名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(83); 四間飛車穴熊に中央位取り

2016-03-03 | 大山将棋研究
昭和48年2月、加藤一二三先生と第27期A級順位戦です。


四間飛車に対して加藤先生の中央位取りに大山先生は穴熊で対応。加藤先生の左銀が68なので持久戦です。

6筋の歩を交換したのは居飛車の得です。私はこの形が大好き。若いころ加藤先生の本を読んで勉強したのです。美濃囲いの時にこの歩交換を逆用する手順が開発されてすたれてしまいましたのが残念です。

大山先生は3筋に転戦。加藤先生は受けずに位を生かした攻め合いです。

大山先生は端角で3筋を攻略。

6筋を押えて7筋へ。部分的には加藤先生が好調です。

ここで端を突く手順があるとは思いもしませんでした。

23歩成があるので角を切るしかなくなります。

軽い成り捨て。左金で取れば61角があります。

香車を捨てて歩を入手し、金を取ります。端は損ですが、穴熊も弱体化するので加藤先生が有利。

じっと歩を成ります。これは69歩を用意したのですが、あとから効いてきます。

底歩には香車を打って、いっぺんには決まりません。

桂香を拾いに行きます。穴熊には小駒で攻めるのが有効です。

飛車を目標にされたので、成桂と刺し違えに行きます。これに対して大山先生の36竜が小さいミスで、37成桂としたかったです。

加藤先生は桂馬を入手してはがしに行きます。

先ほど36竜か37成桂かというのは竜の位置が近いので金に当たることろ。先手で中段に逃げられるようになり、加藤先生の玉が寄りにくくなくなります。

今度は左の竜をしかりつけます。

これで加藤先生の空中要塞ができました。

結局香車も取って

その香車で金をはがします。

桂馬を打ち込んで長い終盤に終わりが見えてきました。

駒をはがしてまた打ちます。

角をピンして(ping;チェス用語ですが将棋では言葉がないです。角を移動できないようにして)桂馬を払うのは最後の攻防。

先手玉が詰まないのでやっと終了。

こういう位取りの将棋が好きなので、並べていて楽しいです。どちらも力のこもったいい将棋ですが、6筋の歩交換でやや加藤先生がリード。3筋の折衝で駒得してからは加藤先生がよくなったと思います。それでも一筋縄でいかないのが大山先生。加藤先生に疑問手らしい手が出なかったので勝ち切りました。加藤先生の手厚い指し方が学べるよい将棋です。


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20160303今日の一手<その289>; 45歩急戦の優秀さ

2016-03-03 | 今日の一手
20160303今日の一手

1月30日の名南将棋大会からMさんとWさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩損です。
玉の堅さは後手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は37桂と持ち駒角で2枚。
後手の攻め駒は持ち駒角1枚。

総合すれば互角です。

大局観として
定跡のような形ですが、違いがわかりますか?
24歩を突き捨て損ねているので急戦は失敗ではないか、というのはみなさんお気づきでしょう。
47銀の形を見たことがないかもしれません。2枚銀の急戦はマイナーなので。47の銀が48にあるのが通常で、この損得関係は微妙ですが、後手から46歩と押さえることになれば先手の損です。
16歩14歩と突きあうのは、多くの場合居飛車が得です。15角を消しているのです。でも13角と打たれてまずいという場合もまれにあります。急戦では1手の価値が高いので、手抜いたほうが少し得になりますから端を突きあうのは(棒銀でなけれは)出現しないでしょう。
69金の形か68金上の形か、というのはこれも微妙ですが、45歩の急戦の場合は69金の形で仕掛けられれば居飛車が有利になりやすいです。84桂から76桂が当たりにならないのがいいところで、48銀の形で59銀と引くのが横からの攻めにたいしてのブロックになります。でも47銀の形では57の地点に利きが減っているので、金銀の連結が悪いということになります。5筋を攻められたら居飛車が悪くなるでしょう。


× さて24歩と突くのは証文の出し遅れというやつです。もっと早くに突かなければいけません。

46歩(これが痛い)38銀36銀23歩成

47歩成33と58と

58同金は49角でも27歩でも37銀成でもだめでしょう。42と69と同玉も27歩

これも勝てませんね。


△ 実戦は45同桂でした。

45同桂48銀37角

27飛19角成24歩55歩

香車を取られて角を成られるというのは痛い手で、先手は飛車先突破しかないのですが、後手は56歩を取り込んで51香と据えて優勢。そのあと後手の緩手があり、先手有望な終盤戦でしたが、角を捨てて格好良く寄せに行ったら王手竜とりで勝てなくなった、という結果です。

本当は37角に29飛としたいのですが

46歩38銀48角成同金47銀

これはつぶれていますね。47銀の形が裏目に出ています。

45同桂に46銀とかわしていたら

これなら46歩がないから37角は成立せず。それなら互角でした。先手からは33角が楽しみなので後手は33角と打つのでしょうか。それならあまり文句はありません。

後手としては45同桂に同飛がよいでしょう。歩切れなので24歩くらい。

あとは一例ですが65桂48銀46歩38銀25飛

後手はどこかで飛車交換に持ち込む権利があります。24同歩としてからぶつけるのもありますし、65桂や46歩を決めないのもあります。先手としては低姿勢で、46銀左としては駒が上ずるので引いておくほうがいいです。

飛車交換したら先に打てます。33角かもしれません。馬や竜を自陣に引いて受けることを視野に入れています。駒得でゆっくりする指し方です。


× もう一つ、88角と打つのも定番です。

43飛と受けてもらえれば45桂同桂46銀左

角打ちの1手を儲けた計算で、これなら先手がいいでしょう。

でも46歩から攻め合いの時に

38銀36銀33角成47歩成

42馬57と(好手)同金39角

47銀69金の形をとがめられてしまいます。


今回は選択肢が少ないので定跡講座を。
44歩と取り込む前かその直後で24歩としなければいけません。

24同角の変化がややこしすぎるのですが、郷田先生が44歩同銀43歩同飛24飛同歩32角の筋に95歩から1歩手に入れて攻める変化を発見してからは居飛車よしということになっています。47銀の形なので結論がひっくり返る可能性はありますが。

24同歩の形なら実戦のように指してもだいぶ違うのですが、47銀が生きません。35歩同歩44歩が定跡です。

34銀とかわすしかなく、46銀左としておきます。

あとは25歩同桂44角同角同飛22角62角

となるか、12香45桂44角同角同飛22角43飛44歩23飛11角成か。

居飛車ややよしということになっています。
ただこういう変化では68金上の形のほうが中央に厚くてよいでしょう。でも73桂と振り替わると65桂が当たってくる。実戦的には振り飛車が勝ちやすいようで、2枚銀の急戦はマイナーなのです。端攻めを組み合わせて工夫の仕方はあると思いますが。

それよりは47銀と上がらない形での45歩がとても有力で、居飛車がよくなります。振り飛車は46歩を見たら54銀から65銀(玉頭銀と呼ばれます)でけん制して、それが厄介なのでこの急戦定跡は出現しません。

急戦定跡としては右桂を使って攻められれば理想的です。四間飛車相手に4筋から攻めるという不利益よりも、金銀4枚が受けにも使えるという利益のほうが大きく、ななめ棒銀や棒銀よりも居飛車が有利になりやすいのです。

先手三間飛車には65歩の急戦はうまくいきませんし、後手三間飛車に対する45歩急戦も大変だ、というのは不思議な逆転現象です。







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