名南将棋大会ブログ 名古屋

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大山将棋研究(103); 四間飛車穴熊に位取り

2016-03-23 | 大山将棋研究
昭和48年6月、大内先生と第21回王座戦です。


大内先生が中飛車に

さらに穴熊です。大内先生の振り飛車穴熊はいつからでしょうか?端歩を受けてからでも穴熊にするのが大内先生らしいです。大山先生は6筋の位を取ります。対穴熊ということもありますが、7筋よりは6筋の位のほうが角を使いやすいので形がいいです。

この角が問題で、やりたくなるのもわかりますが疑問手です。45歩が王手になるのに金も締まらないうちにけん制はだめです。大山先生は時々こういう手があるのですが、わざと少し悪くしているというか、手詰まりを避けようとしているというか、相手の力を試すようにやってきなさいという手を指すことがあるのです。こういう時に自然な指し手でとがめられると指しにくくなります。だから中原先生に分が悪いのか、という気がします。

45歩に66銀左。これはあまり良い形ではありません。そして44銀。55歩がありますし、31角成には42金21馬51飛という筋で馬が死にます。私もかなり前にこの筋にはまり、困ったことがあります。

しっかり金を寄せて穴熊が大分堅くなりました。金の動きの制約(52金とできない)がある中飛車に穴熊は相性が良いです。一方大山先生の囲いは5筋が手厚いのですが、穴熊に対して85歩と伸ばせないので穴熊攻略はやりにくく、横から攻めるしかなくなります。端の突き合いがあっても86角を移動しないと端攻めはやりにくいのです。つまりは大山先生の作戦負け。しばらくは我慢するしかありません。

その我慢ができなくて37桂と使ってしまったので攻撃目標ができた大内先生は3筋から動きます。

詰められている端から攻めるというのが驚きます。14同香は15角27飛36歩があるので取れません。こういうところ、ごめんなさいと16歩というのはプロはやらないのですが、我慢するのもあるように思います。

2筋を破ったけれど25飛37角成32と では74桂もあるので自信なし。

成香を引かれて飛車が助からないので32と から取り合いしかありません。

大山先生は41とを使って攻め合いしかないです。横からだけしか攻められないので大内先生が有利。

互いに飛車と と金で攻め合い

香車が急所に入りました。大内先生が自然に優位を広げます。

派手な手が出ます。これで飛角総交換かと思ったら

大山先生が飛車を逃げ、大内先生も馬を寄せます。これで87の地点を狙う寄せを見ます。44銀が取られるので気が付きません。こうなるのなら大山先生は17飛成のほうがよかったということですね。

銀を取られても79銀は急所。

飛車も使って大内先生は4枚の攻めになりました。寄せ合いは駄目なので大山先生は受けようとしますが

香を捨てて

竜を切って銀打で決まります。

これで詰みです。

86角のけん制は振り飛車穴熊から見れば対応しやすく、早すぎました。85歩まで伸ばしてから86角ならよかったのですが。大内先生のほうから1筋の端攻めが好手、59角成から69馬というのも好手。怒濤流の名前のままの一気の寄せが見事です。大内先生の快勝譜です。上下逆にしてみてください。


#KIF version=2.0 encoding=Shift_JIS
# ---- Kifu for Windows V7 V7.23 棋譜ファイル ----
手合割:平手  
先手:大山9段
後手:大内延介8段
手数----指手--
1 7六歩(77)
2 3四歩(33)
3 2六歩(27)
4 4四歩(43)
5 4八銀(39)
6 4二銀(31)
7 5六歩(57)
8 5四歩(53)
9 2五歩(26)
10 3三角(22)
11 6八玉(59)
12 5二飛(82)
13 7八玉(68)
14 6二玉(51)
15 9六歩(97)
16 9四歩(93)
17 6八銀(79)
18 7二玉(62)
19 5八金(49)
20 4三銀(42)
21 5七銀(48)
22 8二玉(72)
23 6六歩(67)
24 9二香(91)
25 6五歩(66)
26 9一玉(82)
27 6七銀(68)
28 8二銀(71)
29 7七角(88)
30 7一金(61)
31 8八玉(78)
32 5一金(41)
33 8六角(77)
34 4五歩(44)
35 6六銀(67)
36 4四銀(43)
37 6七金(58)
38 5三銀(44)
39 7八金(69)
40 6二金(51)
41 3六歩(37)
42 5一飛(52)
43 1六歩(17)
44 4四銀(53)
45 3七桂(29)
46 4一飛(51)
47 1五歩(16)
48 3五歩(34)
49 2六飛(28)
50 1四歩(13)
51 同 歩(15)
52 同 香(11)
53 2四歩(25)
54 1九香成(14)
55 2三歩成(24)
56 1五角(33)
57 2七飛(26)
58 1八成香(19)
59 3二と(23)
60 2六歩打
61 4一と(32)
62 2七歩成(26)
63 2五桂(37)
64 3七と(27)
65 1二飛打
66 1七飛打
67 4二と(41)
68 4七と(37)
69 5二と(42)
70 7二金(62)
71 2七歩打
72 8四香打
73 7七角(86)
74 5七と(47)
75 同 銀(66)
76 5九角成(15)
77 2二飛成(12)
78 6九馬(59)
79 4四角(77)
80 7九銀打
81 7七玉(88)
82 2七飛成(17)
83 6八銀打
84 同 銀(79)
85 同 金(67)
86 8七香成(84)
87 同 玉(77)
88 5七龍(27)
89 同 金(68)
90 8六銀打
91 同 玉(87)
92 7八馬(69)
93 5八飛打
94 8七金打
95 投了
まで94手で後手の勝ち


