Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

反「君が代」を語る石原慎太郎の「正直さ」

2014-04-23 | Weblog
少し前になるが、石原慎太郎氏の発言が話題になった。
「いや、皇室にはあまり興味ないね。僕、国歌歌わないもん。国歌を歌うときはね、僕は自分の文句で歌うんです。『わがひのもとは(私の日本は)』って歌うの。みんなちょっと、振り返るんだけどね」
「僕そんな右じゃない。真ん中よりちょっと左ですよ」
小学生時代の慎太郎は、父親から皇居に向いて「頭下げろ」と言われ、「姿も見えないのに遠くからみんなお辞儀する。バカじゃないか、と思ったね」という。
(「文學界」3月号『芥川賞と私のパラドクシカルな関係』)
「日の丸は好きだけれど、君が代って歌は嫌いなんだ、個人的には。歌詞だってあれは一種の滅私奉公みたいな内容だ。新しい国歌を作ったらいいじゃないか。好きな方、歌やあいいんだよ」
(毎日新聞1999年3月13日)

都知事時代、都立高教員に国歌斉唱時の起立を強制し、不起立の教師たちを処分していた石原氏の発言とは思えないという声もあるが、自分の意見を封じて教員たちを処分した官僚体質と、本当は天皇・国歌に批判的な自身の思想信条に背く不誠実さは、この人の人間性をまざまざとあらわしているといえるだろう。
大阪府知事時代、国歌斉唱時に教職員の起立を義務付けた条例を成立させている日本維新の会共同代表・橋下徹氏は、今回の石原発言に何も言わないのだろうか。あるいは何か言ったかもしれないが、もともと何かを「一緒にやっている」二人には見えていない。

それはさておき、石原氏のような立場の人が「君が代が嫌い」「天皇を敬わない」と公言することは、言論の自由にとっては意義がある。
この流れで、政治家たちの一部にもっと正直な発言、例えば「私は靖国神社には参拝に行きたくない」と宣言する動きが出てきてもいいと思うのだが。

中国政府がハルビン駅に開設した朝鮮独立運動家・安重根の記念館に、5月、韓国政府が代表団の派遣を検討しているという。伊藤博文元首相を暗殺した安重根であり、日本政府は「不快感を示している」という。
この韓国・中国の連携は、歴史認識問題で対立する日本を牽制するものだろうが、「安重根は私たちの民族の英雄。韓国人として行くのは当然だ」という韓国政府関係者の談話は、どこかで聞いたことがあるような気がする。
それは言うまでもなく、「靖国参拝は当然だ」「内面の自由だからとやかく言われる筋合いはない」「死んでしまえば英霊で戦犯も何もない、敬って何が悪い」と言いつのってはばからない、日本の政治家たちの弁である。
靖国神社に真榊を奉納した安倍首相は、それで内外の批判をしのいだつもりだろうが、参拝を望んでいる本心はばれてしまっているのだから、もはや海外からは信用されていない。まったく参拝に行くべきではないが、本当の意味で「行かない」というのは、なぜ行ってはならないか、その理由を理解し、戦争を否定する人々や諸外国の人たちと認識を共有することでなければならない。安倍首相に下されているのは、たんに「誤魔化した」「正直ではない」という、さもしい人間性に対する評価でもある。

安倍首相とは違う考えの政治家たちもいるだろう。
慎太郎の正直さに続け、で、「靖国神社には行かない」という政治家たちの発言を、期待する。
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