名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(87); 四間飛車穴熊に中央位取り

2016-03-07 | 大山将棋研究
昭和48年3月、米長先生と第27期A級順位戦です。最終戦でしょう、この期は加藤一二三先生が中原先生に挑戦することになったようです。


大山先生の四間飛車で、米長先生は気合で端を詰めたので大山先生は穴熊。

米長先生は中央位取り。

6筋の歩交換も気合なのですが、63金とさせてから交換するほうが無難です。というのは45歩が嫌に見えるのです。

55の歩は金で守るとは米長先生らしい。厚みの将棋が一番似合います。

左美濃もあるのですが、1手だけなら金をしまった方が手厚いです。

大山先生は銀冠穴熊に組み替え。でも争点を与える意味もありますからどうだったか。

米長先生の66金に反応して動くのですが、この歩を突くのは32飛としてからだったでしょう。

米長先生の36飛の形が軽く、ここでリードしました。大山先生は74の歩を交換するのですが、これが疑問。と言って代わりの手は難しいのですが。

銀をぶつけて米長先生が好調です。

放置すれば86歩から85歩があるので歩を合わせます。

穴熊のパンツを脱いだというか投げつけました。ここは角を捨ててもよさそうだと思っていたら

飛車きりとは思いませんでした。

割打ちで一気に寄せてしまおうということです。74の位というか拠点が大きいです。穴熊相手でも自玉に心配なければ駒の価値の逆転現象が起きます。大駒は捨ててもよくなります。

76の金を逃げようとか思わないで、ここが稼ぎ時です。すぐに飛か金を取らないで工作。

飛車の存在を消してから金を取ります。

金を打ち込めば、大山先生は必死で受けます。まずは自陣飛車

76に金を逃げたので遠くから角

もう一回自陣飛車。角は敵陣で飛車は自陣、面白い図ですね。

金を取って銀を打ち込みます。拠点があるので守りの駒をはがすのが寄せの基本。

飛車を取って

香車を取って香打ち。

76の香車をめぐっての小競り合いも飛車を打って守れたのではっきりしてきました。

攻め駒が足りないので端の香も活用します。

投了図。

位取りはこう指すものだというお手本のような将棋です。56金と繰り出していったのが力強い手でした。
大山先生が位に向かっていったのが問題で、銀冠穴熊なんてやめて、3、4筋から動いたほうがよかったでしょう。
大山先生の穴熊はいつまで続くのでしょうか。持久戦相手に上手く指せていません。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:米長邦雄8段
後手:大山9段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 3二銀(31)
7 5六歩(57)
8 4二飛(82)
9 6八玉(59)
10 6二玉(51)
11 9六歩(97)
12 7二玉(62)
13 9五歩(96)
14 8二玉(72)
15 5八金(49)
16 4三銀(32)
17 7八玉(68)
18 9二香(91)
19 5七銀(48)
20 5二金(41)
21 5五歩(56)
22 9一玉(82)
23 5六銀(57)
24 8二銀(71)
25 6六歩(67)
26 6四歩(63)
27 6五歩(66)
28 同 歩(64)
29 同 銀(56)
30 4五歩(44)
31 2五歩(26)
32 3三角(22)
33 6七金(58)
34 4四銀(43)
35 5六金(67)
36 6三歩打
37 7七角(88)
38 7二金(61)
39 8八玉(78)
40 6二金(52)
41 3六歩(37)
42 8四歩(83)
43 7八金(69)
44 1四歩(13)
45 7五歩(76)
46 8三銀(82)
47 6六金(56)
48 3五歩(34)
49 3八飛(28)
50 3六歩(35)
51 同 飛(38)
52 6四歩(63)
53 7六銀(65)
54 7四歩(73)
55 同 歩(75)
56 同 銀(83)
57 7五銀(76)
58 8三銀(74)
59 7四歩打
60 4六歩(45)
61 同 歩(47)
62 7三歩打
63 同 歩成(74)
64 同 桂(81)
65 7四歩打
66 8五桂(73)
67 3三飛成(36)
68 7七桂成(85)
69 同 桂(89)
70 3三銀(44)
71 5一角打
72 7六歩打
73 同 金(66)
74 5八角打
75 6三歩打
76 同 金(62)
77 4二角成(51)
78 同 銀(33)
79 6一飛打
80 7一歩打
81 6三飛成(61)
82 同 金(72)
83 7三金打
84 8一飛打
85 8六金(76)
86 2七角打
87 4五桂打
88 6一飛打
89 9四歩(95)
90 同 歩(93)
91 9三歩打
92 同 香(92)
93 8三金(73)
94 同 飛(81)
95 7三銀打
96 9二金打
97 8四銀成(73)
98 同 飛(83)
99 同 銀(75)
100 7四金(63)
101 9三銀成(84)
102 同 金(92)
103 7六香打
104 8五歩打
105 同 桂(77)
106 同 金(74)
107 7三飛打
108 8二銀打
109 8五金(86)
110 8三銀打
111 9四香(99)
112 同 銀(83)
113 同 金(85)
114 7六角成(58)
115 9三飛成(73)
116 投了
まで115手で先手の勝ち



