名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(93); 中飛車に加藤流袖飛車急戦

2016-03-13 | 大山将棋研究
昭和48年4月、加藤一二三先生と第12期十段戦です。


大山先生の中飛車に加藤先生は急戦、今回は32金と受けました。これが普通なのですが。

加藤先生の袖飛車急戦。名前はついていませんね。優秀な戦法です。

桂馬を跳ねて2筋を突き捨てて45歩。9筋の突き合いがないのですが、どちらに有利かはわかりません。

33同桂に44歩同銀34飛43金24飛となれば先手有利。これが基本変化です。

ということで33同金に22歩ですが、45桂44金46歩というのもありそう。45桂に32金は41角でどうか。

桂馬は取りましたが、28角から35歩があるので忙しいです。61角から

34角成に35歩で飛車は捨てなければいけなくなります。

飛金交換ですが先手玉が堅いのでいい勝負。加藤流の袖飛車が優秀というのは、玉が堅くて攻められるからです。

加藤先生は2枚目の と金で攻めます。

大山先生は端の突き合いがないので8筋を露骨に狙いますが、あまりやりたい手ではありません。

8筋をしっかり受けて逆襲。これでやや加藤先生が有利です。

桂馬を取るのは急ぎ過ぎで、39歩は打つべきでしょう。

金銀をはがして大山先生が盛り返しました。

ここからははがしたり埋めたりの応酬です。

ここで馬を切って

また埋めます。でもこれでは戦力低下なので加藤先生が有利になってきました。

銀を捨てて玉を中段にかわすのが好手順。

この角が好打で、寄り筋が見えてきました。

端玉には端歩。でも金を打ってまた右に逃げられます。これで加藤先生が優勢です。

この香打ちは攻防でまだ大変そうですが、大山先生の持ち駒が少なく、戦力不足で先手玉を捕まえられません。

これで後手玉は受けが無くなりました。先手玉に詰めろがかかればいいのですが。

77同香成から97香成ですが、逆にしたほうが良いでしょう。

先手玉がつかまらなくて投了図。

この急戦が優秀だというのはわかっていただけましたか?攻めが続くかどうかが問題で、飛金交換では互角でしょう。大山先生は95桂から84飛しかなかったのかどうか。横から攻めると攻め合い負けだと感じて、手を稼ごうとしたということでしょう。長い終盤ですが、加藤先生が87玉と早逃げできたところで有利になりました。このしのぎ方は勉強になります。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:加藤一二三8段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 2五歩(26)
6 3三角(22)
7 4八銀(39)
8 4二銀(31)
9 6八玉(59)
10 5二飛(82)
11 7八玉(68)
12 6二玉(51)
13 5六歩(57)
14 7二玉(62)
15 5八金(49)
16 8二玉(72)
17 3六歩(37)
18 7二銀(71)
19 6八銀(79)
20 4三銀(42)
21 4六歩(47)
22 3二金(41)
23 5七銀(48)
24 6四歩(63)
25 3八飛(28)
26 7四歩(73)
27 3五歩(36)
28 同 歩(34)
29 同 飛(38)
30 6三銀(72)
31 3七桂(29)
32 3四歩打
33 3六飛(35)
34 7二金(61)
35 2四歩(25)
36 同 歩(23)
37 4五歩(46)
38 同 歩(44)
39 3三角成(88)
40 同 金(32)
41 2二歩打
42 4四銀(43)
43 2一歩成(22)
44 2八角打
45 6一角打
46 6二飛(52)
47 3四角成(61)
48 3五歩打
49 同 飛(36)
50 同 銀(44)
51 3三馬(34)
52 3七角成(28)
53 4四歩打
54 4六歩(45)
55 4八銀(57)
56 2六馬(37)
57 4三歩成(44)
58 3六銀(35)
59 5一馬(33)
60 9五桂打
61 5五桂打
62 8四飛打
63 8八金打
64 5四歩(53)
65 6三桂成(55)
66 同 飛(62)
67 5二銀打
68 7三飛(63)
69 9六歩(97)
70 3七歩打
71 9五歩(96)
72 3八歩成(37)
73 5九銀(48)
74 4七歩成(46)
75 1一と(21)
76 5八と(47)
77 同 銀(59)
78 4八と(38)
79 8六香打
80 5八と(48)
81 同 金(69)
82 4六桂打
83 5九金(58)
84 6二銀打
85 6一馬(51)
86 5八金打
87 8四香(86)
88 同 歩(83)
89 4八歩打
90 同 金(58)
91 同 金(59)
92 同 馬(26)
93 5九金打
94 同 馬(48)
95 同 銀(68)
96 7一金打
97 9六桂打
98 8五金打
99 8六歩(87)
100 9六金(85)
101 同 香(99)
102 5七香打
103 4八銀(59)
104 5八香成(57)
105 8七玉(78)
106 4八成香(58)
107 3一飛打
108 7五歩(74)
109 5三と(43)
110 同 飛(73)
111 3五角打
112 6一金(71)
113 同 銀(52)
114 6九角打
115 9七玉(87)
116 8三銀打
117 4六角(35)
118 6三金(72)
119 3五角(46)
120 9四歩(93)
121 7九金打
122 9五歩(94)
123 6九金(79)
124 9六歩(95)
125 8七玉(97)
126 7一香打
127 3二飛成(31)
128 7六歩(75)
129 5三角成(35)
130 9七歩成(96)
131 同 桂(89)
132 7七歩成(76)
133 同 金(88)
134 同 香成(71)
135 同 玉(87)
136 9七香成(91)
137 6三馬(53)
138 7六歩打
139 6八玉(77)
140 投了
まで139手で先手の勝ち







