名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
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大山将棋研究(111); 四間飛車に棒銀

2016-03-31 | 大山将棋研究
昭和48年9月、石田和雄先生と第23期王将戦です。


大山先生の四間飛車に石田先生は棒銀。石田先生は急戦が多かったと思います。

大山先生は得意のツノ銀から袖飛車。これを指すのは大山先生くらいです。玉が薄いので真似されません。

大山先生としては右から攻める(といっても単純ではないですが)ので左は低く受けます。

角を転回し、ここで石田先生の13角がよかったかどうか。74飛~73桂としたかった気がします。

46角とぶつけて角交換。

左は低く受けて

角、銀と打ちこまれたら危なく見えるのですが

2枚換えで済めば互角のわかれです。

割打ちから馬を作れば2枚換えの損は減ります。

さらにもう一枚。これで大山先生が指しやすくなりました。

馬筋を生かした味の良い手です。ここで石田先生は端を攻めたのですが、どうにかして66の成銀を活用するほうが正しいのでしょう。馬2枚に対して66成銀と持ち駒銀桂が同等以上の働きがなければいけません。

端を攻めれば相当に見えるのですが、大山先生は受ける方針です。

飛車を使い端を受けるのは怖いのですが、馬があるから飛車は渡してもよいという考えです。

一度35歩として(これが怖い手です)24銀に14桂が手順です。これなら14同香しかありません。

35の位を取られても空間に金を打てば少し大山先生がよいようです。でもここで33銀打ならまだ長かったはず。

71飛は疑問手、さらに桂打は勢いですが

あっさり取って銀を払い桂馬を打てば受けがありません。


13角と出て46角から交換になったら大山先生が有利になりやすいのでしょう。2枚換えは2枚持ったほうがいいのですが、馬を作ればそうとも言えません。
まだ20代の石田先生をうまくあしらって攻めさせ、軽く反撃を決めたという将棋です。大山先生の手に無理がありません。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:石田和雄6段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八銀(79)
4 3四歩(33)
5 6六歩(67)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 2八玉(38)
14 5二金(61)
15 3八銀(39)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 4二銀(31)
19 6七銀(78)
20 7四歩(73)
21 4六歩(47)
22 8五歩(84)
23 7七角(88)
24 7三銀(62)
25 7八金(69)
26 5三銀(42)
27 3六歩(37)
28 8四銀(73)
29 4七銀(38)
30 7五歩(74)
31 3八飛(68)
32 4四銀(53)
33 5九角(77)
34 7六歩(75)
35 同 銀(67)
36 7二飛(82)
37 6七銀(76)
38 7五銀(84)
39 5六歩(57)
40 4二金(41)
41 9八香(99)
42 6四歩(63)
43 4五歩(46)
44 3三銀(44)
45 3七角(59)
46 1三角(22)
47 4六角(37)
48 同 角(13)
49 同 銀(47)
50 7六銀(75)
51 7七歩打
52 6七銀成(76)
53 同 金(78)
54 4七角打
55 3九飛(38)
56 5八銀打
57 4八金(49)
58 2九角成(47)
59 同 飛(39)
60 6七銀成(58)
61 6一銀打
62 6二飛(72)
63 5二銀成(61)
64 同 金(42)
65 7一角打
66 6一飛(62)
67 2六角成(71)
68 2四歩(23)
69 8三角打
70 3一飛(61)
71 7四角成(83)
72 4二金(52)
73 3九飛(29)
74 2五歩(24)
75 3七馬(26)
76 6六成銀(67)
77 5五歩(56)
78 1五歩(14)
79 同 歩(16)
80 1七歩打
81 同 香(19)
82 2四桂打
83 1九飛(39)
84 1六歩打
85 同 香(17)
86 同 桂(24)
87 同 飛(19)
88 1二香打
89 3五歩(36)
90 2四銀(33)
91 1四桂打
92 同 香(12)
93 同 歩(15)
94 3五歩(34)
95 3四金打
96 7一飛(31)
97 6四馬(74)
98 1五歩打
99 1八飛(16)
100 3六桂打
101 同 馬(37)
102 同 歩(35)
103 2四金(34)
104 5六成銀(66)
105 3四桂打
106 投了
まで105手で先手の勝ち



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20160331今日の一手<その303>; 攻防の手

2016-03-31 | 今日の一手
20160331今日の一手

2月20日の名南将棋大会から、OさんとMさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
銀歩歩と金の交換、後手に持ち歩があるので歩はカウントしないで、と金と成桂を作り合って、ほぼ損得なしです。
玉の堅さは同程度
先手の攻め駒は44角52と 持ち駒金銀で4枚。
後手の攻め駒は23角28飛59銀57成桂で4枚。