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20160307今日の一手<その291>; 前に指した手を生かす

2016-03-07 | 今日の一手
20160307今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、OさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。

玉の堅さは同程度。
駒の損得はありません。
先手の攻め駒は45銀58飛で2枚。
後手の攻め駒は73桂1枚。

総合すれば互角です。

大局観として
先手が中央から動き、後手は7筋から飛車を転戦して桂馬を跳ねての迎撃です。先手の45銀が突き違いの手筋でずらされて、35歩から44歩で銀ばさみ。後手がうまく立ち回った感じがするのですが、形勢は難しいです。
66金と出て、55歩を狙えば、カウンター狙いで73桂。55歩が取れるか取れないか。取れなければ45銀を殺されるか(代償を探す)逃げるか、いくつか選択肢があり、方針を決めて読まなければいけない局面です。


× 55金は駄目なのですが、そのあとの実戦手順を見てもらえばわかります。


○ 実戦の75歩は桂馬を跳ねたのをとがめようという手です。

空間を作るので、空振りになると怖い手でもあります。35歩に55金として銀を助けようとしました。

57歩同飛65桂

56飛に77歩

これで55金を支える駒が足りなくなります。77同桂55飛同飛同角

65桂88角成同玉55角

金桂交換で駒損。45銀と65桂は守りの役に立っておらず、先手玉が薄いです。以下は66歩同角77角同角成同玉57飛67桂76歩

後手の攻め駒が3枚なのですぐに詰むというわけでもないのですが、先手は大駒しかないので受けきるというわけにいきません。後手玉は底歩が利くし、寄せられるだけになってしまいました。

75歩と突いたのなら、初志貫徹で74歩しかありません。

局面が激しくなるほど前に指した手を生かせなければ悪くなります。1手の価値が上がるからです。
今なら85桂しかないでしょう。44歩では桂馬を取って34桂がありますから。64歩が気持ちのいい手。

72歩なら55金で

77歩を打てないので54歩から抑え込めそうです。

44歩の銀ばさみには63歩成同銀73歩成。

これも先手有利です。後手の73桂をとがめました。


△ 銀を逃げる36銀は

54金46歩65金

今は交換できません。67金43銀47銀

1歩取られて金銀が下がっていくので悔しいのですが、これからの将棋ではあります。


× 59飛は形をよくする手。

35歩に55金。58歩から連打です。

58同飛57歩同飛65桂56飛77歩

56ではなく59飛ともできるというのが利点ではありますが、違いはほとんどなく、1歩得でも駄目でしょう。


× 56歩で同歩ならよいのですが

44歩36銀56歩

56同飛もやりにくいですがそれしかないでしょうか。56同金は57歩同飛65桂

歩の数が足りていないのでつぶれています。


○ 67銀と援軍を出しておく+77歩をなくすのは手厚い手で

35歩55金57歩同飛65桂56飛

44歩65金45歩22角成同金54桂

大駒がぶつかるのでよく見ないとわかりにくいのですが、先手が駒得になりますから有利です。

後手は65桂とはねる筋がうまくいかなければ抑え込まれてしまいます。



55金に対しての後手の57歩から65桂の筋が見えましたか?実戦ではきれいな手順で金を取られてしまいました。すぐに55金として(そのために66金と上がった)この筋を見落として悪くなった、というのなら話は分かるのですが、先手のMさんは銀ばさみをうっかりして、あわてて歩を取ったというわけでもないでしょう。74歩のつもりが自信が無くなって予定変更だと思います。でも少しくらい無理でも直前の手が悪手になるから踏み込むしかなかったのです。76に歩があったのが75に伸びてもマイナス要素しかありませんから。
よく見れば銀を殺されても64歩で十分すぎました。

55金がだめなら、銀を引いて形を直してどうか、と考えるのは棋風次第です。案外悪くはないのかもしれません。

77歩だけ避ければいいのだと気が付いたら、67銀もあります。左美濃で攻めようという予定を変更するのですが、局面が落ち着いてしまうなら構いません。左美濃が無駄になったというわけではないのです。組み替えて手厚くしたと考えましょう。








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