名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(100); 四間飛車に玉頭位取り

2016-03-20 | 大山将棋研究
昭和48年5月、西村先生と第14期王位戦です。


大山先生が四間飛車、西村先生は玉頭位取りに。西村先生が穴熊党副総裁と言われるのはもう少しあとでしょうか。大山先生のほうが振り飛車穴熊を先に指していたのですね。でも普通の振り飛車のほうが似合っています。

25歩に34銀はあれ?と思いますが、33角では46銀から79角に対応できないので仕方ないのです。24歩には43飛のつもりか。

西村先生は24歩を見送ったので32飛まで間に合いました。しばらくは駒組みが続きます。

たまに見る桂馬の裏跳ね。有効かどうかは微妙ですが、ゆっくりしていると作戦負けになるのでこれが予定です。

その桂馬を成り捨てて

飛車を殺します。

二枚換えですが、この我慢も悔しいので振り飛車が成功しています。

飛車を下ろしましたが、71玉と桂馬の筋に備えておくほうが手堅たかったのかも。

さてここから角のラインで攻めるのですが、ここ数手が勝負です。46角の筋以外にも、前の図から95歩(多分手抜く)や86桂もありそうです。

1回57金が入るので(飛車は渡せない)後手玉が危険です。ここから大山先生のしのぎの手順。

角を取り桂馬を外して

この歩が微妙です。取れば95歩同香としてから玉を逃げ出すということですが、取るべきだったか。

すぐに金を取り返さずに打った角が後で効いてきます。西村先生としては受けにくいですからまずは敵玉に迫ります。

96の香が移動すると96桂と打たれます。だから桂馬を控えて打ちます。

大山先生は玉を逃げ出して攻めを余します。

67銀打と入れたので香車が取れましたが

76桂から85銀と玉頭を厚くしてから金を取り返し、ここでは大山先生が有利になりました。

桂頭玉寄せにくしなので桂馬を移動します。ですが攻め駒3枚なので戦力不足。

手厚く金を打ちました。西村先生から76の桂馬を取れないのでこれでよいです。

42銀の打ち込みに同金が疑問手。角で取って左に逃げ出すルートを確保しておけば問題なかったのですが

左右挟撃になって形勢は急接近。

成香は消去できましたがこの角打ちは痛そうです。

攻防の角打ち。ですが後手玉はかなり危険です。先手玉も危険ですし、1手違いには間違いありません。

桂馬を取って追いかければ同竜しかなく

竜を消去した時に後手玉が詰むか。

守りに打った香車の利きが通っては西村先生が勝ちになったという気がしますが

どうも後手玉が詰まないようです。

となれば角を外してどうか。先手玉に詰みがあるかどうかが問題です。

中合いでしのげるか

先手玉に詰みがあり、大山先生の勝ちです。83玉91桂92玉83銀から95飛成で61の金も使ってぴったり。


二枚換えでも飛車を取るところまでは振り飛車がうまくいったのだと思いますが、そこから玉頭方面で追い込めるのが玉頭位取りの優秀なところです。大山先生はやってきなさいと強気の誘いですが、普通は振り飛車がつぶれています。96歩に惑わされたのか、妥当な手順なのかはよく調べないとわかりません。玉を逃げ出して大山先生が有利になったのですが、42銀に同金で危なくなりました。形勢不明の終盤の攻防になりましたが、大山先生がどうにか勝ったという将棋です。とても面白いので、ぜひ並べてみてください。居飛車から並べても上下逆にして振り飛車から並べても楽しめます。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:西村一義7段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 6八玉(59)
8 4二飛(82)
9 9六歩(97)
10 9四歩(93)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5六歩(57)
14 7二玉(62)
15 6八銀(79)
16 4三銀(32)
17 5七銀(48)
18 8二玉(72)
19 7五歩(76)
20 7二銀(71)
21 7七銀(68)
22 3五歩(34)
23 2五歩(26)
24 3四銀(43)
25 5八金(49)
26 3三角(22)
27 7九角(88)
28 3二飛(42)
29 6六歩(67)
30 5二金(41)
31 8八玉(78)
32 1四歩(13)
33 7八金(69)
34 1三桂(21)
35 1六歩(17)
36 2五桂(13)
37 2六飛(28)
38 5四歩(53)
39 6七金(58)
40 4二角(33)
41 7六銀(77)
42 2四歩(23)
43 6五歩(66)
44 3七桂成(25)
45 同 桂(29)
46 3六歩(35)
47 同 飛(26)
48 3五銀(34)
49 同 飛(36)
50 同 飛(32)
51 3八歩打
52 3六飛(35)
53 6六銀(57)
54 4九飛打
55 4六角(79)
56 4七飛成(49)
57 7四桂打
58 9二玉(82)
59 5七金(67)
60 4八龍(47)
61 9五歩(96)
62 4六飛(36)
63 9四歩(95)
64 7四歩(73)
65 9三歩成(94)
66 同 桂(81)
67 9四歩打
68 9六歩打
69 4六金(57)
70 4九角打
71 9六香(99)
72 8二玉(92)
73 9三歩成(94)
74 同 香(91)
75 8六桂打
76 7三玉(82)
77 7四桂(86)
78 6四歩(63)
79 6七銀打
80 8四桂打
81 9三香成(96)
82 7六桂(84)
83 7七玉(88)
84 8五銀打
85 6九香打
86 4六龍(48)
87 9七桂(89)
88 9六銀(85)
89 8二桂成(74)
90 4八龍(46)
91 7二成桂(82)
92 同 玉(73)
93 8二飛打
94 6三玉(72)
95 8三飛成(82)
96 6二玉(63)
97 4三歩打
98 3一角(42)
99 8二成香(93)
100 7二歩打
101 7四歩(75)
102 6三金打
103 4二銀打
104 同 金(52)
105 同 歩成(43)
106 同 角(31)
107 4三金打
108 8一歩打
109 4二金(43)
110 8二歩(81)
111 8四角打
112 7三香打
113 同 歩成(74)
114 同 金(63)
115 同 角成(84)
116 同 歩(72)
117 8二龍(83)
118 7二桂打
119 8六玉(77)
120 8一歩打
121 同 龍(82)
122 7四角打
123 6四歩(65)
124 9七銀(96)
125 同 玉(86)
126 9六銀打
127 8六玉(97)
128 8五銀(96)
129 同 龍(81)
130 同 角(74)
131 6三香打
132 5三玉(62)
133 4三金打
134 6四玉(53)
135 7五銀(66)
136 6三玉(64)
137 7六銀(67)
138 6四歩打
139 同 銀(75)
140 6二玉(63)
141 7五銀(64)
142 6四歩打
143 8五銀(76)
144 同 角成(49)
145 同 玉(86)
146 8一香打
147 8三桂打
148 同 香(81)
149 9四玉(85)
150 9八飛打
151 9五歩打
152 8二桂打
153 投了
まで152手で後手の勝ち











