記事紹介が続き、すみません
・ひとつ目は、経営的、経済面から見た記事。
・ふたつ目の記事は、事前に申し上げておきますが・・部分、部分の表現などは「SMAPファンにとって」しっくり来なかったり、受け入れにくいものがあるかもしれません。
なのになぜ紹介するかといいますと。
この記事はSMAPをサポータに任命し、「解散」発表後にグループでの関わりが難しいなら「個人でもいいので」とわざわざ公式発表してくださった日本財団さんがライター(宇野さん)に依頼したもの、ということ。
さらに、世界各国への配信も決まっているとのこと。
日本国内ではすでにSMAPの報道はわざとらしいぐらいに静まり、このまま「なきもの」としようとされている今、ファン向けではなく、広い世界へ、幅広い層へ、目を向けてもらうための意義がある記事と思い紹介します。
ちなみに、ライターご本人もツイッターで以下ののように説明しています。
「宇野維正 @uno_kore 9月12日
この拙稿を「最後に紅白で『世界に一つだけの花』歌って笑顔でフィナーレ」に誘導するものと読まれてる方もいるようですが、自分はそんな風景を望んでません。日本財団さんから「自由に書いてください」と言われて書いたものです(だから書きました)
nippon.com に「SMAPが日本の「国民的グループ」であった理由」という原稿を寄稿しました。今後、英語、中国語、フランス語、スペイン語、アラビア語、ロシア語に翻訳されて世界に発信される予定です」
【SMAPの「上場・売却」でファンとメンバーと事務所は皆ハッピーになる。(川崎隆夫 経営コンサルタント)】
2016年09月13日 05:00
川崎隆夫 経営コンサルタント、(株)デュアルイノベーション代表取締役
コチラ sharesafe ONLINE
~引用~
「一部報道によると、SMAPの解散は、ジャニーズ事務所の企業イメージにも、少なからず影響を与えているようです。仮にこのままSMAPが解散してしまった場合、ジャニーズ事務所のイメージに傷がついたままの状態となってしまい、今後のジャニーズ事務所の業績にも、全く影響が出ないとは言い切れない状況のようです。そこで今回のSMAP解散は、ジャニーズ事務所にとっても望ましいことでは無いのだろうと勝手に想像し、問題をうまく解決できる手段が無いものか、改めて考えてみました。
■SMAP関連事業の「事業価値」
筆者はSMAPの解散について、多くの報道にあるように人間関係などの「情実」の面だけから解決策を考えるのではなく、「ビジネス」という側面からも併せて考えてみることで、初めて解決への道筋が見えてくるのではないかと思っています。そこで今回は、SMAP関連のビジネス全体をひとつの事業として捉え、「事業価値」という側面から考えてみたいと思います。
一部報道によると、SMAP関連事業全体の売上は、ジャニーズ事務所全体の推定年商約1000億円のうち、約1/5の200億円程度であると報じられています。よってジャニーズ事務所は、SMAP関連事業の売上全てを失ったとしても、全体売上の1/5程度を失うだけに留まるため、業績面での大きなダメージは少ないと考えているのかもしれません。
しかしSMAP関連事業は、不動産や株式と同様に「資産価値」も有していると想定した場合は、少し様相が変わってきます。参考までに、ジャニーズ事務所の同業で、サザンオールスターズや福山雅治さんなどのマネジメント等を手掛ける株式会社アミューズの時価総額を見ると、9月12日現在で約334億円となっており、アミューズが手掛ける全事業には、約334億円の価値があるということになります。
続いてアミューズの2016年3月期の決算を見てみると、売上は約489億円、純利益は約35億円となっています。そこで、アミューズとジャニーズ事務所は同業なので、両社は似たような収益構造になっており、経営戦略や経営方針についても類似点が多いだろうと仮定した場合、ジャニーズ事務所の「SMAP関連事業」の売上はアミューズの41%程度に相当するため、「SMAP関連事業」の事業価値も、単純計算では、アミューズの約41%に相当する137億円程度になるのではないか、と考えることができます。
要はジャニーズ事務所内で現在SMAP関連事業を運営・管理している部門が、仮に株式会社として独立しており、その株式全てを投資家等に売却できると仮定した場合、137億円程度の資金を調達できる可能性がある、ということになります。 よって今回のSMAP解散により、ジャニーズ事務所は、「SMAP関連事業」が生み出す利益を失ったに留まらず、137億円程度の価値があったかもしれない「優良資産」をも、手放す判断をしてしまった可能性があるのです。
