カルカッタより愛を込めて・・・。

次のアピア40のライブは9月13日(金)です。また生配信があるので良かったら見てください。

たまご泥棒。

2010-09-19 11:52:59 | Weblog

 今日でこのブログを始めて1000日になった。

 ここまで続けるなど、始めた頃は考えもしなかった。

 ただカルカッタの日々を書こうとして、それが終われば、自然に止めるものを思っていた。

 それにしてもよく続いたものだ。

 さて、いつまで書こうか、それもまだ分からない。

 ただいつ止めても良い覚悟ではある。

 そんなことをぼんやり考えている。

 今朝は起きてからすぐにお風呂場をカビキラーを使い掃除した。

 カビキラーはほんとうに良く効くが、マスクもしないで使用すると鼻が痛くなるほど強い。

 だけど、カビが良く落ちる。

 きれいなったお風呂での朝風呂は格別に気持ちが良いものである。

 ビールでも飲みたくなってしまうくらいだ。

 それから玉子サラダを作ろうと冷蔵庫の玉子に触れると誤って落としてしまった。

 そこをすかさず食いしん坊のあんが駆け寄ってきた。

 あんはいつも自分が台所で料理を始めると何か食べ物が下に落ちないか、ずっと狙っている。

 あんは落ちた玉子を口が掃除機のようになってしまったかと思うほどの勢いで吸い上げていた。

 他人が見たら、「この子の親はぜったいにご飯をあげていないんだわ。」と思われてしまうこと間違いなしの勢いで玉子を吸い込んでいた。

 自分は一人で勝手に少し恥ずかしくなっていた。

 あんは食べ終わると「う~ん、満足!」のような顔をして口の周りを舐めていた。

 そんなに美味しかったのかと思った。

 玉子を落としてしまったけど、あんが美味しく食べてくれたのだったら、それで良かった。

 さっき、そんなことがあった。

 いま、あんは自分のそばにある座布団の上でお昼寝中。

 きっと美味しいものを食べている夢を見ているのかもしれない。

 さて、布団も干したし、良い天気も良いから、少し買い物に出かけよう。
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今日も。

2010-09-18 18:52:28 | Weblog
 あの喋れないおじさんの隣にそっと座った。

 木の下にダンボールを敷き、カレーを食べていた。

 食べ終わった容器をボランティアに渡すためにゆっくりと立ち上がって渡し、それから近くのトイレの水道に行き、水を飲んで帰ってきた。

 それでも口の周りにはお米が二三粒付いていて、身振りでそれを教えた。

 彼は微笑んだ。

 転んで出来た肘の傷があったが、先週より良くなっていた。

 転んだときにどこか痛めたのだろう、敷いたダンボールに座るのに少し時間が必要だった。

 彼の背中に手を当て、後ろに転がらないように支えてあげた。

 小さな背中だった。

 少し丸みを帯びた背中だった。

 愛おしい背中だった。

 その時、彼の背中が語る物語りを自分は読み取ろうした。

 彼の生まれた中国はどんなところだったのか?

 どんな家族に生まれたのか?

 きっと愛されて生まれたのだろう。

 またどうしてここにいるのか?

 寂しくはないのか?

 逢いたい人は居ないのか?

 いつも独りで怖くはないのか?

 彼はいつも何を見ているのか?

 目の前に広がる景色の向こうに何を見ているのか?

 何の約束もない日々、誰とも会話の出来ない、その孤独は如何なるものなのか?

 どうやって耐えているのか?

 それでも、今日一日を感謝しながら生きているのか?

 自分に握手をして別れ、少し離れたら手を振る、その時、彼は何を思っているのか?