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第159回名南将棋大会結果速報

2016-03-19 | 名南将棋大会
今日は第159回名南将棋大会(壱)を行いました。結果速報です。

A級優勝
伊藤康さん

青木一さん



B級優勝
丹羽拓郎さん

小倉健司さん


C級優勝
大河内正男さん

荒木昭一さん
宮堂力旗さん



優勝おめでとうございます。
参加いただいた皆様ありがとうございました。

今回は混戦で、各クラス複数優勝です。
日程を分けてから12回目にして初めて(壱)が奇数の参加人数になり私も指せました。それだけでもうれしいです。
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大山将棋研究(99); 三間飛車に中央位取り

2016-03-19 | 大山将棋研究
昭和48年5月、内藤先生と第12期十段戦です。


内藤先生が三間飛車。大山先生はあまり見ない手順ですが中央位取りです。

36歩に38飛で対応。2筋の歩を伸ばしていないので、このほうがいいでしょう。

抑え込まれてはいけないので内藤先生が中央から開戦。

角交換になりました。

互いに角を打ちこみます。28飛は38歩が嫌なので39飛ですが、大山先生のほうは桂香を取れそうです。

ここで内藤先生も28馬かと思いましたが、26馬から形よく使います。

内藤先生はあくまで筋よく飛車を移動し、28香と打たせます。

玉に近づく金銀の繰り替えが大山流です。

飛車を取って2筋に打つのは28香を使うため。

内藤先生は2筋をこじ開けて桂香を拾いに行きます。この歩は取りにくい。

互いに駒をはがし合います。

大山先生が駒得ですが、27桂と打ったので取り返されそう。

馬を作られ飛車は逃げきれませんが、じっと13馬の利きを止めておくのがいい手です。

飛車は金で取られることになりましたが

馬を追って56の金を先手で守ります。

駒を取り合ってみると13馬が捕獲されそう、内藤先生は飛車を合わせて対応しますが

角を打って馬を消すほうがいいのですね。後手の飛車は残るのでまたいじめられます。

飛車を下されて先手玉も薄いですが、攻め駒が少ないのでまだまだ受けは利きます。

13の馬を受けに使います。

銀を投入してとにかく受けます。

馬を使って拠点を支える45歩を払いに行きます。

内藤先生は27桂を取り飛車を使い、まだまだ形勢の差は小さいです。

金を投入して、大山陣のすそはやや寒いものの、上部が手厚いです。

1段目を狙いますが、香を打つのがしっかりした受けです。78に利いています。

銀を左に移動して馬筋を通し

内藤先生はやっと飛車が世に出そうです。

ここで42と の利かし。これが入ったのが大きいです。

攻防の角。28竜を阻止して64角を見せます。

端から角を捨てる手筋。金がない時は必死がかかるので取れません。

内藤先生は55歩85桂と利かせて金を置いてげたを預けます。でも歩切れがたたることに。でも55歩は入れないと64角があるし、仕方ない流れでしょう。

端を攻めてみると、42と の利かしが大きかったというのがわかります。92歩と受けないと受かりませんが歩切れ。

金を取って内藤先生に受けはありません。先手玉が詰むかどうかですが

きわどく詰みがないのでしょう。大山先生の勝ちになりました。


大山先生が先に桂香を拾って、歩切れではありますが指しやすくなり、そこから長い攻防が続きました。金銀を繰り替える中終盤は大山先生らしさが全開です。形勢はほとんど互角ですが、どちらにもミスがみえず、最初のリードを保ってゴールしたのだと思います。内藤先生の敗因は、左翼が詰まっているのに端攻めをして反動が大きかったということなのですが、97香をすぐに取ってしまうほうがよかったのかも。どちらも力を十分出し切った将棋です。名局といってもいいでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:内藤王位
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 3二飛(82)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 6八玉(59)
8 6二玉(51)
9 7八玉(68)
10 7二玉(62)
11 6八銀(79)
12 3五歩(34)
13 5六歩(57)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6七銀(68)
18 4四歩(43)
19 5五歩(56)
20 4三銀(42)
21 5六銀(67)
22 1四歩(13)
23 5八金(49)
24 7二銀(71)
25 6七金(58)
26 3六歩(35)
27 3八飛(28)
28 3七歩成(36)
29 同 銀(48)
30 5四歩(53)
31 6五歩(66)
32 4五歩(44)
33 6八金(69)
34 5二金(41)
35 5四歩(55)
36 8八角成(22)
37 同 玉(78)
38 5四銀(43)
39 3三歩打
40 同 飛(32)
41 5五歩打
42 4三銀(54)
43 2二角打
44 4九角打
45 3九飛(38)
46 2七角成(49)
47 1一角成(22)
48 3六歩打
49 4八銀(37)
50 3四飛(33)
51 2一馬(11)
52 2六馬(27)