なおジャニーズ事務所は非上場企業であり、財務諸表等の経営関連情報はもとより、経営方針等も一切開示していませんので、事業価値算出の根拠となる数字や情報が誤っている可能性があります。加えてジャニーズ事務所とアミューズとは、所属するタレント、アーティスト等のジャンルも違いますし、実際は経営方針や収益性、成長性等も異なっている可能性もあるため、上記事業価値の数字は、あくまでひとつの「目安」として捉えていただきたいと思います。
一般論ですが、年商1000億円程度の企業において、経営者と事業部門のトップとの間に確執があったとしても、経営者の一存で、その企業の売上全体の約2割を占め、また事業価値も130億円以上と推定される事業部門のトップをいきなり更迭し、併せてその事業部門をも閉鎖してしまうなどといった経営判断が下されることは、普通の企業では考えにくいことだろうと思います。
各種報道にあるように、仮にSMAPの解散は、様々な人間関係のもつれが主な要因で起きた出来事であり、その結果ジャニーズ事務所は、大きな事業価値を有していると推察される事業を失う羽目に陥ったのだとしたら、非常にもったいない話だと思います。
一方で、「SMAP事業の事業価値」を創り出している源泉は、ファンの支持です。よって、今回のSMAP解散発表により、ジャニーズ事務所は「約137億円に匹敵するファンの支持」も併せて失った可能性があります、これも実にもったいない話です。よってジャニーズ事務所は、再度この事業価値の大きさに着目し、SMAPの解散撤回を含めた「SMAP関連事業」の継続について、改めて検討し直すことが望ましいのではないかと思います。
■SMAP関連事業継続のためのスキーム案
今後SMAPの解散を回避し、SMAP関連事業を継続していくためには、現在のスキームではなく、新たなスキームを組むことが必要ではないかと思います。 その一つとして、以下のようなスキームが考えられます。
1.「SMAP関連事業」に加え、以前元女性マネジャーが手掛けていたグループやタレント等を担当している部門を独立させ、ジャニーズ事務所の出資により新会社を設立し、ジャニーズ事務所の子会社という位置づけとする。
2.代表権はジャニーズ事務所の経営者等が持つとしても、「最高執行責任者」(一般企業のCOOに相当)として元女性マネジャーを迎え、新会社全体のマネジメントを担っていただく。
3.役員や経営幹部には、ジャニーズ事務所関係者以外に外部から経営等の専門家を招くとともに、上場企業並みのコンプライアンス、ガバナンス体制も構築する。
4.現在の「SMAP関連事業」のビジネスモデルを継承しながらも、グローバル化やネット動画対応なども視座に入れた成長戦略も策定する。
また上記スキームを構築した際のメリットとしては、以下が挙げられます。
1.SMAP解散を回避できれば、ジャニーズ事務所の企業イメージの回復につながる可能性がある。
2.ジャニーズ事務所は、近い将来「SMAP関連事業会社」の株式を上場させるか、あるいは投資家等に株式の一部を売却することにより、多額の資金を調達できる可能性が生まれる。またSMAPメンバー等の関係者にも、ストックオプション等により株式の一部を割り当てた場合、関係者も株式売却益を得られるため、メンバー等のモチベーションアップにつながる可能性がある。
3.元女性マネジャーが担当していたグループやタレントを、新たに設立する子会社に移籍させることにした場合、ジャニーズ事務所本社所属のグループ、タレント等との「序列」が明確になるため、一部報道にあった「派閥争い」も消滅する可能性がある。
4、一部メディアで、ジャニーズ事務所に残ることを選択したと報じられた木村拓哉さんも、このスキームであればジャニーズ事務所と新会社の両方に籍を置くことができるため、他のSMAPメンバーとともに、支障なく活動できる可能性が生まれる。
このようにSMAPを含め、以前元女性マネジャーが担当していたグループ、タレント関連の事業をジャニーズ本体から切り離し、子会社に移管させてマネジメントを行うことで、SMAPの解散を回避できる可能性が生まれるとともに、今後SMAP関連事業を含めた新会社が行う事業全体の成長も期待されます。
■安倍首相の「歩み寄り」事例
報道によると、安倍晋三首相は、東京都知事選で激しく争った結果、敗北を喫した相手である小池百合子東京都知事と8月に会談した際に、「自民党は、きつい一本を取られましたが、東京五輪を成功させるため、政府と東京都が協力しなければならない。それが民意です。」と述べたそうです。
これは安倍首相が民意を優先して首相というプライドを捨て、小池氏に自ら歩み寄った事例だと言えそうです。一方で、安倍首相は小池氏に謝罪した訳ではなく、歩み寄っただけですので、安倍首相のメンツも保たれています。よって、「きつい一本を取られた。」という安倍首相の発言は、お互いの歩み寄りを促進する意味において、実に見事な表現だったと思います。
ジャニーズ事務所も、「SMAP解散回避」という「民意」を受けて、「安倍首相の歩み寄り事例」をモデルにして自ら歩み寄り、メンバーや元女性マネジャーを含む関係者全員で、本当にこのままSMAPを解散させてしまってよいのかどうか、再度話し合う場を設ける努力をすることが望ましいと思います。
関係者全員の話し合いにより、「大きな事業価値があると推定されるSMAP関連事業の主体であるSMAPを解散させてしまうことは、非常にもったいないことだ。」といったコンセンサスが生まれたとしたら、事態はSMAPの解散回避など、多くのファンが望む方向に向かうかもしれません。今後、是非良い方向に向かってほしいと思います。
株式会社デュアルイノベーション 代表取締役
経営コンサルタント 川崎隆夫 」
【 SMAPが日本の「国民的グループ」であった理由 】
宇野 維正 [2016.09.12]
~引用~
「 結成から28年、SMAP解散のニュースは、日本中に衝撃を走らせ、海外でも注目を集めた。年末の解散までの動きが注目される「国民的グループ」の功績とその特異性を振り返る。
解散発表後の不自然さ
8月14日、日本中に衝撃が走った「SMAP解散」のニュースは、彼らのファンがたくさんいるアジア各国をはじめ、世界中にも発信された。
国内では、いまだに週刊誌やウェブのゴシップメディアを中心にその解散の原因や、今後の各メンバーの活動を巡る憶測が報じられ続けている。今回のSMAP解散の奇妙なところは、解散ツアーのようなものが行われる可能性はなく、現在のところSMAP5人での解散を受けての企画(テレビの音楽番組への出演やベスト盤などのCDリリース)が何も発表されていないにもかかわらず、唯一メンバー全員が顔を揃えるテレビ番組『SMAP×SMAP』の放送だけが、活動の期限とされる今年の年末までこれまで通り毎週平然と続けられていることだ。
解散に至った直接的な原因はメンバーの不仲にあったわけではないはずだが、結果的にコミュニケーションに問題が生じているといわれるメンバー同士の姿や表情や発言をテレビの画面越しに毎週見るというのは、それがテレビ局との契約によるものだとしてもエンターテインメントの在り方として不健全な状況だ。アイドルというものには必然的に「見せ物」の要素があるわけだが、現在の彼らは、おそらくは本人たちにとって不本意なかたちで「見せ物」となってしまっている。
『SMAP×SMAP』は先駆的なバラエティー番組
SMAPにとって『SMAP×SMAP』は、彼らの人気と名声を象徴するテレビのバラエティーショーであり続けてきた。1991年のCD デビューから5年後の1996年にスタートし、ちょうど今年で20周年を迎えるこの月曜日の夜の番組には、これまでマイケル・ジャクソン、マドンナ、ロバート・デ・ニーロ、トム・クルーズ、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハンクス、デンゼル・ワシントン、ブラッド・ピット、ウィル・スミス、アラン・ドロン、ソフィア・ローレン、ジェーン・バーキン、ミハエル・ゴルバチョフ、デヴィッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウド、ネイマール、ウサイン・ボルトなどなど、数え切れないほどの「通常ならテレビのバラエティーショーに出ることなんて考えられない世界中のセレブリティ」がゲストとして出演してきた。
また、それまで日本のアイドルグループはテレビのバラエティーショーにゲストとして出演することはあっても、ホストとして番組を持ち、そこでゲストに率先して自らコメディーやパロディーを演じたりすることはなかった。そんなさまざまなテレビ界、芸能界の常識を覆してきた『SMAP×SMAP』は、日本のテレビ番組で最も潤沢な制作費が注ぎ込まれてきた番組であり、日本においてアイドルという存在の意味と可能性を広げることとなった先駆的な番組でもあった。
「国民的グループ」の役割を自覚
この番組では、2011年3月に東日本大震災が起こって以来、5年以上たった現在に至るまで毎回、番組の最後にメンバー5人がフォーマルなスーツに身を包んで一列に立ち、視聴者に復興支援を呼び掛けている(現在は、今年4月に起こった熊本地震の被災者への義援金への呼び掛けも加えられている)。大きな災害が起こった後にタレントやミュージシャンがチャリティー活動をすること自体は珍しいことではないが、それをここまで継続的に、毎週、視聴者に向けて行っている例は他にない。
その復興支援への呼びかけのパートは、最初にジャニーズ事務所独立騒動の報道があった今年1月以降も、その都度撮り直されている。彼らはただ日本人の多くから「国民的グループ」と呼ばれていただけではない。その役割を自認して、その立場でその時に何をすることができるかを常に考えてきたグループだった。あるいは、そうした役割があったからこそ、それぞれがソロ活動で人気役者として、また人気バラエティータレントとして活躍するようになって10数年がたっているにもかかわらず、SMAPの一員であり続けてきたという側面もあったのだろう。
そのことを考えると、年内解散が報道されて、グループとしての音楽番組への出演やCMの契約が途絶えてしまった現在も『SMAP×SMAP』だけが続いている理由は、テレビ局との契約問題だけではないことが分かる。彼らは最後まで、少なくともその役割だけは果たし続けようとしている。
若手ミュージシャンの夢も担う
もちろん、SMAPが結成から28年もの期間、グループとして活動し続けてきた理由は、「国民的グループ」としての責務を果たすためだけではない。何よりも彼らはエンターテイナーであり、ステージ上で歌い、踊ることには、言葉にすることができない根源的な快楽と喜びがあっただろうし、そんな彼らの歌い、踊る姿は多くの人々を魅了し続けてきた。
近年、ビヨンセやリアーナ、カニエ・ウェストやジャスティン・ビーバーといったアメリカやカナダのトップスターたちは、インディペンデントで活動している若手ミュージシャンを自らの作品に積極的に起用し、世界中にその才能を知らしめるようになっている。SMAPは、楽曲制作や『SMAP×SMAP』での共演ステージにおいて、日本国内でそれと同じような役割を90年代後半からずっと果たしてきた。今年8月に解散報道があった時も、多くのミュージシャンから「いつかSMAPに楽曲を提供するのが夢だったのに」「SMAPと共演するのが夢だったのに」とその解散を惜しむ声が上がっていた。SMAPは、そんなメインストリームとアンダーグラウンドカルチャーのクロスオーバーを夢見ることができる場所であり続けてきた。
解散の危機は何度もあった
海外では「ボーイバンド」などと呼ばれる活動形態であるSMAPの5人のメンバーも、今年で最年長の中居正広と木村拓哉が44歳、最年少の香取慎吾も39歳。図らずもメンバー全員が40代になる直前に、グループとしての活動を終えることとなった。途中からは役者やテレビ番組MCとしてソロでの活動の比率も多かったとはいえ、自立した5人の大人の男が30年近くずっと一緒に活動していれば、その過程では当然のようにメンバー間に不和が生まれる時期もあっただろうし、オリジナルメンバーの森且行の脱退(1996年)を筆頭に、これまでも解散の危機に何度か直面したことをメンバー自身がふと漏らすこともあった。
何事も永遠に続くものはない。(極めてチケットの入手が困難だった)彼らのライブツアーに足を運んできた熱心なファンも、主にテレビを通して彼らの活動を追ってきたライトなファンも、「SMAPのいる日常」があまりにも当たり前のこととなっていて、これまで「SMAPが解散する」という可能性に思いを巡らすことがなさすぎたという面もあるだろう。50歳になっても60歳になってもSMAPであり続けてほしいという願うファンの気持ちは、メンバーの精神的負担と肉体的負担を客観的に考えれば、ある種の残酷さと隣り合わせでもあった。
SMAPの功績にふさわしいエンディングを
しかし、彼らを育ててきた担当マネージャー(当時)の独立問題に端を発すると報道されている今年に入ってからの解散騒動と、8月14日に発表された「グループとしての解散」という結論は、はた目からは事務所による「強制終了」のようにも見えた。日本のエンターテインメント界においてあまりにも特別な存在であったこの「国民的グループ」の終わり方として、それはふさわしくないものだという気持ちが拭えない。いつか彼らが「解散」することがあったとしても、今回発表されたメンバーの書面やラジオ番組でのコメントには、「このタイミング、このやり方ではしたくなかった」という気持ちがにじみ出ていたし、ファンの間には、メディアを通して一方的な情報が流される解散報道に対して疑心暗鬼が渦巻いている。
SMAPが正式に解散する今年の大みそかまで、残りあとわずか。事務所やメンバー間の意思の疎通において、どこかでボタンの掛け違いがあった(おそらくは一箇所のボタンではなく複数箇所のボタンにおいて)としか思えない今回の解散騒動だが、せめて最後だけは、メンバー全員が自分たちの歴史と功績にプライドを持って、彼らが一貫して体現し続けてきたポジティブな感情をファンと共有できる機会が訪れてほしいと、今は願うばかりだ。日本のエンターテインメント界において彼らが成し遂げてきた功績を踏まえれば、彼らには笑顔で送り出される資格があるし、そうでなくてはいけないと思う。
(2016年9月6日 記)」