名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
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大山将棋研究(81); 石田流に位取り

2016-03-01 | 大山将棋研究
昭和48年2月、佐藤大五郎先生と第22回NHK杯です。


佐藤先生の石田流、大山先生は居飛車です。相振りはやりません。

大山先生は位取りにして角交換を挑み、普通は止めるのですが、佐藤先生は気合良く角交換。

78の金を上がって軽い振り飛車です。でも84歩で止まっているので手を作れるかどうか。

当然角を打たれます。

どうにか香を守りました。

飛角しか攻め駒がないので、と金を作るしかないでしょう。

ここまでは佐藤先生がうまく立ち回った感じです。97馬に86角で一回馬は消えるのですが

もう一回打てば香取りは受けにくいです。ここではなにか手がありそうに見えるのですが、うまくいきません。

香を取られる間に3筋の歩を突きだします。佐藤先生でもこれでよいとは思っていないでしょう。苦しいけれど勝負になる順を探そうという感じです。

34歩は35歩でまずそう。香得で馬を作って抑え込めれば大山先生の有利です。

61角に馬を受けに活用する好手。

飛角交換にはなりますが

大山先生は54に角を据えて飛車を責め、47銀に金取り。これが受けにくい。

金を取って馬引き。形勢が有利になると渋い好手がいっぱい出てきます。

と金と清算するかと思いましたが、逃げてよいと。

飛車を取り桂馬が好点。

48歩から1枚はがして飛車打ち、これで寄りが見えてきました。

敵陣の飛車は縦に動かして駒を取るほうがよく、7段目が玉頭を狙う好位置。

31金打は手堅いです。

さらに金を引いて万全。

銀を出る手が成立するなら筋に入りました。

セオリーは36金を狙うのですが、44桂か47銀からです。角を打つ方が29角成があるので速いとみたということ。

投了図。

佐藤先生が軽い指し方で、手を作れるかどうかだったのですが、早指しでは難しいです。時間があれば違ったでしょう。大山先生が馬を作ってからはずっとリードしていて、ゆっくり有利を拡大し、手堅くまとめたという将棋です。地味な手の積み重ねですが、実際に1手ずつ並べるとわかってくるものがあると思います。

#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:佐藤大五郎8段
後手:大山王将
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 9六歩(97)
4 4四歩(43)
5 7五歩(76)
6 4二銀(31)
7 7八飛(28)
8 4三銀(42)
9 4八玉(59)
10 5四歩(53)
11 3八玉(48)
12 6二銀(71)
13 2八玉(38)
14 4二玉(51)
15 6八銀(79)
16 3二玉(42)
17 3八銀(39)
18 4五歩(44)
19 2二角成(88)
20 同 玉(32)
21 7四歩(75)
22 同 歩(73)
23 同 飛(78)
24 7三歩打
25 7六飛(74)
26 5三銀(62)
27 7八金(69)
28 3二金(41)
29 7七桂(89)
30 3三桂(21)
31 9五歩(96)
32 8四歩(83)
33 6六歩(67)
34 1四歩(13)
35 1六歩(17)
36 2四歩(23)
37 6七銀(68)
38 3五歩(34)
39 5八銀(67)
40 5二金(61)
41 5六歩(57)
42 2五歩(24)
43 6七金(78)
44 6四歩(63)
45 5五歩(56)
46 8八角打
47 9八香(99)
48 9九角成(88)
49 5四歩(55)
50 同 銀(43)
51 9六香(98)
52 8八馬(99)
53 8六飛(76)
54 6三銀(54)
55 6五歩(66)
56 同 歩(64)
57 7二歩打
58 7四歩(73)
59 7一歩成(72)
60 7三桂(81)
61 5六飛(86)
62 9七馬(88)
63 8六角打
64 同 馬(97)
65 同 歩(87)
66 7八角打
67 3六歩(37)
68 5五歩打
69 7六飛(56)
70 9六角成(78)
71 3五歩(36)
72 4三金(52)
73 3六飛(76)
74 4四銀(53)
75 6一角打
76 7五歩(74)
77 6四歩打
78 5二銀(63)
79 7二角成(61)
80 同 飛(82)
81 同 と(71)
82 4六歩(45)
83 同 歩(47)
84 5四角打
85 4七銀(58)
86 7八馬(96)
87 7三と(72)
88 6七馬(78)
89 2四桂打
90 2三馬(67)
91 3二桂成(24)
92 同 馬(23)
93 6三歩成(64)
94 4一銀(52)
95 6四と(63)
96 3六角(54)
97 同 銀(47)
98 2四桂打
99 4七金打
100 4八歩打
101 3九金(49)
102 4九金打
103 同 銀(38)
104 同 歩成(48)
105 同 金(39)
106 7八飛打
107 5八歩打
108 7七飛成(78)
109 5四と(64)
110 同 金(43)
111 3四金打
112 2三香打
113 2四金(34)
114 同 香(23)
115 3四桂打
116 2三玉(22)
117 6三角打
118 3一金打
119 5一飛打
120 2六歩(25)
121 同 歩(27)
122 2七歩打
123 3八玉(28)
124 5三金(54)
125 4一角成(63)
126 同 馬(32)
127 9一飛成(51)
128 2八歩成(27)
129 同 玉(38)
130 3五銀(44)
131 2七香打
132 3六銀(35)
133 同 金(47)
134 4七角打
135 2五歩(26)
136 3六角成(47)
137 2四歩(25)
138 3四玉(23)
139 3七香打
140 同 馬(36)
141 同 桂(29)
142 3六桂打
143 投了
まで142手で後手の勝ち