53 5七銀(48)
54 3五馬(26)
55 3八飛(39)
56 2四飛(34)
57 2八香打
58 3四飛(24)
59 7八金(68)
60 2四歩(23)
61 1二馬(21)
62 2五歩(24)
63 6八銀(57)
64 2六歩(25)
65 3四馬(12)
66 同 銀(43)
67 2一飛打
68 2七歩成(26)
69 同 香(28)
70 2八歩打
71 2三香成(27)
72 2九歩成(28)
73 3三成香(23)
74 4四桂打
75 2七桂打
76 1三馬(35)
77 3四成香(33)
78 5六桂(44)
79 同 金(67)
80 6九角打
81 3六飛(38)
82 4七角成(69)
83 3七歩打
84 6九銀打
85 2四歩打
86 7八銀成(69)
87 同 玉(88)
88 2五金打
89 5九桂打
90 3八馬(47)
91 4七銀打
92 同 馬(38)
93 同 桂(59)
94 3六金(25)
95 同 歩(37)
96 3一飛打
97 2二角打
98 2一飛(31)
99 1三角成(22)
100 4六歩(45)
101 同 金(56)
102 2八飛打
103 5七銀打
104 4五歩打
105 5六金(46)
106 5九銀打
107 2三歩成(24)
108 1九と(29)
109 4八歩打
110 6八銀成(59)
111 同 銀(57)
112 4六香打
113 5七銀打
114 5八銀打
115 3五馬(13)
116 2七飛成(28)
117 4五馬(35)
118 4七香成(46)
119 同 歩(48)
120 4一飛(21)
121 4四成香(34)
122 4七銀(58)
123 6七金打
124 4三歩打
125 3四成香(44)
126 4四桂打
127 同 成香(34)
128 同 歩(43)
129 3五馬(45)
130 2九龍(27)
131 3二と(23)
132 4三飛(41)
133 5四歩(55)
134 5八銀(47)
135 7九香打
136 6四歩(63)
137 8八玉(78)
138 8四香打
139 6六銀(57)
140 6七銀(58)
141 同 銀(68)
142 2三飛(43)
143 2四歩打
144 同 飛(23)
145 同 馬(35)
146 同 龍(29)
147 4二と(32)
148 6二金(52)
149 4六角打
150 2七龍(24)
151 5七銀(66)
152 9五歩(94)
153 同 歩(96)
154 9八歩打
155 同 香(99)
156 9七歩打
157 同 香(98)
158 9九角打
159 7八玉(88)
160 8五桂打
161 8六銀打
162 5五歩打
163 6六金(56)
164 4七金打
165 9四桂打
166 同 香(91)
167 8五銀(86)
168 同 香(84)
169 9四歩(95)
170 4六金(47)
171 9三歩成(94)
172 同 桂(81)
173 9四桂打
174 7一玉(82)
175 9一飛打
176 8一銀(72)
177 4六銀(57)
178 8七香成(85)
179 同 玉(78)
180 6九角打
181 7八香打
182 6七龍(27)
183 同 金(66)
184 9五桂打
185 同 香(97)
186 9六銀打
187 同 玉(87)
188 7八角成(69)
189 同 香(79)
190 8五銀打
191 9七玉(96)
192 投了
まで191手で先手の勝ち











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20160319今日の一手<その297>; 攻め駒を増やす

2016-03-19 | 今日の一手
20160319今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、KさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
角と銀歩の交換、後手は持ち歩がないので歩も入れて2枚換えです。先手は穴熊なので大駒よりも金駒がよいということもよくありますし、損得なしに近いとしておきましょう。後手は角2枚を手放しているということもあわせれば先手が駒得と考えてもいいでしょう。(63角が銀よりも働いていない)
玉の堅さは先手玉のほうが堅いです。
先手の攻め駒は64飛と持ち駒銀で2枚。
後手の攻め駒は44角63角で2枚。
総合すれば先手が指せそうです。

大局観として
さらに玉を固めるとその間に後手玉も堅くなるので攻めを考えたほうがいいです。攻め駒が2枚では足りないので攻め駒を増やすのが本筋。と金を作る筋はすぐにはなさそうなので、左の銀桂を使いたいです。


× 実戦は45歩でした。

45同角は飛車が成れますし、45同桂はその桂馬を取れるかもしれません。ですから35角で、36歩57角成54歩

この攻め方はいかにも筋という感じもするかもしれません。でも馬を作られ歩を渡すので明らかな駒損になります。46馬と使われて飛車取り。勢いで63飛成同金53歩成。

53同金71角52飛54歩63金44歩同歩43銀

こんな感じで一見は快調なのですが、72飛44角成42歩

53歩成はなかなか実現しません。2枚の攻めから増やすことができず、切れ模様になりました。43銀は打たないほうがよく、黙って44角成のほうがよかったでしょう。それで互角に近い形勢でした。