 思い描けば描くほど、この胸は痛んだ。

 しかし、その痛みを柔らかい優しさに形を変え、そっと彼の隣に座る。

 いや違う。

 形を変えたのではない。

 彼のなかの柔らかい優しさが自分のうちに移っただけなのだ。

 その証拠として、一緒に爽やかな秋の風を喜ぶ。

 二人静かに。

 言葉はなくても。

 心と心で。

 柔らかく優しくあれるものである。

 そのなかを二人包むように秋の爽やかな風が通り抜けていく。

 微笑みを咲かせながら。
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夢がある。その2。

2010-09-17 12:19:33 | Weblog

 ある程度、食べ終えたカレーの容器を集めてから、ナンクルナイサーおじさんのところに向かった。

 彼は独り背中を丸め、小さくなってカレーをゆっくりと食べていた。

 「どう?ちゃんと食べれる?」

 「うん、食べれるよ。」

 「痩せちゃったから、よく食べてね。」

 「うん、大丈夫だよ。オレ、簡単に死ねないもん。夢があるから、簡単には死ねないもん。
 いつか沖縄に帰りたいんだ。
 でも、簡単に帰れないんだよ・・・。{少し涙ぐみながら言葉を出した}
 だから、簡単には死ねない・・・。」

 「そうか、それじゃ簡単には死ねないね。ちゃんと生きよう。石垣島に帰りたいんね・・・。」

 「うん、帰りたい・・・。
 そうだ、この前、警察に止められていろいろと聞かれたんだ。」{心に詰まっていたものを吐き出すように話し始めた}

 「近くで泥棒があったみたいで、オレのことを疑って、バックのなか全部見せろって言われたんだ。
 そして、一人の警官にちゃんと見せたんだ。
 そしたら、もう一人の警官がまた見せろって言うんだよ。
 オレ、カチンと来てさ。」

 「そうだよね、もう一度見せたんだもんね。」

 「うん、そうなんだよ。そして、故郷のこととかも聞かれたんだ。そしたら、沖縄まで歩いて帰れって言うんだよ。
 近くまで歩けるだろって・・・。
 またオレ、カチンと来てさ。
 だったら、お金貸してくださいって冗談で言ったんだ。」

 「そうなんだ、嫌なことを言う警官だね。」

 「うん、滅多に怒らないけど、カチンと来たよ。歩いて帰れって言うんだもん。」

 彼はそのことがあってから、ずっとこの怒りが心のなかにあったのだろう。

 誰かに胸のうちを話し、カタルシスを得ることなど出来ない日常を生きて来たのだろうか。

 そのなかで痛み苦しみから逃れるために夢が生まれたのかもしれない。

 帰りたいけど帰れない故郷石垣島に戻ると言う夢が生まれ、そして、それは死ねない、生きる、生き延びると言う希望に変えてきたのではないだろうか。

 人からバカにされ、自尊心を傷付けられ、空腹も伴い、苦しめられようとも、彼は彼自身を救おうとしている健気な美しい人である。

 夢に苦しめられることもあるだろうが、夢に救われることもあるだろう。

 すべては誰かに見守られている。

 そして、彼はその誰かに身も心も委ね、今日も生きているのだろう。
 
 彼のうちにある夢、石垣島は天国のように美しいところであるのだろうと、自分は夢を見る。
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夢がある。