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20160313今日の一手<その294>; 玉が薄いときの仕掛けは苦労する

2016-03-13 | 今日の一手
20160313今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、NさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は28飛と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は25桂55銀と持ち駒角で3枚。

総合すれば互角です。

大局観として
升田式石田流で25桂とはねての14角は一つの狙い筋です。居飛車がうっかりしないと決まらないのですが。さて問題図はうっかりかどうか。玉の堅さの差があることは利点で、さらに桂馬をもらえば86桂は先手で入りそうなので攻め筋は広く、取る手を考えたいですね。


△ 25同飛と取ってみましょう。

14角には17桂の一手。

すぐに25角と取れば同桂24飛86桂

これに83銀は41角の傷があるのですが、83玉74桂に同玉は82角

詰めろで香車を取れます。

74玉とは取れないので、73歩がしっかりした受けで、先手からいろいろありそうでたいした手がありません。62桂成くらい。

62同金51角61金24角成同歩33桂成同金31飛

長く進めましたがこれくらいです。互角の勝負です。

すぐに飛車を取らないで24歩としたくなります。

でも45角33飛24飛

47角成25桂

これは駒損を回復して先手有利です。


△ 実戦は桂馬を取らないで26飛と我慢しました。

24歩と桂馬を支え、45歩に59角

56銀とぶつけるほうがよかったのですが、56歩37桂成同桂同角成55歩26馬

飛銀交換ならまあまあなのですが、攻め駒3枚、47銀が働かないのが今一つでやや後手有利。

45歩ではなく56銀とぶつけたいです。

45歩59角の後でもいいのですが、銀をさばけば25桂が空振りになりやすいです。
取らなくても45銀ですし、56同銀同歩59角45銀33飛54銀73桂75歩

こんな感じです。飛車を圧迫しながら攻勢に出ます。先手やや有利。


× 56歩はやや損です。

64銀65歩73銀引

手順に後手玉を固めさせてうまくありません。25飛14角17桂25角同桂24飛

こうなったらわかりやすいですね。


○ 56銀はシンプルに戦う手。

64銀とかわせば25飛

これは銀をかわしたのですから14角がありません。

56同銀同歩に37桂成同桂36歩45桂37歩成68飛

桂得で右桂が働いているので問題なし。

56銀同銀同歩には47角くらい。45銀と打ちます。

24飛53角44銀同銀同歩86角成

これも先手が十分です。


先手玉が堅いので、後手から動くのはやや無理です。カウンターを決められやすいです。実戦の順は後手がうまくだました、という感じです。

後手の55銀が欲張りで、銀をぶつけられると目標の銀に逃げられてしまいます。でも居飛車からは56角のねらいがあるので、55銀と出るのは昔からの指し方(升田先生が指していた)なのですが、持久戦調はどうもうまくいかないようです。今は24歩からさばく筋を狙います。







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