○ 攻め駒を増やす(増やそうとする)66銀が本筋です。

86歩にはちょっともったいないですが55銀打。

35角に63飛成同金36歩で角を捕獲できます。

44角同銀同歩55銀

これで44銀から55角の筋を狙います。87歩成はいつでも83歩があるので問題なし。攻め駒が3枚になりました。

66銀には54歩でどうか。55銀打を防いでいます。

55歩と合わせて、同歩なら54銀

72角53歩同金62飛成

52金引64竜

竜を作って攻めが厚くなりました。歩を取り返して銀や桂を使えば有利になります。

後手は55歩を取れなくて86歩なら

54歩87歩成53銀これで快調です。

53同角同歩成同金71角

52飛53角成同飛54歩

これで飛車が成れそうです。
86歩ではなくて42金左とか我慢すればつぶれないのですが、左の銀桂を使える余裕ができます。


○ 65飛もあります。

次に66銀としたら55銀と進出できるという意味です。42金上66銀54歩には75歩

75同歩なら飛車をさばきやすくなります。86歩には64銀72角74歩

と金を作れば簡単です。

65飛には73桂64飛55角で飛車を取られるのですが、66飛

66同飛同銀は歓迎ですし、このままでも64銀があります。
65飛をとがめる順はなく、そのあとに66銀は間に合いそうです。


△ あっさり44飛も見えます。(44角の方が63角より働きがよいので刺し違えます。)

44同歩に55角が狙い。

92飛に83銀

形勢は悪くはないのですが、筋は悪いです。79飛から寄せ合いで、27の地点を狙われそうです。


穴熊の場合、囲いに手がかかること、また駒が片寄ることから、攻め駒の枚数が減りがちです。攻め駒(になるもの)を4枚使えたら楽勝ですが、3枚でどうにか攻めをつなげなければいけない、ということが多いのではないでしょうか。攻めが細いので読みの力を要求されます。Mさんは読みが得意なタイプなので、実戦の45歩から54歩の筋に飛び込んでしまったのですが、方向が違うとうまくいきません。攻め駒が少ない(2枚しかない)のでその範囲で頑張って考えても苦労が多いです。
形勢がよいのですから、自然な手がよいです。自然な手とは駒を得する手(損しない手)や駒の働きをよくする手(相手の駒の働きを悪くする手)です。
77銀は8筋を守っているから、なんて考えていては攻め駒が足りません。(すぐにあるいは65飛から)66銀と使えば形勢は良くなるのです。



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大山将棋研究(98); 中飛車に引き角

2016-03-18 | 大山将棋研究
昭和48年5月、塚田正夫先生と第28期A級順位戦です。


大山先生が先手で、塚田先生は振り飛車を指すようになっていたのでしょうか、どちらが振るかという駆け引きです。

65歩に84歩を見て大山先生の中飛車になりました。この55歩は1手儲けようと働いた手です。

塚田先生は普通に53銀と中央に備えても大山先生の中央の圧力が強すぎるという判断で、引き角にして8筋を狙います。

塚田先生の玉が安定していないので大山先生から動きます。

互いに78金72金と備える展開になりました。

塚田先生が85歩と打つのは仕方ないのかもしれませんが妥協した手です。ここで94歩ならおとなしかったのですが

45歩に46歩で小競り合いが始まりました。

桂頭を攻められて金を上がるのでは本意ではないでしょう。

大山先生は中央に転戦。これを見て75金から動きました。

大山先生の金打もあまりやりたい手ではないのですが、74歩では65桂なので仕方ないのでしょう。一応桂得になります。

角交換になり大山先生の桂得ですが、73金が働いているわけでもないので形勢は互角に近いです。塚田先生としては飛車が攻めに使えていないのですが、玉が堅いのでまあまあ。

と金攻めを見せられて、この角打ちが実戦的な好手です。

角を切って銀を出ると、先手玉がかなり弱体化したので駒損でもよいのです。65金なら56銀打、63金には76歩67金66歩という調子で、攻めが続きます。

大山先生は飛車を切って銀を自陣に打ちます。

塚田先生は桂香を拾い、大山先生は と金で攻めます。途中45角が竜飛両取りなのですが、56銀から47銀打で寄せられてしまうので59歩と守るのは仕方ないようです。ここではいい勝負。