2010-09-16 12:24:01 | Weblog

 「ナンクルナイサー、ナンクルナイヨー・・・」

 彼は自分と会うなり、笑顔でそう言った。

 久しぶりにナンクルナイサーおじさんに会った。

 元々痩せていた身体だったが、またかなり痩せ、たぶん体重は40キロちょっとの骨身だけの身体になっていた。

 それでも、彼は笑顔を見せ、「ナンクルナイ」と言う。

 あまりの身体の痩せように入院していたのではないかと聞くと、入院はしていない、大丈夫だと答えた。

 ただこの暑さがたいへんだったと言う。それでも、石垣島出身だから暑さには大丈夫だとも話していた。

 上を向くことが許されないはずはないのだろうが、いつも下を向き、屈みがちな背中は小さくて丸くなっている。

 顔は黒く焼け汚れ、カサカサになり、髭は一週間以内には一度剃ったであろう長さに伸びていた。

 元々美容師だった彼は薄汚れた服を身にまとってはいるが、少し小奇麗な感じでいつもいる。

 その方が日中図書館などで時間を潰すことが出来やすいのだろう。

 そして、それは彼が彼自身を保ち続けている証しでもあろう。

 彼は握った自分の手を離さず、嬉しそうな顔をずっとしていた。

 カレーの並ぶ列のおじさんたちに挨拶していた途中だったので、また後で話をしようと一度別れた。

 {つづく}
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「寒いね・・・」

2010-09-15 07:59:03 | Weblog
 今朝、あんと散歩に出かけようと玄関を出ると寒かった。

 いや、ほんとうは寒くはなかったのだろうけど、今まで暑かった分、寒く感じられる陽気だった。

 寝て起きてそのままの格好甚平で散歩に出かける。

 この寒さはお腹がやられてしまうと思い、すぐにお腹のうえに手を置きながら歩いた。

 油断しているとすぐにお腹が痛くなってしまう。

 あんは雨上がりの地面をくまなく何かを探し続けるデカ{刑事}のようにクンクンしながら歩いている。

 実際はただの食いしん坊なのだが・・・。

 「あん刑事に何か見つかりますか?」

 あんに聞いても知らん顔でクンクンしている。

 「寒いね」と言っても知らん顔で地面をクンクンしながら歩いている。

 だが、さすがに今までの気温と違うことをあんも感じるのだろう。

 いつもよりもトコトコとは歩かず、少し何かを警戒している感じをたまに見せた。

 こう涼しくなれば、多摩川にもまた行けるようになるのかと夢見るが、残念なことにあんは多摩川に行きたい素振り見せてはくれない。

 いつか休みのときには抱っこしてでも多摩川に連れて行こうとは思っている。

 そしたら、きっとあんも思い出すはず、多摩川の友達との楽しい出会いの数々。

 少し涼しくなって嬉しい。

 あんとまた多摩川に行こう。
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優しいもの。その2。

2010-09-14 12:18:16 | Weblog
 静かに座っているだけだが、自分が隣にいると、他のおじさんたちに目立ってしまう。

 自分たちの前を通るおじさんは必ず自分に挨拶をしてから帰っていく。

 ある一人のおじさんが自分たちの前に立った。

 彼は喋れないおじさんのことを知っていて、彼が福祉を受けて独り暮らしをしていることを自分に話した。

 その話し方が喋れないおじさんのことを少し見下したような感じだった。

 心のうちは表に現れ、喋れないおじさんの顔に雲がかかっていた。

 自分が隣にいるだけで彼が望みもしない相手が集まってきてしまうことを察して、自分は少し離れてみた。

 離れれば、そのおじさんも離れるだろうと思っていた。

 しかし、その逆だった。

 自分が離れると、そのおじさんは彼にタバコを要求し、今日配っていた乾パンまで取って行った。

 彼は要求を呑むほか無かった。

 面倒なことが早く無くなることを望むがために。

 それを見ていた自分はすぐに彼のもとに戻った。

 すると、喋れないおじさんはタバコを自分にもくれようとしていた。

 差し出してくれたのはマイルドセブンだった。

 タバコのボックスには違う短いタバコがたくさんあった。

 安いタバコ{わかば}だった。

 それも穴が開いていたりしていた。

 彼は自分が持っていたタバコのなかで一番良いものを自分にくれた。

 彼は穴の開いたわかばを穴を塞ぎながら吸っていた。

 自分はタバコを止めていたが、彼の思いを有り難くいただくためにタバコを吸った。

 彼は素晴らしいと思った。

 彼は自分よりも他人を大切にしていた。

