映画 『逃走』。
本日公開。
なるべく早く感想をアップしたかったのだが、今日になってしまった。
東アジア反日武装戦線・桐島聡を描く本作を、元日本赤軍メンバーである足立正生監督が作った。因縁というか、因果は巡るというか。足立監督自身の自問自答という内容にもなっている。
どちらかというと観念的参加者である二十一歳の桐島青年(杉田雷麟)の潜伏スタートと、その最期から遡ってゆく視点(古館寛治)が交差する。
青年期の生と、死から自身を振り返る者。二人が擦れ違うシーンが、この映画の中心だろう。
もちろん抽象的な場面だが、他の部分も含めて、観念的すぎたりわかりにくかったりするところは、ない。
潜伏生活を重ね、末期がんと診断され、病院のベッドで生死の狭間をさまよう古館の桐島は、やはり高年齢の俳優が演じたことの良さはある。
ともあれ、話題になってほしい映画である。もちろん、遅れて来た世代である私よりもさらに若い世代にも、このような事実、このような人生があったことを、知ってほしいのだ。
〈東アジア反日武装戦線〉については、「東アジア反日武装戦線の五〇年を考える連続講座」で、講演したばかりであるが、部分的には現在発売中の〈テアトロ〉3月号にも記している。
同じ題材の、梶原亜貴脚本・高橋伴明監督『桐島です』の情報がもう少し露出してから、また、あらためて、感想を言おうと思う。
私は三十年前、やはり〈反日武装戦線〉を背景にした戯曲『火の起源』を青年座に書き下ろしている。