24香と2筋を攻めるのは急所です。大山先生の角打ちは攻防です。

77の金取りを受けても2筋を桂香で攻められるのでダメです。だから大山先生は後手玉を攻めて活路を探します。

銀を取り金を使い、とにかく後手玉に迫ります。

塚田先生はどんどん自陣に駒を投入して守ります。

固められて攻め手がなく、飛車を追いかけるのですが、これは筋が悪く、

銀を捨てて飛車を取っても、62金や77金が働いていないので塚田先生がよくなりました。

36歩と懐を広げるのは大山先生らしい粘りの手なのですが、竜を引かれ銀を使わされてしまいました。一度悪くなってしまうとやりたくない手ばかり。

先手玉をにらむ急所の角打ち。

37玉とかわせば(36歩が生きました)馬を追われます。

とうとう馬がつかまり、塚田先生が優勢です。

27の地点もにらんで味の良い角打ちです。

塚田先生としては攻める手には困らないので玉はしっかり守ります。

ここでもゆっくり玉を固めながら攻めます。

これで投了図。89竜とされれば受けが無くなるので仕方ないです。


大山先生の序盤感覚が良くてリードしていたのですが、58飛とまわって75金を許したあたりで難しくなりました。58飛ではなく66角と75を守っておくものなのかもしれません。桂得でも金銀が離れるのは大山先生らしくないです。左金も負担になったまま終わりました。塚田先生の74角から38の銀をはがし55銀というのが素晴らしい手順で、角損に近いのですが玉の堅さが違うからという判断が優りました。大山先生は79飛から桂香を拾われてしまう(45角が利かなかった)というのが誤算でしょう。2筋攻めをみせられてからは苦しくなり、逆転はありませんでした。156手の大熱戦、力のこもった将棋です。塚田先生のほうをもって並べてみるほうが楽しいでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:塚田正夫9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 4二銀(31)
5 6八銀(79)
6 5四歩(53)
7 5六歩(57)
8 4四歩(43)
9 6七銀(68)
10 4三銀(42)
11 6五歩(66)
12 8四歩(83)
13 5八飛(28)
14 8五歩(84)
15 5五歩(56)
16 同 歩(54)
17 同 角(88)
18 5四歩打
19 7七角(55)
20 3一角(22)
21 8八飛(58)
22 6二銀(71)
23 4八玉(59)
24 5三銀(62)
25 3八玉(48)
26 4二玉(51)
27 8六歩(87)
28 同 歩(85)
29 同 角(77)
30 3二玉(42)
31 7八金(69)
32 7二金(61)
33 2八玉(38)
34 7四歩(73)
35 3八銀(39)
36 8五歩打
37 6八角(86)
38 4五歩(44)
39 4六歩(47)
40 同 歩(45)
41 同 角(68)
42 7三桂(81)
43 7五歩(76)
44 4五歩打
45 6八角(46)
46 8三金(72)
47 7六銀(67)
48 4四銀(53)
49 7四歩(75)
50 同 金(83)
51 7五歩打
52 8四金(74)
53 6七金(78)
54 2二玉(32)
55 7七角(68)
56 3二金(41)
57 5八飛(88)
58 7五金(84)
59 同 銀(76)
60 同 角(31)
61 7四金打
62 8六角(75)
63 7三金(74)
64 7七角成(86)
65 同 金(67)
66 8一飛(82)
67 6四歩(65)
68 4六歩(45)
69 4八歩打
70 6四歩(63)
71 5三歩打
72 同 銀(44)
73 6三金(73)
74 4四銀(53)
75 5三歩打
76 7四角打
77 6四金(63)
78 3八角成(74)
79 同 玉(28)
80 5五銀(44)
81 同 飛(58)
82 同 歩(54)
83 5八銀打
84 7九飛打
85 5二歩成(53)
86 8九飛成(79)
87 5九歩打
88 9九龍(89)
89 5三と(52)
90 2四香打
91 3六角打
92 7一飛(81)
93 6五角打
94 4七歩成(46)
95 同 銀(58)
96 4二歩打
97 4三と(53)
98 同 歩(42)
99 5三金(64)
100 4二銀打
101 5四銀打
102 3一桂打
103 4六桂打
104 3三銀打
105 7四歩打
106 6八歩打
107 6二金(53)
108 8一飛(71)
109 4三銀成(54)
110 同 銀(42)
111 8一角成(36)
112 6九歩成(68)
113 8九歩打
114 6四歩打
115 4三角成(65)
116 同 桂(31)
117 3六歩(37)
118 9七龍(99)
119 8八銀打
120 9六龍(97)
121 4五馬(81)
122 6五角打
123 3七玉(38)
124 4四歩打
125 3四桂(46)
126 同 銀(33)
127 同 馬(45)
128 3三銀打
129 1六馬(34)
130 4五桂打
131 2八玉(37)
132 1四歩(13)
133 6六歩打
134 1五歩(14)
135 4三馬(16)
136 同 角(65)
137 4一飛打
138 3五歩打
139 3八金(49)
140 4九角打
141 3一銀打
142 同 金(32)
143 4三飛成(41)
144 5七桂成(45)
145 5二龍(43)
146 4二銀打
147 5五龍(52)
148 4七成桂(57)
149 同 歩(48)
150 9八龍(96)
151 5六角打
152 4五銀打
153 6七角(56)
154 3八角成(49)
155 同 玉(28)
156 6八と(69)
157 投了
まで156手で後手の勝ち






