Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

ティモールのヤシ糖

2012-10-10 | Weblog
小池博史さんの書き込み情報で、2050年にはインドネシアが世界5位以内の経済大国になる予測というのがあって、そうかも知れないと感じた。世界の動きとしては、インドネシアの繁栄はめざましいものがある。二年前にジャカルタに行ったときはほんとうに見違えた。モールは日本より立派なものもある。新車がすずなりで大渋滞しており、これは地下鉄工事を急ぐのも無理はないと思った。新車が多いのは、ローンが組めるようになったからであり、ローンが払えず転売しても高値で売れるのでリスクが少ないからである。この、珍しく日本を愛してくれている国に、看護師になる人を募り、来日させておいて、結局は言葉問題中心に厳しく採点して多くには資格を与えなかったり(インドネシア・フィリピン両国の受験者の合格率は11・3%)の仕打ちはいかがなものかと思って久しい。インドネシアは二万以上の島があり、面積は北米大陸と変わらない。赤道も含んで暑いが資源も豊かな地域だ。東端はフィリピンや台湾ともけっこう近い。ティモールも近い。ティモールは私の愛するインドネシアのラマレラから百キロも離れていない。そもそも私のインドネシアとの関わりはクジラ関係からで、南国クジラ漁の師・小島曠太郎&江上幹幸のお二人が導いてくれたのだが、彼らはティモールに民俗学研究に通ううち、ラマレラに出会ったのだという。先日の沖縄行きでも宜野湾在住のお二人にすっかりお世話になったが、お土産にいただいたのが、ヤシ糖である。ラマレラではヤシ酒トゥアックがヤシの蕾から湧き出てくるこの世の楽園を体験したが、そのヤシ成分を「糖」にすることもある。ヤシ糖は、ティーモール島などにおいて伝統的な技術により長い間作られ市場で販売されていて、ティモール島では主にロテ島人がその生産にかかわっているそうだ。江上さんが現在調査しているロテ島人のヤシ糖生産村で、今年の夏にヤシ糖生産用の炉を新たに作ってもらい、その炉を用いてヤシ糖を作ったのだという。とりわけ必要のない炉をわざわざ作ってくれたそうで、江上さんは彼らに感謝しているということである。……分けてもらって帰ったが、黒糖とはまた違うまろやかな味わい。写真で見るとおり、円形の型に作っている。この事業が発展してこれからのティモール産業に貢献すると嬉しい。ちなみに江上さんは沖縄国際大学で教鞭を執っているが、八年前のヘリ墜落事故では落下した校舎の反対側にいた。彼女の体験を戯曲『普天間』でも参考にさせていただいている。……沖縄でのオスプレイ反対のたこ揚げに対して、「墜落の恐れが高まってしまいませんか? 一種のテロなのでは?」というとんちんかんな意見が主に本土から出ているようだが、目取真俊さんが朝日新聞九州版で答えているとおり、つまり、「たこ糸が絡まってあの大きなオスプレイが落ちるって、本気で言っているんですか?」「米軍は各地で自爆テロや火炎瓶を相手にしてきている、沖縄は居心地が良すぎたんです」ということである。そもそも守られていない「飛行高度基準」に対する抗議でもあるのだが、それは本土ではほんとうにぴんと来ない感覚だろう。「たこ揚げ」という家族連れでも参加できる抗議活動を持つ豊かさをこそ、評価すべきなのである。
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