 名誉や高価なものなど何一つ持っていないかもしれない、生まれた故郷に帰ることなど叶わない孤独な日々のなかにありながらも、人を想う心を持っていた。

 それを与える心を持っていた。

 いつも与えられているのはこの自分である。

 優しいものが辺りを包み込んでいた。

 握手をして、タバコのお礼をしっかりと伝えて、その場を離れた。

 自転車で帰ろうとすると、少し前に「みんなで食べてください」とあるおじさんからラッキョ一箱をもらっていたことを思い出した。

 誰にも奪われることなく、自転車のかごのなかにラッキョがあって一安心した。

 どんな経路でこのラッキョが来たかは聞かなかったが、賞味期限は来年の三月になっていて、まだ十分に大丈夫そうだったので、あの喋れないおじさんにあげようと思った。

 乾パンを取られ、何もなく帰るのは悲しいだろうと思ったからだ。

 彼は快くラッキョをもらってくれた。

 近くにいたおじさんたちにも配った。

 一人でMCに帰ってくる途中で20袋あったラッキョは全部出会ったおじさんにあげた。

 自分たちのためにとラッキョをくれたおじさんの意に反したことだったかもしれないが、必要な人にしっかりと与えることが出来たことに違いはないと、青空を見上げた。

 見上げた青空も優しいものの一つであった。

 与えられていたものの一つであった。
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優しいもの。

2010-09-13 11:45:05 | Weblog
 あの喋ることが出来ない中国人のおじさんはいつもカレーの列の前の方にいる。

 話しかけられてもただ頷く返事しか出来ないからだろうか、誰からも声を掛けられないように川の方をずっと向いていた。

 みんなに挨拶する自分の声に気付くと、彼はこっちを向いて微笑んでくれた。

 彼に近づき、しっかり握手をして笑顔を交わした。

 何度見ても思う、ほんとうに愛らしく穏やかな笑顔である。

 カレーを配り終えてから、しばらくカレーの容器を集めた後、彼のもとに行った。

 彼のそばに行くと、彼は右手を差し出し、握手を求めた。

 それを丁寧に受け止めて、そっと彼の隣に柔らかく座った。

 言葉はなくとも、心は静かに通い合い、落ち着き払った穏やかな気が二人の間を流れているのは分かった。

 それを有り難く丁寧に全身で味わった。

 心地良い風が吹けば、お互いに顔を合わせ、ただそれを喜ぶだけだが、決してそれだけではない。

 目に見えぬ優しいものが辺りを包み込んでいた。

 そのなかに自分たちは居た。

 {つづく} 
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辛いことがあった。

2010-09-07 12:18:35 | Weblog
 
 参っていた・・・。

 辛いことがあって、何もする気が起きらなかった。

 表情も心も固まったようになり、書くことも止めようとも考えた。

 食欲もなくなり、起き上がることさえ億劫に思えてならない日々が続いた。

 何をしても楽しみ、面白みを感じることが出来ず、油断していれば、しゃがみ込んでしまいそうだった。

 元気もなければ、やる気もない。

 ただ悲しみをじっと味わっていた。

 悲しくて悲しくてしょうがなくなるまで、そのものを見続けた。

 自分の愚かさや弱さ、醜さを見続けた。

 誰かに慰めてほしいと思ったときには、マザーの祈りを祈り続けた。

 そこで心を見詰めていた。

 自分はあらゆる自己防衛して、何を誤魔化そうとするのか、一つひとつ、瞬間瞬間、じっと見詰めていた。

 都合のいい考えの先には心の成長はない。

 そこでは自己防衛をし続けているだけに過ぎないことが多い。

 この苦しみがいつかより良いものへ成る糧になれるよう、その可能性へと導けるように、自己と向き合う。

 辛くてしょうがないが、それを十分味わいきることしかない。

 自分が自分から逃げてはいけない。

 苦悩を大切に扱うことにより、強く喜びを見出せるだろう。

 他人の小さな思いやりでさえ、愛溢れる行いとして受け容れるようになるだろう。

 だから、いまを大切にする。

 無理やりに自分を元気になどさせない。

 無理は決して続かず、いつか必ずと言って良いほど、自己と周りのものを破壊してしまう。

 自分は自分の苦しみと醜さをゆっくりと十分に分かってあげる必要がある。

 ただそうしている。

 祈りのなかに逃げることもせず、ありのままをありのままに内省しようと試みている。
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