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大山将棋研究(97); 四間飛車に中央位取り

2016-03-17 | 大山将棋研究
昭和48年5月、灘蓮照先生と第2回早指し選手権です。


大山先生の四間飛車に灘先生は中央位取り。でも36歩を突く急戦のほうなら左銀を56にもっていかねばなりません。

組んでみたものの開戦できず、47に上がった金を引き戻します。

大山先生の31飛を見ての灘先生の仕掛け。

22角成が飛車に当たるという寸法で、仕掛けのタイミングとしてはよかったようです。

けれどそのあと23馬くらいしかないのでは戦果は小さく、飛角をさばけそうで大山先生が有利です。飛車を縦に引くと65銀で支えきれなさそう。36に寄れば

あっさり飛角交換ということになりました。

灘先生のほうは自分だけ手持ちにした銀を42に使ってしまうのが不満で、飛車を下した大山先生のほうがよさそうです。

65桂を防いでの66歩に75歩。これを手抜いたので先手玉が危険になります。

灘先生は構わず攻め合いですが、1回は67銀としておくべきでしょう。

軽く桂馬を攻めたのが急所で、攻め合いは大山先生の確実な1手勝ちです。69金打で粘るべきだったでしょう。

たたかれて先手玉は狭いのです。

飛車を切って難しくない寄せです。

投了図。


灘先生は早見え早指しだったはず。手の見えるままに進めたが1手負けだったということでしょう。受けておけばまだ難しいと思うのですが。大山先生の角切りから35銀で飛車を殺すのは本筋ではないと思うのですが、7筋を攻めて飛車だけで寄せてしまいました。後手をもって軽く並べておけばいいでしょう。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:灘蓮照8段
後手:大山9段
先手省略名:灘
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 3六歩(37)
10 4二飛(82)
11 5七銀(48)
12 6二玉(51)
13 6八玉(59)
14 7二玉(62)
15 7八玉(68)
16 8二玉(72)
17 6八銀(79)
18 7二銀(71)
19 9六歩(97)
20 9四歩(93)
21 5五歩(56)
22 5二金(41)
23 5八金(49)
24 6四歩(63)
25 2五歩(26)
26 3三角(22)
27 5六銀(57)
28 6三金(52)
29 5七銀(68)
30 7四歩(73)
31 6八金(69)
32 1四歩(13)
33 1六歩(17)
34 7三桂(81)
35 4六歩(47)
36 1三香(11)
37 4七金(58)
38 8四歩(83)
39 2六飛(28)
40 4一飛(42)
41 3七桂(29)
42 5四歩(53)
43 同 歩(55)
44 同 銀(43)
45 5五歩打
46 4三銀(54)
47 4八金(47)
48 5一角(33)
49 5八金(48)
50 3一飛(41)
51 4五歩(46)
52 同 歩(44)
53 5四歩(55)
54 同 銀(43)
55 2二角成(88)
56 6二角(51)
57 3五歩(36)
58 5一飛(31)
59 2三馬(22)
60 3五角(62)
61 3六飛(26)
62 5七角成(35)
63 同 金(58)
64 3五銀打
65 同 飛(36)
66 同 歩(34)
67 4二銀打
68 5二飛(51)
69 4一馬(23)
70 5九飛打
71 5三歩打
72 6二飛(52)
73 6六歩(67)
74 7五歩(74)
75 3四角打
76 7六歩(75)
77 5二歩成(53)
78 同 金(61)
79 同 角成(34)
80 同 飛(62)
81 同 馬(41)
82 7七歩成(76)
83 同 桂(89)
84 7六歩打
85 7四歩打
86 7七歩成(76)
87 同 玉(78)
88 7六歩打
89 8六玉(77)
90 5七飛成(59)
91 6三馬(52)
92 8五金打
93 9七玉(86)
94 8六角打
95 投了
まで94手で後手の勝ち



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20160317今日の一手<その296>; 疑問手を重ねない

2016-03-17 | 今日の一手
20160317今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、MさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆形勢判断をします。
香と桂歩歩の交換で、後手は歩切れですからやや駒得です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は39角と持ち駒桂で2枚。
後手の攻め駒は74飛22角64香91香で4枚。
総合すれば後手が有利です。

大局観として
問題図の少し前

ここで88桂と投入すれば手堅かったのですが、77金と立って64香39角56歩で問題図。22角の利きが通って、77の金を取られて桂馬で取り返すという筋がかなり先手玉を薄くするので受けにくくなっています。つまり77金が疑問手。
放置すれば77角成同桂67香成があります。77角成同桂76飛というのも96飛があるので困りますね。どうにか受ける手段を考えなければいけません。後手の攻め駒が4枚、たいした駒得でもありませんし、受けきりは難しいです。多少の犠牲は覚悟して頑張れる順を探さなければなりません。


× 普通の受けは78銀でしょうか。

77角成同桂57歩成

角で取って47金はまずいでしょう。57同飛76飛88桂46飛

両取りが決まってしまいます。


× 88桂は

77角成同桂67香成

受けになっていません。


× 88玉は67香成でだめですね。



△ 86玉なら

一応耐えています。94飛88桂84飛

揺さぶられて97玉は77角成同桂67香成


ですから84飛は取るしかなさそうです。84同角同歩で

78銀なら47角が痛く

59飛29角成48金28馬56銀85桂

こんな感じで駒損しながらの受けです。粘れますがこれではあまり見込みがないです。

飛車を取った後は56銀のほうがよさそうです。

85歩97玉77角成

77同桂67香成同銀89角

詰めろで銀取りです。99飛67角成78銀

案外これなら粘れそうです。とりあえず選択候補にしておきましょう。


× 56銀は自然ですが

77角成同桂76飛88玉55歩

67香成があるので困ります。


× 66桂は普通の受けなのですが

66同香同歩(同金は角を切られて76飛)85桂

86玉77桂成同玉96香

この時端を受けにくいのです。56銀99香成78銀94飛

97歩は89成香同銀97飛成98香85桂

これがぴったり。

96香の時に98歩は57歩成で

57同角は47金、57同飛は98香成です。

97歩と受けても

97同香成同桂96歩98歩97歩成同歩65桂

という筋でだめ。


○ ということで、実戦は66歩でした。攻め駒は近づけて受けよという手です。

66同香に同金と取ってしまったため

66同角同角76飛

これでは粘りようがありません。

66同香にほかの受けですが、68歩は67香成が盲点。

67同歩77角成同桂76飛

香をもらったので少しは条件がいいのですが、88玉96飛

飛車成が受からないのでまずそうです。

67香成に同金は

99角成78銀に94飛88桂95歩が手順の攻めです。

95同歩同飛96歩45飛同歩79銀

77銀は89馬でまずそう。98飛は88銀不成同飛85桂ですからいい受けがありません。

68歩ではなく88銀です。

94飛98玉69香成には66歩

角筋を止めて受けきれそうです。

とすれば88銀には64飛でしょう。

65歩同飛56銀68香成

飛車の取り合いはまずいです。28飛に77角成同銀67飛成

67同銀同成香79桂

まだ先は長いですがどうにか受けられるようです。


形勢が悪くなると好手はなかなかありません。それでも77の金を取られないように、あるいは取られても玉の囲いが弱くならないように考えねばなりません。

それで66桂が第一候補ですが、取られて85桂があるので却下。

78銀は77角成に同銀を用意しているのですが、67香成があるのでだめ。

実戦の66歩が(見えれば)次の候補で、同香に88銀がうまい手順です。77角成の後で67香成という順を防いでいます。
実戦では66同香に同金と取ってしまったのが敗着。2手続けて疑問手を指せば負けます。1手疑問手を指しても、そこで踏ん張れば案外形勢は悪化していないということもよくあるものです。











