名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

大山将棋研究(91); 四間飛車に玉頭位取り

2016-03-11 | 大山将棋研究
昭和48年4月、高島弘光先生と第22期棋聖戦です。


大山先生の四間飛車に高島先生は玉頭位取り。

1手前の44歩がうっかりでしょう。62飛とするのが常識です。この歩が取れなくなりました。

高島先生の我慢。打ちたくて打つ人はいないでしょう。

中央を押えて、大山先生が十分な序盤戦です。

6筋の歩を交換して

8筋を攻めます。

高島先生としては角が使えていないので苦しく、金をもってきて守るのですが

7,8筋を制圧されて1筋に代償を求めます。

これで大山先生が駒得になりそう。

高島先生は1筋で香車を取れば一応バランスはとれています。

73のと金で82の金を取るのが普通ですが、63と と使うほうが筋がよいですね。

高島先生の61香は2筋に使いたいのですが仕方なく打った手。

香車を捨ててさらに金を捨てて飛車をさばこうという勝負手です。ここで大山先生は63と だったのですがやや危険。73銀成のほうが安全でした。

75銀が両取りになり

大山先生は角を見切って(銀を取り返さずに)寄せを目指します。

高島先生が2筋を清算して歩を謝るくらいしかないのでは大山先生が勝ちのように見えるのですが

角を打たれてみると先手玉も危険です。

大山先生は15の角を抜いて大丈夫だとみたのです。(角を抜くまでの手順もぴったり)

ここからのしのぎなのですが

連続王手の千日手に逃げられました。

反則負けになるので金打で

金が無くなったので詰みません。


大山先生が作戦勝ちになり、そこから7,8筋を制圧してしまいます。高島先生の端攻めや香金と捨てる手順も見事でした。そこから1手争いの終盤に入ります。結論だけ見れば大山先生が1手勝ちを読み切ったということなのでしょう、でもどこから?早い段階で勝ちだと読んでいるならとんでもない強さです。棋聖戦だと持ち時間が短い方でしょうから、時間切迫の終盤戦で67角の当たりから勝ちを読み切ったのなら強いプロです。
終盤が読めなければ、角は渡さないで73銀成とするでしょうし、角を取られても銀を取り返してゆっくり行くところでしょう。香を持っていれば67角は58香で受かりそうなので安全な勝ち方です。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:高島弘光7段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 6六歩(67)
4 8四歩(83)
5 7八銀(79)
6 6二銀(71)
7 6八飛(28)
8 5四歩(53)
9 4八玉(59)
10 4二玉(51)
11 3八玉(48)
12 3二玉(42)
13 6七銀(78)
14 4二銀(31)
15 2八玉(38)
16 1四歩(13)
17 1六歩(17)
18 5二金(61)
19 3八銀(39)
20 5三銀(62)
21 5六歩(57)
22 3五歩(34)
23 5八金(69)
24 3三銀(42)
25 6五歩(66)
26 8五歩(84)
27 7七角(88)
28 3四銀(33)
29 6六銀(67)
30 4四歩(43)
31 5五歩(56)
32 6二飛(82)
33 5四歩(55)
34 同 銀(53)
35 6七金(58)
36 5三歩打
37 5六金(67)
38 4二金(41)
39 4六歩(47)
40 4三銀(54)
41 5五歩打
42 2四歩(23)
43 7五銀(66)
44 3三角(22)
45 6四歩(65)
46 同 歩(63)
47 同 銀(75)
48 6三歩打
49 7五銀(64)
50 2五歩(24)
51 8六歩(87)
52 8二飛(62)
53 8八飛(68)
54 8六歩(85)
55 8四歩打
56 7四歩(73)
57 8六銀(75)
58 6二金(52)
59 8五銀(86)
60 7三金(62)
61 7五歩(76)
62 同 歩(74)
63 7四歩打
64 7二金(73)
65 6六角(77)
66 1五歩(14)
67 同 歩(16)
68 2六歩(25)
69 同 歩(27)
70 2五歩打
71 7五角(66)
72 2六歩(25)
73 8三歩成(84)
74 同 飛(82)
75 8四銀(85)
76 8二飛(83)
77 8三歩打
78 9二飛(82)
79 7三歩成(74)
80 1八歩打
81 同 香(19)
82 1七歩打
83 同 香(18)
84 7三桂(81)
85 7四歩打
86 1六歩打
87 同 香(17)
88 2五銀(34)
89 7三歩成(74)
90 1六銀(25)
91 8二歩成(83)
92 同 金(72)
93 6三と(73)
94 7四歩打
95 6四角(75)
96 6一香打
97 6二歩打
98 同 香(61)
99 同 と(63)
100 8三金(82)
101 6三と(62)
102 8四金(83)
103 同 飛(88)
104 7五銀打
105 8一飛成(84)
106 6四銀(75)
107 2四歩打
108 同 角(33)
109 2五歩打
110 1五角(24)
111 2四香打
112 2七歩成(26)
113 同 銀(38)
114 同 銀成(16)
115 同 玉(28)
116 2二歩打
117 1二歩打
118 6七角打
119 2二香成(24)
120 同 玉(32)
121 1四桂打
122 3三玉(22)
123 2四銀打
124 3四玉(33)
125 1五銀(24)
126 4九角成(67)
127 3八角打
128 1六銀打
129 同 玉(27)
130 3八馬(49)
131 2七銀打
132 同 馬(38)
133 同 玉(16)
134 4九角打
135 3八角打
136 1六金打
137 同 玉(27)
138 3八角成(49)
139 2六玉(16)
140 投了
まで139手で先手の勝ち
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

