名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(109); 三間飛車穴熊に銀冠

2016-03-29 | 大山将棋研究
昭和48年8月、加藤博二先生と第12期十段戦です。


34歩66歩のやりとりが遅くなりましたが、大山先生の三間飛車穴熊です。

加藤先生は銀冠。大山先生の45歩は先手番ゆえに手詰まりを避けたものでしょうか。当時は先手後手関係なく千日手を避けるのが普通でしたが。

72飛の揺さぶり。これに57金と対応したときに75歩と行かないのは同歩同飛65歩を避けたということでしょうか。

角の転回が間に合って大山先生がリード。

この歩を突くのは少し驚きます。前にも見かけましたから大山先生は気にしていないのでしょうか、穴熊は弱体化します。地獄突きって呼ばれていた気もします。(アブドーラザブッチャー、古いですね。)

53歩を打たせて位を奪回すれば言い分が通りました。

3筋に駒を集中します。

54銀や43金を押し込んで35歩と合わせれば大山先生が有利に見えます。加藤先生の8筋突破は遅く見えますし。

銀をぶつけて

加藤先生は8筋突破を間に合わせましたが、ここでは大山先生のほうが少し良いはず。2枚換えでも63銀や81桂は取り残されているのですから。
ここでの最善手がよくわかりません。飛車を引いて33桂を攻めるべきかと思うのですが、自信はありません。

51角に51金打で失敗したか。角を渡しました。

この角が急所です。持ち駒の金を打つと戦力が足りなくなります。

飛車を引いて催促、これにすぐ28角成としないで歩を打てば飛車の位置が違います。

39金と張り付けば加藤先生がよくなりました。大山先生からは角打ちが攻防なのですが

加藤先生の45歩がぴったり。さらに25銀が攻防です。

39金は消去されましたが、39銀として28の金を攻めるのが急所です。

銀で玉を下に落として

金を打てば飛車打ちの1手

大山先生から34桂が詰めろになりますが、加藤先生の25香は詰めろ。

成り捨てて26歩も受けになっていなくて、取られてしまいます。

以下は即詰みです。


大山先生が上手く指していたのですが、26歩というのはやはり危ない手です。楽観からか寄せに行ったのが早すぎました。46角と打たれてからは容易ではありません。逆転の手段はなかったように思います。少し戻って89飛成の時に38飛ではないかと思うのですが、飛車を攻められそうであまり自信はありません。加藤先生の寄せの強さに感心すべきでしょう。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:加藤博二8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 8四歩(83)
3 7八飛(28)
4 8五歩(84)
5 7七角(88)
6 4二玉(51)
7 6八銀(79)
8 6二銀(71)
9 4八玉(59)
10 1四歩(13)
11 3八玉(48)
12 1五歩(14)
13 2八玉(38)
14 3二玉(42)
15 1八香(19)
16 3四歩(33)
17 6六歩(67)
18 5四歩(53)
19 1九玉(28)
20 5二金(61)
21 2八銀(39)
22 3三角(22)
23 5六歩(57)
24 2四歩(23)
25 5七銀(68)
26 2二銀(31)
27 5八金(69)
28 2三銀(22)
29 3九金(49)
30 2二玉(32)
31 4六歩(47)
32 3二金(41)
33 4五歩(46)
34 5三銀(62)
35 4八金(58)
36 7四歩(73)
37 3六歩(37)
38 9四歩(93)
39 4六銀(57)
40 7二飛(82)
41 5七金(48)
42 4四歩(43)
43 同 歩(45)
44 同 銀(53)
45 4五歩打
46 5三銀(44)
47 5九角(77)
48 6四歩(63)
49 3七角(59)
50 8二飛(72)
51 8八飛(78)
52 2五歩(24)
53 5五歩(56)
54 2四角(33)
55 2六歩(27)
56 同 歩(25)
57 5四歩(55)
58 同 銀(53)
59 2六角(37)
60 5三歩打
61 2五歩打
62 1三角(24)
63 4七金(57)
64 3三桂(21)
65 3五歩(36)
66 同 歩(34)
67 3八飛(88)
68 4三金(52)
69 3五銀(46)
70 3四歩打
71 4六銀(35)
72 8六歩(85)
73 3六金(47)
74 8七歩成(86)
75 5五歩打
76 6三銀(54)
77 4四歩(45)
78 4二金(43)
79 3五歩打
80 7八と(87)
81 3四歩(35)
82 同 銀(23)
83 3五銀(46)
84 同 角(13)
85 同 金(36)
86 同 銀(34)
87 同 飛(38)
88 3四歩打
89 同 飛(35)
90 8九飛成(82)
91 2四歩(25)
92 3一桂打
93 5一角打
94 5二金打
95 4二角成(51)
96 同 金(52)
97 4三銀打
98 4六角打
99 3二銀成(43)
100 同 金(42)
101 4三金打
102 4二銀打
103 3二金(43)
104 同 玉(22)
105 2三歩成(24)
106 同 玉(32)
107 3六飛(34)
108 2七歩打
109 4六飛(36)
110 2八歩成(27)
111 同 金(39)
112 2七歩打
113 同 金(28)
114 3九金打
115 5六角打
116 4五歩打
117 3六飛(46)
118 3八歩打
119 2四歩打
120 3二玉(23)
121 2八金打
122 2五銀打
123 3八飛(36)
124 同 金(39)
125 同 角(56)
126 2六銀(25)
127 同 金(27)
128 3九銀打
129 2七金(26)
130 9九龍(89)
131 2一銀打
132 同 玉(32)
133 2三金打
134 2二飛打
135 同 金(23)
136 同 玉(21)
137 4一飛打
138 3二玉(22)
139 8一飛成(41)
140 2五香打
141 8九歩打
142 9七龍(99)
143 2三歩成(24)
144 同 玉(32)
145 2六歩打
146 同 香(25)
147 同 金(27)
148 2八銀成(39)
149 同 玉(19)
150 3九銀打
151 同 玉(28)
152 4八金打
153 投了
まで152手で後手の勝ち