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大山将棋研究(96); 三間飛車に右4間飛車

2016-03-16 | 大山将棋研究
昭和48年5月、桐山先生と第22期棋聖戦です。


大山先生の三間飛車に桐山先生は右四間飛車です。プロでは右4間は少ないですね。

大山先生に32金と備えられたので急戦はあきらめて銀冠から穴熊に。関西では流行っていたのでしょうか。

この歩は交換するとやや囲いが弱体化するのですが、56の銀を引くことができます。

33桂には38飛。桂馬を跳ねて交換しようとするよりスマートです。

大山先生は中央を押えたのですが、金銀が分裂しています。

桐山先生の軽い仕掛け。37桂を跳ねていないので45同桂はなく、45同歩に44歩から34飛の筋を見ます。

その前に2筋の突き捨ては入りません。取ったら悪いので大山先生が角を使うのは当然。桐山先生も角を使おうとします。

右銀が使えて、桐山先生に先の見通しが出てきました。

角交換を挑みます。大山先生は大模様というか抑え込みを狙っていたはずなので、55歩と拒否すべきだったでしょう。角を換えて88同金は浮き駒ができるから取りたくはなります。

さらに55角は好点なのですが、堂々と飛車を回られて当てが外れました。普通は19角成は大きな手なので受けると思っていたでしょう。

桐山先生は56で飛車を捨てるより26で捨てたほうがいいので1回逃げたのですが、25歩ならば52歩31飛で耐えているように見えます。ここが大山先生の敗着かと思います。

と金を払って飛車を追う、この方がいいように見えますが、当然飛車を切られるわけです。

この図は振り飛車がつぶれているように見えます。

意味の分かりにくい手ですが、戦線拡大の好手。角を追われてから74角成とするのが手順です。

85同歩では84に空間ができるのを嫌って85同桂ですが、質駒になったので桐山先生は飛車を取って打ちこんで寄せに入ります。

香合いは64竜に63金の時に73に駒を打たれない意味。でも桂馬を取る余裕ができました。

73銀に83歩から94銀が目の覚める寄せです。

これで必至。

大山先生の抑え込みが失敗したのですが、角交換から55角とやりたくなるのはわかります。でも桐山先生は細い攻めをきれいにつなげて勝ちました。居飛車穴熊を指す方ならこういう細い攻め、相手がどう応じても難しそうなところを切れないようにつなげていく技術が必要です。この時代に現代的な指し方が見られました。
大山先生の指した抑え込みのほうを持つのは少数派だと思いますが、玉が薄い時は欲を出さずに抑え込みを貫かねばなりません。角交換して馬を使えれば抑え込みは一気に楽になるのですが、相手にも持ち角ができるので危険です。そのあと26飛の時に頑張らないといけませんでした。一つ間違うとやられてしまうので、玉が薄い方は大変です。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:桐山清澄7段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二飛(82)
7 4六歩(47)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 7八玉(68)
12 7二玉(62)
13 5八金(49)
14 8二玉(72)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 4七銀(48)
18 7二銀(71)
19 5六銀(47)
20 4三銀(42)
21 4八飛(28)
22 4二飛(32)
23 3六歩(37)
24 3二金(41)
25 7七角(88)
26 4一飛(42)
27 8八玉(78)
28 6四歩(63)
29 7八銀(79)
30 6三銀(72)
31 8六歩(87)
32 7四歩(73)
33 8七銀(78)
34 7二金(61)
35 7八金(69)
36 5四歩(53)
37 9八香(99)
38 7三桂(81)
39 9九玉(88)
40 8四歩(83)
41 6八金(58)
42 6五歩(64)
43 6六歩(67)
44 同 歩(65)
45 同 角(77)
46 6五歩打
47 7七角(66)
48 3三桂(21)
49 3八飛(48)
50 6四銀(63)
51 3五歩(36)
52 同 歩(34)
53 同 飛(38)
54 3四歩打
55 3六飛(35)
56 5一飛(41)
57 2五歩(26)
58 5五歩(54)
59 6七銀(56)
60 3一角(22)
61 4五歩(46)
62 同 歩(44)
63 2四歩(25)
64 5三角(31)
65 5六歩(57)
66 2四歩(23)
67 5五歩(56)
68 4四角(53)
69 8八角(77)
70 3五歩(34)
71 1六飛(36)
72 1四歩(13)
73 7五歩(76)
74 同 銀(64)
75 7六銀(67)
76 6四銀(75)
77 3四歩打
78 同 銀(43)
79 5四歩(55)
80 8八角成(44)
81 同 金(78)
82 5五角打
83 5六飛(16)
84 1九角成(55)
85 5三歩成(54)
86 5五歩打
87 2六飛(56)
88 5三飛(51)
89 2四飛(26)
90 2三金(32)
91 5四歩打
92 4三飛(53)
93 2三飛成(24)
94 同 銀(34)
95 5二角打
96 3二銀(23)
97 8五歩(86)
98 同 桂(73)
99 4三角成(52)
100 同 銀(32)
101 4二飛打
102 5四銀(43)
103 6二金打
104 同 金(72)
105 同 飛成(42)
106 7二香打
107 8五銀(76)
108 7三銀(64)
109 8三歩打
110 同 玉(82)
111 9四銀(85)
112 同 香(91)
113 9五桂打
114 同 香(94)
115 9三金打
116 同 玉(83)
117 7二龍(62)
118 投了
まで117手で先手の勝ち




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大山将棋研究(95); 四間飛車穴熊に玉頭位取り

2016-03-15 | 大山将棋研究
昭和48年5月、坪内利幸先生と第14期王位戦です。


大山先生の四間飛車に坪内先生は持久戦。

位取り模様ですが、大山先生は74歩と位取りを拒否するのはあったはず。端を突きあったのに穴熊にします。まだ使えるかどうかやってみようと思ったのでしょう。バリエーションが広い方が対策を絞られなくてよい、と思う人です。