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20160301今日の一手<その288>; 相手のねらいを阻止する

2016-03-01 | 今日の一手
20160301今日の一手

1月24日の名南将棋大会からKさんとKさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。定跡との違いがわかりますか?




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。
先手の攻め駒は持ち駒角1枚。
後手の攻め駒は21飛33桂44角で3枚。

総合すればやや後手が指せそうです。

大局観として
後手の攻め駒が多いのですが、すぐにつぶされるという形でもありません。後手は狭いところに角を打って、それがどれだけ生きるかが焦点です。逆に44角をいじめられれば先手がよくなるでしょう。


× 素直な34同歩は

34同銀37桂35歩

これが後手の予定でしょう。もう1歩あれば24歩同歩25歩で後手がよくなります。玉を固めたら25桂からの決戦もあるでしょう。先手玉は固めにくいですからやや不満です。


× 実戦は65角でした。

43角成同金32銀を狙い、この形では有効なことが多い攻め筋です。22飛34歩同銀に32角成でどうか。

32同飛24金52角

先手の攻め駒が少ないので手が続きません。65角は時期尚早だったようです。以下は35歩同銀同金同角38飛37歩同飛25桂

33歩から飛車の取り合いになりましたが後手が駒得ですし、52角も受けに働いていますね。後手優勢です。
角を切らなければ1局ですが、あまり効果はありませんでした。


○ 37桂が攻め駒を増やす感触の良い手です。45の地点を狙います。

35歩には46歩

46同歩同銀34銀45歩

こうなれば駒得確定。角の頭が急所です。

46歩には34銀ですが

45歩同桂同桂同銀56桂

角を引けば35金ですから56同銀しかなく、駒得で取り返した形がよいから十分です。

気になるのは最初に35角と取られる手です。

同金同歩は桂頭が危険。36金とかわして44角46歩となれば(角を引かなくても46歩)35歩26金は前の変化に合流します。


× 46歩は

46同歩同銀45歩

34歩では46歩の取り合いでまずいです。57銀右35歩37桂34銀

これは45の地点をしっかり守られました。形勢が悪いというほどでもないけれど、という前と同じような感じです。


△ 38飛も考えたくなりますが

35歩同金同角同飛34歩

36飛25飛26歩21飛(飛車交換は微妙)

角金交換ですが歩を入れれば2枚換え。27歩や28歩が残ってやや指しにくい感じです。

後手は38飛に82玉と待つのもあって

34歩26角33歩成37歩43と38歩成32と

こうなるなら先手よしですが、34歩に同銀同飛26角37桂

これは難しいか。


ゆっくりしていると後手に3,4筋を制圧されて指しにくくなりそうです。
だからどうやって攻め味を見せるか、という局面でした。

実戦の65角は良い攻め筋ですが、単独では成立しません。先手の攻め駒が足りませんでした。

攻め駒を増やすという意味で、37桂が本筋。26に金があるので桂馬の頭は大丈夫で、4筋を狙います。

37桂が成立しないなら38飛は3筋を狙う手で、でも角金交換でやや自信がありません。

相手がなにか動いてきた(44角打)ら、その狙いを知って対抗策を考えねばなりません。無理な感じのする手ならなにかとがめる順があるはずだと。相手の狙い通りに進めて苦しくなってからでは大変です。






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