今日のしんぶん赤旗は、「都知事選の掲示板異常事態ー攻撃者を育てた人権行政の後退」の見出しで、書いています。紹介します。
攻撃者を育てた人権行政の後退
女性支援団体
「Colabo」代理人 太田啓子弁護士
選挙の場で首をかしげたくなるパフォーマンスをする候補は以前からいましたが、今回は底が抜けた内容が愚かで、大規模なことにあきれています。
非常識な奇行や特定の人々を傷つける行為でも、表示数や再生回数を多く稼げればいいというネット社会で横行する発想が、選挙に持ち込まれている点で深刻です。
民主主義に大事な選挙制度で、これまで想定されていなかった隙を突き、選挙を嘲笑し、おとしめ、真面目に自分の一票を託す候補を考える人々を冷笑しています。
今回、女性の裸を選挙ポスターにした候補は、虐待や性搾取にあった少女らに寄り添う「コラボ」が新宿・歌舞伎町で行ってきたバスカフェ活動への妨害を行っていた地方議員(当時)です。
東京都は、若手女性支援事業を委託した団体が、この元地方議員を含め何人もの人物に執拗な悪質の攻撃を受けていたことに対し、団体を助ける動きを全くとりませんでした。
悪質な行動を助長
本来であれば小池知事自ら「妨害などあってはならない」と毅然と公の場で述べるなどの対応をすべきでした。そうしなかったことで、このような悪質な行動をする人物を助長することにつながりました。小池都政下の人権行政の無責任さを問うべきだと思います。
この人物を朝日新聞は「京大卒ジョーカー、挫折の先の自己実現 ウケ狙いから当選への分析」というタイトルで、妨害活動に触れず好意的に扱ったことがあります。後にその記事は削除されましたが、一部メディアも女性団体攻撃の本質を理解せず、攻撃者を助長することに加担することになってしまった例の一つです。また、小池知事は、関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者への追悼文を送っていません。差別に基づく深刻な暴力の歴史をあえて軽視し、それをアピールする態度です。
ヘイトの”許可証”
都知事がこうした行為をすることは、「こういうことはやってもいいんだ」というヘイトへの”許可書”をメッセージとして社会に発信することになります。小池都政はマイノリティーを軽視して攻撃していいんだと攻撃者に思わせる土壌を育んでしまったといえるのではないでしょうか。
今回のポスターをめぐる問題を一部候補の”パフォーマンス”問題で片付けてはいけません。
都知事選でまともな人権行政を取り戻したいですね。