総合すれば互角です。

最終盤ですから、何手で詰めろがかかるかみればより正確です。後手玉は62と~71と で(ここでは大体でいいですが実際にも)詰めろ。先手玉は68銀成~67成銀97玉95歩 で詰めろ。互いに2手分かけて詰めろですから3手すきです。手番があるので先手有利ということになります。

大局観として
最終盤ですから大局観は必要ないのですが、寄せ合い勝ちなら攻めるだけです。
攻め合い負けなら受けるか攻防の手を探します。互いに攻め駒が4枚ありますから、どちらからも受けきりは難しいところですが、先手に持ち駒が多いので手段はありそうです。

寄せのセオリーは
①厳しい手から考える
②小さな駒から使う

でした。


○ 寄せのセオリーから、すぐに王手は無効、71金か72銀を攻めます。小さな駒からですから、62と です。

あとはこれで寄せ合い勝ちかどうか読むだけです。68銀成71と67成銀97玉

これで後手玉は72と同玉61銀から詰みます。(先手玉は95歩は詰めろ、95同歩は85金でほぼ必至です。)ここで85金が(先手玉は詰めろではないですが)攻防です。

72とに同玉は詰み、82玉は82銀が必至で、どちらも先手の勝ち。よって72とには93玉で86銀(または金)とするのも攻防。

後手玉は詰めろ、先手玉は詰みません。86同金同玉(同歩は詰み)74金に71角成

84玉に95金同歩93銀同香同馬、と力づくで詰むので先手の勝ちです。

直線的に行けば先手の勝ち(といってもかなり難しいのですが)なので、紛れは62とに55銀です。

55同角は62金で粘られますし、53角成も88に利きがないので心細い、ですが71と44銀72と同玉と2枚換えにして

23飛成同飛成57金上

としてしまえば長引いても駒得で寄せにも困らないので勝てるでしょう。


△ 62と でよければこれは考えなくてよいのですが、62角成と行くと

62同金同と44角

大きな駒から行くと反動があり、両取りで粘られます。55歩62角23飛成同飛成57金上

これは先手が駒得なのでやや有利です。


○ 何度か出てきた23飛成は同飛成で後手の飛車の利きがそれます。

ここから62と と行くと53歩の受けがあるのですが、

72と同金57金上とおさめても指せますが、71と68銀成62金

これは先手の勝ち。

71とには同玉で57金上とすれば

後手玉が弱体化しているので先手優勢です。

62と に53歩ではなく68成桂71と53金でも62金

と張り付いてしまえば先手の勝ちです。


× 受けるなら57金寄でしょうか。

すぐに飛車の素抜きも見えますが緩手です。68銀不成に23飛成とすれば

23同飛成しかなさそう。68歩29竜

78金59飛79桂43銀

53角成52銀同馬57飛成

これで駒の損得はほとんどないですが、66桂を見て後手が有利です。


× 実戦は39金と粘りの手でした。

でも飛車を逃げてもらえず、68銀成28金67成桂

これから62と と攻め合いでは78成銀97玉95歩

後手の1手勝ちです。


× あとは38歩(あるいは58歩)という手筋ですが

68銀成62と同金同角成61金

金を入手されると粘られます。52金とつなぐのが筋ですが角を取って王手で抜かれてしまうので駄目。17馬67角成28馬78成銀97玉89成銀

こんな感じで後手の攻め合い勝ちになります。

戻って68銀成を同歩と取れば

67成桂同歩38飛成97玉95歩

というのが一例ですが、後手の寄せが速いです。


寄せのセオリーで62と から1手勝ちを読み切れた方は強いです。あまり紛れはなく、詰みを読み切れるかどうかになります。攻防で85金と打たれたら悩みそうですけどね。

62と では詰みがみえずに負けそうだと思ったら、23飛成が攻防の手です。飛車は渡すのですが後手の攻め駒は3枚に減るので寄せが1手遅れることになり、先手玉の3手すきが4手すきになるのです。これなら明らかに寄せ合いは先手の勝ちですから、後手は受けなければいけません。
23同飛成の利きで53歩や金を取ってからの53金が生じるのですが、62と~71と~62金 という順に気が付けば勝ちです。
それに気が付かなくても後手の攻め駒が3枚になったのですからさらに駒を取って受けにまわっても悪くはありません。

実戦の39金では後手の攻め駒は4枚から減らすことができずに寄せ合い負けになってしまいました。

41歩と受けられたところなので、では自分も受けておこうかとするのも自然な気持ちではあるのですが、残念でした。飛車の利きを止められたら働きをよくしよう、角を取ってしまおうというのが正解でした。







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