鎌倉 佐助の風街便り

陶芸、街歩き、クルマ、オーディオ・・。思いのまま徒然に

落語と浴衣のランデヴー、9月の空にこだまして…

2016-09-03 22:45:26 | 日記

大好きな夏・8月も静々とその幕を閉じ、そしてやってきた9月最初の週末。本日3日は土曜日ということで、通例ならば夕方からは「残業」、もしくは「つらい修行」と称して駅周辺の飲み屋さんの暖簾をくぐることとなります。夏の終わりの寂しさはことさら痩せたカラダに浸みるので、お酒のチカラを借りなければ明日を迎えられません。ということで本来ならば駅前に向かってまっしぐら!となるところなのですが、今宵に限っては佐助の街に「漂流」を決め込むことになっています。

向かった場所はこちら。毎年この時期恒例、ご近所のお店仲間の 甘味処こまめ で開催される「こまめ寄席」へ。

年に一度、自宅からわずか徒歩2分足らずの地での「浴衣でこまめ寄席」は、すっかり「わが家のルーティン」になっています。

開場の午後4時半を過ぎて「こまめ寄席」の暖簾をくぐると、笑顔いっぱいの「こまめ店長 兼 席亭」?のかえさんがお客さんの間を忙しく立ち廻っています。

ワタシは「まずはビール」と所望して喉を潤しているうちに、席亭かえさんの開演の挨拶から寄席がスタートします。

「こまめ寄席」は三遊亭遊吉師匠の独演会の形式を常とします。今年のお題は「三年目」と「愛宕山」。

今年の「こまめ寄席」に際しても、遊吉師匠は誠意を込めてとても聞き易いテンポで高座を進めてくれました。されどされど、最初の噺が終わった時に友人から演目名を訊ねられた時に「三年目」を度忘れして答えられず、我ながら思わず「ビックリ!」。これも、還暦なればこそ。ちょっと意味は異なりますが、立川談志師匠が解いていた「落語とは業の肯定」という言葉が浮かんでは消え…。

「愛宕山」はとても思い出深い一席です。ワタシが子供の頃、生活していた東京・葛飾の家には、ワタシの父の幼馴染「コイデさん」が居候していました。「コイデさん」は落語修業中の身で、後に三遊亭円之助という落語家になりました。当時小学生だったワタシや友人たちはいつも我が家の居間で「コイデさん」から落語を聴かせてもらっていました。その時の得意ネタが「愛宕山」でした。「愛宕山」という演目のあらすじはさておき、「こまめ寄席」遊吉師匠が熱演する「愛宕山」を聞きながら、今は共に亡き父と「コイデさん」との思い出が走馬灯のように目の前をよぎり、思わずウルウルしそうになる一幕も…。

落語二席を経て恒例のプレゼント・タイム。遊吉師匠と深いつながりのある芸人さんの手ぬぐい獲得へ向けて、真剣勝負の「じゃんけん大会」がスタート。

たかが手ぬぐい…、と言うなかれ。これが結構盛り上がります。寄席に居合わせた総勢30人ほどの立派な大人がきっちり真面目に手ぬぐい目当てで「じゃんけんポン!」。明日の日本、大丈夫なのでしょうか…。ひとえに、若者が頼りです!

以前、当ブログに記した記憶があるのですが、遊吉師匠の奥さん・横山真香さん(右)は「こまめ」店長のかえさんの幼馴染、そしてお店のスタッフとして側面から支えています。偶然にも真香さんは、ワタシがかつて務めていたベースボール・マガジン社の後輩でもあります。人生とはまさに不思議な縁でつながっています。

真香さんはこの夏、「長女が母の呪縛から自由になる方法」というとても長いタイトルの著書を刊行しました。今、ひそかに話題になっている一冊です。興味を待たれた方は、是非ご一読のほどを。

「こまめ寄席」もお開きとなり、あらためて店長・かえさんをはじめスタッフの方々が勢揃い。

思わず「ずっと浴衣で行こう!」と声をかけたくなるような佇まいです。

帰途につく方々の多くは顔見知り。そぼ降る雨を見上げながらお店の軒先に立ち止まっていると「傘、お貸ししましょうか?」と問いかけられてしまいます。「お気遣いありがとうございます。家はすぐそこですから」とアタマをポリポリ掻きながら答えるワタシ。

傘を持つご婦人方が纏う浴衣の裾に跳ね上がる雨粒の勢いも秋色の気配濃く…。

傘も差さずになんとか家にたどり着き、あらためて紐解いた「こまめ寄席」の思い出…。

遊吉師匠からいただいた手ぬぐいとともに、逗子銀座通り・和菓子「こよみ」さんが手がけた「こまめ」印入りのプチどら焼きが妙に心躍ります。

こよみ見て 秋の気配を感じつつ 落語と浴衣のランデヴゥー



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