雪月花 季節を感じて

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雪岱の雪

2010年02月11日 | 雪月花のつぼ ‥美との邂逅
 
 この冬はじめての積雪を踏み分けつつ、ある画家の雪絵を見に出かけた。画家の名は小村雪岱(こむらせったい、1887~1940年)。資生堂化粧品のデザイン、書籍の装幀や挿絵(とくに泉鏡花の本の装幀を多く手がけた)、歌舞伎の舞台美術等々、53歳の若さで亡くなるまで多方面で才能を発揮した人物である。昨年末に訪れた金沢で、泉鏡花記念館が休館中だったため見逃した雪岱の装幀画が、画家の出身地の美術館で一挙公開されていると知り、こころ躍るきもちで雪の中を出かけていった。


 浮世絵系の絵ではあるけれど、同時代に活躍し親交もあった鏑木清方と同じく独自の絵の世界を展開した。かんたんに言えば、浮世絵から余計や無駄をすべて取り払ったら、表情どころか人そのものが画面から消え、余韻だけが残った‥という絵だ。《青柳》《落葉》《雪の朝》など、雪岱を代表する絵のいくつかでも知っている者なら誰しもそうおもうだろうし、画中に人物が存在しても、その表情はけしてゆたかとは言えず、むしろ無表情にちかい。いわゆるその引き目鉤鼻と、俗世を俯瞰する構図、また、紙面の三分の二ほどを大胆に占める空や海や川のかぎりなく深く静謐な藍は印象的で、見る者をまるで彼岸へと誘うかのようである。

 中でも、鏡花『愛染集』の装幀と見返しに描かれた江戸の雪景色は秀逸で、どこかで似た絵を見た気がしたら、蕪村の《夜色楼台図》と東山魁夷の《年暮る》であった。ただし、雪岱の雪はふたりのものとはちがう種類の雪だ。京都と江戸という単純なちがいではない。うまく言えないけれど、たとえば蕪村と東山の雪が三好達治の「太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。」なら、雪岱のは道元の「‥冬雪さえて、すずしかりけり。」で、何か禅的な雪なのである。人のぬくもりのある前者の雪絵に対し、後者はきびしく、そこに非情ともいうべき美を感じるのはなぜだろう。雪岱は、悟っていたのだろうか。あるいは、雪そのものを描いたのが雪岱だといえるだろうか。


 おだやかな性格が災いして仕事は増える一方、しかし引き受けた仕事は完璧にこなし多忙を極めた売れっ子画家は、興福寺の阿修羅像を理想とし、いずれ好きな仏画を描いてしずかに暮らしたいと願っていたそうだが、果たせなかった。


 * * * * * * * * * *

 「小村雪岱とその時代」展は、埼玉県立近代美術館にて2月14日まで。もっと早くここでご紹介したかったのだけど、遅くなってしまいました。展示会を見逃してしまいそうな方は、『芸術新潮』二月号の特集「小村雪岱を知っていますか?」をぜひご覧ください。
 

貝紫幻想

2010年02月01日 | 雪月花のつぼ ‥美との邂逅
 
 米沢の「野々花染工房」五代目・諏訪好風氏のお話をうかがう機会にめぐまれた。「貝紫」と墨書きされた桐箱にたいせつにしまわれていたのは、生成色の紬地に鮮やかな紫でペルシャ紋様を描いた帯地。その色は、黄金に匹敵するほど貴重なものだったことから「帝王紫」ともよばれ、かつてカエサルやクレオパトラが愛した、にごりのない、透明感あふれる紫である。染織家は、この幻の色を染めるため貝から抽出した染料を数十年ものあいだ寝かせておく。貝紫は紫外線を吸収し酸化することにより発色するため、時を経るほどよい色に染まるのである。さらに、いちど染めると退色しないという性質をもち、三千年以上も生きつづけるという。

 諏訪氏は、貝紫の神秘に魅せられた男女の物語を描いた芝木好子の『貝紫幻想』(絶版、男性のモデルは京都「染司 よしおか」の四代目)を読んだのだろうか。お太鼓部にならんだふたつの紫のペルシャ紋は、ふたりの人間を抽象化したようにも見え、その周囲は藍で染めたちいさなダイヤ紋が散りばめられていた。海の色と、ちいさな巻き貝の抱く色が、諏訪氏の織布の上でみごとに出合い、溶け合っていた。一瞬、地中海の海辺をさまよっているような錯覚を覚えたのも、不思議でないかもしれない。


 時空を超越したものに出合うとき、日々いたずらに時を費やしていることを思わずにいられない。