名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(85); 急戦向い飛車

2016-03-05 | 大山将棋研究
昭和48年2月、富沢幹雄先生と第22期棋聖戦です。


大山先生の向い飛車。当時は42玉は危険だと思われていました。少し前に中原先生は64歩を突いてから囲っていましたね。それが共通認識だったかどうかはわからないのですが、この後を見る限りは富沢先生の研究とは思えません。
富沢先生といえば富沢キックといわれる急戦が残っているので研究家のような気がするのですが。

これが王手になるのが問題。
今では86歩の時に77角成同銀86歩同銀74歩で向い飛車がつまらないということになっています。

83歩とたたいて飛車が横に逃げて(取り合いでは悪い)また角をぶつける。いかにも振り飛車が上手く指しているという手順です。

この歩を突くのに違和感があります。74歩を嫌ったのですが、必要もないような。

その歩が浮いたので取られることになりました。こういうところ、大山先生の序盤が雑なことがあるのですが、歩損よりも手得がいいと思っているようです。

銀を中央に使うのが少し変に感じるのですが、歩越しの飛車なので7筋は怖くない、戻らせてはいけないという手。

富沢先生の底歩は飛車交換に備えて85飛を狙う意味。でも損な手です。

大山先生は軽く歩を成り捨てて、飛車を追えば捕まえられます。

飛角交換から角の打ち込み。ここでは互角に見えます。

馬を作られて2歩損、富沢先生がうまくやったように見えるのですが、飛車を切られてしまうので、94角成95歩84馬と指して追うほうがいいです。

遠見の角がありました。次の61飛と合わせて受け方に困ります。

富沢先生は手順に玉を固めて飛車を合わせます。歩を打たれてここで間違えました。金で取ればまだ長い戦い。

すぐあとに自陣飛車で耐えることに。

でも角を切って金を打てば寄が見えてきました。

攻め駒2枚では足りないので3枚に増やします。

3枚の攻めですが、守備駒が少ないのでこれで寄っています。

投了図。


序盤に富沢先生が失敗して苦しい展開、でも大山先生も持ち歩が少ないのでよい対応ではなかったようで、中盤は互角です。角を飛を交換、そのあと飛と馬を交換したところでも互角に見えるのですが、遠見の角が好手になりました。富沢先生が悪い手でもないような疑問手が数回。大山先生もあまり良い将棋ではありません。凡局にちかいです。98角だけ見ておけばいいでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:富沢幹雄7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 5六歩(57)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 5四歩(53)
7 8八飛(28)
8 3四歩(33)
9 6八銀(79)
10 4二玉(51)
11 8六歩(87)
12 同 歩(85)
13 同 角(77)
14 3二玉(42)
15 8三歩打
16 5二飛(82)
17 7七角(86)
18 4四歩(43)
19 7五歩(76)
20 4二銀(31)
21 6六歩(67)
22 5五歩(54)
23 同 歩(56)
24 同 飛(52)
25 4八玉(59)
26 7二金(61)
27 6七銀(68)
28 7五飛(55)
29 5六銀(67)
30 7四歩(73)
31 3八玉(48)
32 7三桂(81)
33 4八銀(39)
34 3三角(22)
35 6五歩(66)
36 8一歩打
37 8二歩成(83)
38 同 歩(81)
39 6六角(77)
40 7六飛(75)
41 6七銀(56)
42 6六飛(76)
43 同 銀(67)
44 4五歩(44)
45 8六飛(88)
46 8三歩(82)
47 5五歩打
48 6七角打
49 9六歩(97)
50 5六歩打
51 5八金(49)
52 8五角成(67)
53 同 飛(86)
54 同 桂(73)
55 6四歩(65)
56 同 歩(63)
57 9八角打
58 2二玉(32)
59 6一飛打
60 3二金(41)
61 6四飛成(61)
62 6二飛打
63 6三歩打
64 同 飛(62)
65 同 龍(64)
66 同 金(72)
67 6一飛打
68 7三飛打
69 3二角成(98)
70 同 玉(22)
71 5二金打
72 3一銀(42)
73 9七桂(89)
74 同 桂成(85)
75 同 香(99)
76 8七角打
77 4一飛成(61)
78 2二玉(32)
79 4三桂打
80 同 角成(87)
81 同 龍(41)
82 6二金(63)
83 7三龍(43)
84 同 金(62)
85 4一飛打
86 9九飛打
87 5三角打
88 投了
まで87手で先手の勝ち


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20160305今日の一手<その290>; 控えの桂に好手ありとはいうけれど

2016-03-05 | 今日の一手
20160305今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、MさんとAさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。




