午前から演出者協会理事会。いろいろと世界は動いている。昨年から数本の重量級戯曲を重なるように継続して書いていたため、劇作家協会関連のこと以外には演劇業界も含めて世間に疎くなっていた私も、あらためていろいろやらなくてはと思う。なかなか本調子にならないのだ。……来年に向けて、ひょっとしたら楽しい?しんどい?仕事が入るかもしれない。……『冬眠まんざい』稽古、久しぶり。一気に通し、一気に確認事項を当たる。衣裳合わせ。リーディングで「寒さ」をどう表現するべきか。坂本長利さんは富良野で倉本聰さんとも仕事しておられて、『Dr.コトー』で離島にも長くおられ、考えてみれば演劇界きっての「自然派」でもある。……珍しく新百合ヶ丘、川崎アートセンターへ。オープニング時に『ワールド・トレード・センター』を上演したことのある小劇場の隣の映像ホール。画面も大きく、見やすい。さすがは日本映画学校のある土地柄。7時50分から、二時間半を超える『ニーチェの馬』。風を描いた映画歴代ナンバーワンであろう。もうこの監督の手法はわかっているので、困惑することはない。俳優たちも例によっていかにもな存在感だが、馬も哀愁に満ちた「名演」である。「仕事したくない馬」をキャスティングしたのだという。映画に出なければ翌日ソーセージにされる予定だったとか。この監督チームは、映像派だと思われているが、じつはテキストがしっかりしている。それにしても私はこの映画を19世紀末が舞台とは考えず、近未来SFとしてしか観ることができないのである。いや、SFでもないな。ここに描かれている暮らしの寓意は、私たちの現在そのものである。あの父娘が引き返してくる時、彼らは丘の向こうに何を見たのか。
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