が主流になっているということです。

 2012年、イギリスで論文として発表されたものなのですが、インビトロの研究であり、対象の数は少ないですが、反復流産の6名の女性と妊娠出産経験のある6名の女性の子宮内膜の間質細胞を取り出し培養して、良好胚(卵子)と異常胚(染色体異常のある卵子)を移植したところ、良好胚はどちらの内膜間質細胞も増殖していったのですが、異常胚においては、反復流産の女性のみ増殖していきました

 これは、妊娠出産経験のある女性の子宮内膜間質細胞は、正常な胚のみを受け入れる「選択的着床」を行い、胚を選別する能力があり、かたや、反復流産を繰り返す女性の子宮内膜間質細胞は、どのような胚でも受け入れてしまう「着床促進」の状態となり、胚を選別する能力がないのではないか、ということが分かってきています。

 

 医学や科学の発展により、多くの「神の領域」が解明され、不妊症や不育症に限らず多くの医学的選択ができるようになりました。
 おそらく宇宙の解明と同じくらい人間の全てを解明することは難しいとは思いますが、人が人であるために、人間らしくあるために「神の領域」はやはり尊重していく部分があってもいいのかなと思います。

 それは生命に対しても、自然や医学や科学に関しても、そうあって欲しいなと私は思っています。

 

 つい先日、治療院での施術中、以前は不妊症で来院されていて、現在は子宮内膜症や花粉症などの改善に来院されている患者様との話で「神の領域」「スピリチュアル」「魂」を感じ、ワクワクしましたので最後に書いておきたいと思います。

 この話は、私もよく著書を読ませていただきますが、産婦人科の医師である、池川クリニック 池川 明先生(HP:http://ikegawaclinic.net/の研究分野でもある「胎内記憶」という部分のお話です

 

 当院をご来院の患者さんでも、話してくれるお子さまと、あまり話してくれないお子さまがいるようですが、今回は、現在4歳の女の子で、2歳ごろから、胎内記憶の話をお母さんが聞くたび、繰り返し繰り返し話してくれる会話です その患者さんは流産を経験しての妊娠、出産でした。

 「〇〇ちゃん、お母さんのお腹の中でのこと覚えてる

 「〇〇ちゃんね、おしりのあなから おかあさんのなかにはいっていって、そこにフタをしたんだよ」

 「そうなんだ~。フタをしなかったらどうなるの

 「あかちゃんが おおきくなれないんだよ」

 と、話してくれるそうです。また患者さんは楽器もやっていて、

 「おかあさんが 〇〇(楽器)をひいているところ みていたよ」

 とも話してくれるとか。本当に不思議でワクワクして、何か温かいものを感じる会話でした。「このような世界はきっとあるんだな」とピュアな存在に気づきをもらえる瞬間です。

(このお話、ブログ掲載に関してはご本人に許可をいただきました)

 まさしくスピリチュアルの世界から、生まれてくる赤ちゃんの魂も「流産を防止」に励んでいるんだなと、私なりに感じたのでした。・・・蓋をしめる

 

 一組でも多くの妊娠を望むご夫婦のサポートが鍼灸治療でできるように、今後も技術と知識と人間性(感性)を磨き、精進していきたいと思います。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございます

 

 

   二葉鍼灸療院 田中良和

 

 

コメント (2)
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