坪内先生は角を右に転回しようとして

45歩を見て戻します。43金と替ったので悪くはないです。

やっと玉頭位取りになりました。

これで一応組上がりです。ここから大山先生は左金の移動をするのは定番。

坪内先生の仕掛けですが、これをやるなら76銀のままがよかったでしょう。

角を好点に打ちあい

互いに飛車をかわします。

手筋の歩。68飛を防ぐのと、形を乱す意味です。残れば拠点になります。76銀の形だったら大分違いますね。

横からの攻めに対しては堅さに大きな違いができたので飛車をぶつけます。

坪内先生は香車を取らずに何かなかったのでしょうか。この形で飛車を打たれたらダメでしょう。

この穴熊を攻略するのは困難。坪内先生は粘るしかありません。

桂馬を取るのは受けのためでしたが

馬を切って銀を打ち込まれたら駒を取り返されるのですから望み薄です。

軽い手がありました。同馬は54桂が痛いので受けが無くなります。

大山先生は簡単に寄せてしまいました。

大山先生は連敗でしたが、格下には負けません。少し実験的な指し方でも勝ってしまいます。67歩は良い手筋でした。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:坪内利幸5段
後手:大山9段
手数----指手--
1 2六歩(27)
2 3四歩(33)
3 7六歩(77)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4三銀(32)
9 5八金(49)
10 4二飛(82)
11 6八玉(59)
12 6二玉(51)
13 7八玉(68)
14 7二玉(62)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 5七銀(48)
18 8二玉(72)
19 6六歩(67)
20 5四銀(43)
21 6八銀(79)
22 5二金(41)
23 6七銀(68)
24 6四歩(63)
25 7七角(88)
26 9二香(91)
27 3六歩(37)
28 3二飛(42)
29 2五歩(26)
30 3三角(22)
31 1六歩(17)
32 1四歩(13)
33 5九角(77)
34 4五歩(44)
35 7七角(59)
36 4三金(52)
37 7五歩(76)
38 9一玉(82)
39 8八玉(78)
40 8二銀(71)
41 7八金(69)
42 7一金(61)
43 7六銀(67)
44 6二飛(32)
45 6七金(58)
46 4二金(43)
47 8六歩(87)
48 5二金(42)
49 8七銀(76)
50 5一金(52)
51 3八飛(28)
52 4四角(33)
53 6五歩(66)
54 7七角成(44)
55 同 桂(89)
56 6五歩(64)
57 4四角打
58 6四角打
59 1八飛(38)
60 1二飛(62)
61 7六金(67)
62 6二金(51)
63 6五桂(77)
64 1五歩(14)
65 同 歩(16)
66 6七歩打
67 8五歩(86)
68 1五飛(12)
69 同 飛(18)
70 同 香(11)
71 同 香(19)
72 5八飛打
73 6六角(44)
74 2八角成(64)
75 6三歩打
76 同 銀(54)
77 8四歩(85)
78 同 歩(83)
79 5一飛打
80 7二銀(63)
81 2一飛成(51)
82 3九馬(28)
83 6九桂打
84 5七馬(39)
85 同 角(66)
86 6八銀打
87 1三角成(57)
88 6九銀(68)
89 7七玉(88)
90 7八銀成(69)
91 同 銀(87)
92 4六歩(45)
93 6七銀(78)
94 5九飛成(58)
95 6三歩打
96 同 金(62)
97 6四歩打
98 6六歩打
99 同 玉(77)
100 6四金(63)
101 5三桂成(65)
102 5七金打
103 4六馬(13)
104 6五歩打
105 投了
まで104手で後手の勝ち





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20160315今日の一手<その295>; 力戦でこそ形勢判断が重要

2016-03-15 | 今日の一手
20160315今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、NさんとHさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得ですが後手に持ち歩があるのでカウントせず、竜を作られている分だけ損です。
玉の堅さは銀の位置の差で後手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒は45飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は27竜と持ち駒角で2枚。

総合すれば後手がやや有利です。

大局観として
このまま第2次の駒組みになれば玉の堅さはカバーできるのですが、竜を作られているだけ損です。できれば駒損を回復しておきたいところです。持久戦が進めば後手が持ち歩を使ったり歩のない筋に先手が位を取ったりして1歩得が生きるという場合もあるのですが、3,4筋は後手玉と遠いので望み薄です。


△ 実戦は22歩でした。先手のNさんはこれを狙って角交換に持ち込んだのです。でも33桂と逃げて飛車に当たってしまうので成立は難しそう。46飛と逃げて38歩

28歩は打てません。16角同竜同歩39歩成

金を損しては駄目ですね。先手玉が壁銀なのですぐに寄せられてしまいました。

38歩に49角の受けはありました。

39歩成27角29と の2枚換えは54角が嫌でしょう。28角には38角

24竜21歩成19角成22と

43金32と45香(44のほうがいいかも)

42と同金66飛

これは互角でしょうか。


○ 28歩はおとなしい手ですが狙いがあります。

24竜に15角があります。

33桂24角45桂68角

竜が消えれば損得なし。45の桂はそのうち取れますから先手が十分です。最初に竜と角を交換するほうがいいのでしょうが、やや先手もちです。


○ 先に15角でも同様で

33桂に28歩

45桂27歩14歩26角

角の位置が違うのですが、どちらが得かは好みです。


× 46飛など待つ手は

24竜28歩とされても

竜を作られている分だけ不満です。

また、38歩には28歩があるのですが(実戦の22歩では2歩で打てなかった)

39歩成27歩29と22角

2枚換えで後手が駒得ですから12金77角成19と

後手は歩切れでも3枚換えにして指せるでしょう。19のと金を使えば有利になります。

22飛でも31金打があって

問題なしです。



力戦になると形勢判断や大局観が重要になります。見たことがない局面でこそ形勢判断をしっかり行って、形勢が悪くなりそうな要因は消しておくか代償を得るか、ということを考えます。
まだ互いに攻め駒が少なければ先は長く、駒の損得が勝敗を分けることが多いです。竜が残るか消すことができるかというのは小さな差ですが、こだわらなければいけない場合があります。




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