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20160329今日の一手<その302>; 穴熊を過信しない

2016-03-29 | 今日の一手
20160329今日の一手

2月20日の名南将棋大会から、AさんとOさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
先手の1歩得です。後手に持ち歩がないのでカウントします。
玉の堅さは先手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒は56飛1枚。
後手の攻め駒は34飛44角45桂で3枚。

総合すれば互角です。

大局観として
先手は松尾流穴熊で、かなり堅いのですが、後手の金銀の連結もよく、桂馬の働きに差がありますから形勢を過信してはいけません。攻め駒が少ないですね。角は使えそうですが飛角だけでは足りません。
互いに飛車取りで、取り合っていいかどうかの判断が最初、取り合いがまずければどこに逃げるかを考えますが、どれもありそうです。自然な手から考えましょう。


× 実戦は34歩56歩と飛車の取り合いです。

大駒を交換すれば玉が堅い方が有利という場合が多いですが、後手の駒の連結がよく、飛車を打ち込んでも取れる駒がありません。さらに57歩成を受けなければいけませんからこれはだめです。56同金58飛45金同銀41飛54銀

駒損ですし、攻め駒が足りません。この後は75歩から暴れて、こういう図

後手が強気で応じたので攻め駒は増えました。でも端に手がついているので寄せ合いは後手有利。ここで91竜は勝負手ですが、しっかり受けられて攻めが切れてしまいました。


○ 飛車の取り合いがまずければ、37桂成を防いで36飛が自然な手です。

34の飛は逃げるしかありません。31飛に46歩

桂損になるので35飛とぶつければ同飛同角45歩68角成同金引

これは桂得、攻め駒は3枚ですが穴熊なので十分指せるでしょう。52歩から と金を作れは4枚目の攻め駒になるので先手が勝てそうです。


△ 59飛も普通の応手ですが

35角39飛

37歩46歩62角45歩36飛

桂馬は取れましたが38歩成があるので忙しいです。先手がよいとは言えません。


× 58飛はひねった感じです。

35角に38飛ではだめなので46歩ですが37桂成

桂馬の働きの差が大きくなりました。飛角もさばけていないので後手が有利です。


× 26飛も少しひねった感じです。

後手は飛車を取り合うか逃げるか35歩を取るかの選択肢があります。37桂成34歩26角が最善か。

飛車を取り合ってやや後手が指せそうな感じです。飛車を打ち合えば後手は桂香を拾えます。


△ 16飛はさらにひねった感じですが

35角なら36飛

68角成34飛67馬同金49角

77金57桂成31飛成71金打52歩

強く寄せ合ったとしても後手の攻め駒が少なく、先手が優勢です。

16飛には31飛とすれば37桂成を防いで36飛とするくらい。65歩

最初から36飛とするより1手損で、65歩とされます。46歩66歩同金56歩

56同金88角成同銀47銀

これは後手が優勢。

65歩には同歩と応じるのでしょう。同桂と取られます。

58歩と受けても57歩同歩73金寄

45か65の桂を取りに来られたら2枚換えですが57で清算して後手も戦えます。形勢互角。


穴熊だから堅い、飛車交換で十分、なんて思い込んでいると失敗することがあります。冷静に攻め駒の数を数えなければいけません。3枚は必要です。

飛車交換はまずいと気が付けば、36飛が自然で、自然な手で悪くなければあとは考えなくてもいいです。不自然な手にはたまに好手が隠れているかもしれませんが、読み落としで悪くなることも多いですから。

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