20160311今日の一手<その293>; 同型に近ければ小さな差が大差になる

2016-03-11 | 今日の一手
20160311今日の一手

1月30日の名南将棋大会から、IさんとNさんの対局です。形勢判断と次の一手(というか桂馬を取っていいかどうか)を考えてください。



一昨日の一手の回答

駒の損得はありません。
玉の堅さは桂馬を跳ねている分だけやや先手のほうが薄いです。
先手の攻め駒は58飛と持ち駒角銀で3枚。
後手の攻め駒は55飛44角と持ち駒銀で3枚。

総合すれば互角です。

大局観として
後手に中央で銀交換から飛車も交換するように迫られたところです。交換していいかどうか。
上下対称に近いような局面ですが、後手の角がよく働いています。手持ちの角がいい時も多いのですが、後手の角のにらみは嫌な感じです。飛車交換はそのあとの打ち込みを考えると先手の負担が大きい感じです。交換する手から考えますが、換えないほうがいい感じがします。
というのは玉の囲いがやや薄い、けれども反面手が進んでいるということでもあります。もう少し駒組みをして、先に囲いが終わるでしょうからそれから攻撃を考えたいと思うのです。後手だけ角を手放しているので角打ちの隙もできてくるでしょう。


× 実戦は46角でした。手得しようということですね。

58飛成同金右49飛

飛車を先着される、というより一方的に打ちこまれます。37桂19飛成45桂29竜

香車を取られても大分手得したので悪くないようなのですが、この後にうまい攻め方がありません。95歩51香53歩95歩

端から手を付けましたが、歩切れにされて手がありません。以下は85銀56銀75飛57歩

いかにも苦労しているというのが見えますね。後手のMさんが自然に有利を拡大して押し切りました。

途中で工夫できるのは58飛成を同金左とすること。

56歩45銀57銀というのが嫌な筋で、57同金は77角成同銀57歩成同角65桂

バラバラにされて飛車を打たれて負けます。

57銀の打ち込みに44銀46銀成同歩44歩

43飛はありますが竜を作るだけ。28角の方が痛そうです。39角と打てば・・・あまりやりたくないですね。
でも56歩に45銀ではなく68銀と我慢すればこれからではあります。


× 55同飛は一番自然ではあります。

55同角の時に困ります。37銀は28銀

これは駒損になります。

46銀33角39金なら

これからで、そんなに悪くありませんが、65銀からちょっかい出されるのでしょう。少し指しにくい感じです。


△ 飛車を取らないなら56歩が普通です。

25飛なら28飛で

これは後手の飛車が窮屈でしょう。

51飛に45銀とやりたくなりますが

22角34銀32金35歩13角

1歩取っただけでは割に合いません。

51飛に46銀(打たないと45銀が嫌味)42金37桂64歩48金

後は59飛から銀冠を目指して、どうにか完全に互角になったかと思います。


△ 56銀と打てば

51飛55歩で形はいいです。

でも右の金を移動できません。47まで持っていければいいのですが、28銀から香車を拾われるのを避けにくいです。17角成もできますし。37桂を先にすると桂頭が不安です。
66歩とすれば54歩

54同歩66角か28角から頑張るか。本意ではありませんが、まあこれからです。
66歩は突かない方針で、59金右~87銀~78金~68金上というのがスマートかもしれません。



どの変化を選ぶか難しいですが、56歩から46銀と打つか、56銀から55歩としてもう少し駒組みのほうがいいでしょう。
振り飛車の美濃囲いに左美濃は中盤で神経を使います。玉の堅さが同等(この場合はやや振り飛車が堅い)だったら、それ以外のところで勝負が決まります。後手のMさんが自陣角を打って5筋の飛銀総交換という構想がヒットしました。
実戦で飛車を打ち込まれても手順に桂馬がさばけるので悪くなさそうなのですが、後手陣に飛角を打ち込めないのでは駒損でだんだん悪くなります。
Nさんは若手なので飛車交換を同金左なんていう粘りは考えなかったかもしれませんが、そうやって飛車交換に備えるというのは、昔の将棋には出てきます。森安秀光先生が美濃囲いの金を61~51~41と移動してダルマ流(転んでも起きる)と言っていたのは懐かしいです。









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする