Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「野垂れ死にしてでも生きていくのが芸人」と、どの口が言うのか

2020-06-29 | Weblog
某落語家が、
テレビ番組で、司会者が「(演劇や演芸は)ある意味、反権力だったり、反権威が売りじゃないですか。やっぱりこの2カ月くらいで、お金がないから何とかしてくれ…って言うことに違和感があるんじゃないのと…」と言ったのに応え、
「その意見、私はものすごく大事だと思ってるんですよ。演劇とか落語…役者になる、あるいは芸人になる人間っていうのは、その覚悟がないのか!ってことなんです。
今回(コロナ)のことで、スタッフだとか劇場だとか制作会社が支援してくれって言うのは分かるんです。サラリーマンと同じだから当然です。
でも芸人がね、そういうヤクザ稼業に入ってね、お願いですから国にお金をくださいって、よく言えるなと…野垂れ死にしてでも生きて行くのが芸人だし、とたんに『我々仕事がないからお金をください』って…役者になる前にその覚悟を持って入って来い!って話ですよ。助けてくれって言っていいのは周りのスタッフ。芸人や役者は最後まで、そういうこと言っちゃいけない!」と言ったそうだ。
 
それを「正論」として支持する人がいるというのが、俄に信じがたい。また、彼が「サラリーマンと同じだから」と言ってのけたスタッフにも、フリーランスがどれだけ多いかということを、どうやらこの人は、わかっていない。劇場や制作会社だけを支援しても、一人一人の現場の人間にその「援助」が行き渡るとは限らないのだ。
そして、国の金は税金だ。「金をくれ」ではない。それをどう使うかについて意見を言うのは、国民の権利だ。
また、このたびのことは、不人気で仕事がないのではない。コロナという災害だ。非常時に支援を受けるのは当然のことだろう。
そもそも国に対して文句を言うのが「反権力、反権威」であるのだから、司会者の言っていることも矛盾している。
コロナがあっても昇給する国会議員たちに金を渡すな!と言うことも権利だ。
そもそも「ヤクザ稼業」だの「覚悟」だのというが、自分でそんなことを言うのなら、テレビ番組で副収入を得るのでなく、こんな「炎上商法」でウケを狙うのでなく、本業だけで勝負していればいいのである。わるいけど、名前なんか出してやらない。

こんなレベルの会話がマスコミの番組で堂々と飛び交っているこの国は、他の、民主主義、人権を大切にする国々に比べると、まったく社会性がなさすぎる。
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