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20160323今日の一手<その299>; 飛車を捨てる位置

2016-03-23 | 今日の一手
20160323今日の一手

2月20日の名南将棋大会から、OさんとSさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。



一昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうがやや堅いです。
先手の攻め駒は88飛66角56銀で3枚。
後手の攻め駒は22角64銀65桂で3枚。84飛も数えてよさそうで、4枚に近いです。

総合すれば互角です。

大局観として
先手玉がやや堅いけれども、後手だけ右桂をさばいているのでいい勝負です。さらに8筋の歩を伸ばされて忙しいです。左桂をさばければ有利になります。それができないときはやや悪くなりがちで、どれが勝負になるかということを検討します。


× 77桂でうまくいくならいいのですが

77同桂成同角87歩成

これでどうにもなりません。


○ 実戦は68飛でした。早逃げの手筋です。

87歩成に65銀78と

64銀68と75角89飛成

飛銀交換で と金も作られ4枚の攻め、寄せ合い負けです。

途中で工夫しましょう。78とに67飛と逃げます。

55銀75角89飛成26桂

まあまあのようですが、77と から66銀がありますね。やや後手よしです。

55銀で65銀なら

75角66歩同飛同銀84角

こっちは互角でしょう。

もう一工夫。68飛87歩成に88歩

同と と取れば飛車交換を狙ってまあまあ。先着されても64銀が浮いています。67歩同飛86とでどうか。65銀と取ります。

76と とできませんから取り返すでしょう。65同銀75角66歩同飛同銀84角

3つ前の図より と金の位置が違うのですが、これは先手のほうが得。やや先手が指せるでしょう。


△ 65銀はどうか。

87歩成なら64銀88と75角

実戦では と金が68だったので89飛成がダイレクトで痛かったのですが、これなら違います。87飛成26桂79飛

48金引89飛成34桂24桂25銀

こう進むのなら悪くないです。

65銀には同銀でしょう。

75角81飛77桂76銀(74銀もある)86飛

86同飛同角88飛42角成

42同銀54桂67角(銀を逃げれば72飛から76飛成)42桂成同金39金

先手が駒損ではあるものの、後手玉が薄いのでいい勝負。

変化もいろいろありそうですが、どれも実戦的には互角の変化であろうという感じです。


△ 85歩はどうか。

85同飛に65銀同銀(ここでも87歩成はやや指せそう)77桂

一見はうまくいったようなのですが、66銀85桂56歩

これを56同金と取ると55銀45金56銀58飛57歩59飛77角

というように金が守りから離れて飛車をいじめられることになり先手が悪いです。
56歩に58飛と我慢して

67銀打59飛77角61飛

まあまあ戦えるのですが少し後手がよさそうです。

途中、77桂に87歩成ならば

85桂88と75角

これなら先手が少しいいのですが。飛車より角を取られる方が嫌です。



問題図の少し前

こっちを問題にしようかと思ったくらいなのですが、65歩同桂66角86歩で問題図。でも85歩と取って、同桂なら65歩

これは十分。
85同飛にも65歩

88飛成同角87飛には64歩88飛成63歩成

と進めて指せそう。
65同銀なら同銀88飛成同角65桂82飛

これも指せそうに見えます。86歩は振り飛車からついた歩なので、取ってから65歩が手の流れかという気がします。


さて、それはともかく、問題図では77桂がだめなので手段が難しいです。68飛87歩成88歩はちょっと気が付きにくい手だと思います。これはやや先手よし。これを逃して実戦では6筋で飛車を捨てることになったのですから早逃げの好手が台無しです。

88歩の筋に気が付かなければ、飛車は8筋で捨てるつもりで65銀や85歩同飛65銀を考えます。銀桂交換から入るのでやや苦しいのですが、美濃囲いの堅さというか(上手く指せば)粘りが利く囲いなので勝負になります。逆に後手の囲い(加藤治郎先生の命名だったか、箱入り娘という名前がついています)は粘りは利かないのですがある程度手抜きができる囲いです。

振り飛車党ならこういう中盤で駒がぶつかった局面でうまくさばくことができるかが最初の勝負です。(そこでうまくいかなければ粘ったり、うっちゃりを狙ったりという技術もあるのですが)しっかり読むか、直観を磨くかで互角以上のわかれにもっていきたいです。
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