一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは同程度。穴熊だから堅いと思ってはいけません。遠いということはあるかもしれませんが、銀冠のほうが上部に厚いです。
先手の攻め駒はありません。64歩が無くなれば(成り捨てればすぐに)飛角は使えるので2枚としてもいいでしょう。
後手の攻め駒は24角1枚。

総合すれば互角です。

大局観として
先手は8筋の歩を謝らせて(飛車で85の歩を取った)快調な感じはしたのですが、また飛車は戻ったので8筋の歩の位置以外は手損しているのと、歩を取り返されたので得が無くなりました。ここでリードしておかないと、後手からだけ指したい手が多いので少しずつ悪くなっていきます。
気が付けば難しくない手があるのですが、わかりますか?


× 実戦は65桂でした。桂馬を交換すれば攻め駒が増えるのですがら自然に見えます。

65同桂同飛54金

69飛65歩38金寄43銀57桂

桂馬を交換したのは互角の取引(後手も攻め駒が増えました)、互いに持った桂馬をどちらがうまく使えるかという勝負です。控えの桂に好手ありですが、その桂馬が敵玉から離れていく65に跳ねるのでは効果は小さいです。57桂ではなく、56歩くらいならやや悪いですがこれから。
56歩同銀46角

後手に角を使われて形勢を損ねました。57の地点を受けておけば悪くてもまだ、というところですが、65桂57角成55歩

これできれいに攻めている感じがします。しかし、65金同銀46桂

穴熊に手が付いて、よく見れば受ける手段が限られています。お代わりで打たれるので金打も無効。48金寄同馬同金58金

先手は駒得ですが、これだけ薄くされてはいけません。粘りの手段もなく、攻め合いにでて負けになりました。

38金左43寄を交換しないで57桂なら53桂と受けられても

あまり得ではありませんね。桂馬を交換しても飛車の動きで手損するので、後手に54金から65歩と抑えられることになり、攻めの継続が怪しくなります。


○ 75歩と桂馬を攻めます。

桂馬を守る受けがないですし、桂馬を取れば飛車に当たるのでさらに厳しいです。
68歩同飛45歩が反撃ですが

67飛46歩38銀

角筋は受けにくいですが、その筋から駒を逃げておけばいいでしょう。

42角74歩72歩73歩成同歩と桂損を甘受したら85桂

73桂成が受かりません。


○ 66飛として45歩の筋に備えておいて54金でも75歩

65歩76飛64金74歩

石田流の形になりました。75歩73歩成61飛75角同金同飛

これで優勢です。ここからは2枚換えで駒得ですから、65飛の飛交換よりは61飛をいじめつつゆっくり駒得で攻める方針がよいです。

後手は54金よりも42角と引いたほうがいいのですが、やはり75歩。

64飛同飛同角51飛

42金引く74歩86角同歩

これから寄せ合いですが、先手のほうが先に攻めているので少し良いでしょう。でも26歩と突く筋、66角から48角成の筋、怖いところが多いですから安心はできません。


× 38金寄は45歩が嫌です。



△ 38金上54金75歩

これは悪くはありません。1手待ってから75歩でもいいでしょう。


65桂として交換してしまうのは、振り飛車党から見れば最初に思い浮かぶ手かもしれません。それは振り飛車の玉のほうが(昔は)堅いことが多いので、左桂がさばければ十分、という感覚を持っているためです。大山先生の将棋を並べていて、居飛車を持った時でも右桂の交換を好む(ように見える)のもそういうことなのか、という気がします。
この形では35桂の傷があるので、あまりやりたくはないです。桂馬は前にしか進めないので交換した桂馬は上部に厚い陣形の方が使いやすいです。控えの桂に好手ありとはいいますが、使うときには、両にらみの形になって、拠点として使えるのが最高、両取りで駒得になるのもいいですね。ですが敵玉を攻める方に跳ねないといけません。相手は持ち駒で戦力になっているのに、自分だけ打った桂馬が反対方向で戦力にならないで形勢悪化、というのは、(よくないですが)頻出します。これが一見よい手に見えるので困るのです。
実戦の57桂もいかにも好手に見えます。相手の金と交換できました。でも相手に自玉の囲いを攻める好都合の持ち駒となってしまうという結果になってしまいました。

問題図に至る前に、先手としては気持ちのいい手順ですすめられたので、形勢を過信していたということがあったのでしょう。私もよくやります。でも問題図では形勢は互角。もっといい手を探さないといけませんでした。欲張って交換ではなく75歩に気が付いたら会心譜になっていたでしょう。


図面の間違いを直しました。20170305

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