Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

難民差別こそ「国辱」

2015-10-03 | Weblog
第70回国連総会における安倍総理大臣の一般討論演説は、ほんとうにひどいものだったようだ。

「日本は,シリア・イラクの難民・国内避難民に向けた支援を一層厚くします。金額に換算すると,今年は約8.1億ドル。昨年実績の3倍となるでしょう」、それが「日本がなし得る緊急対策」「壊れてしまった国を建て直し,再び人々に幸福の追求を許す場とするには,人間一人,ひとりの力を育て,恐怖・欠乏と闘う能力を草の根から培うことが,回り道のように見えて,実は近道です」だそうだ。
「難民キャンプで,母子健康手帳を配ってきました」、うーん。
「みなさま私は,日本の未来を拓く役割の多くを女性に期待する点で,人後に落ちません。日本が実施する対外援助も,女性に安全と健康,安心を与え,その人権を守る策に力点を置いています」、だそうだ。

そして、言うに事欠いて、「国連とは実に,「楽観主義的現実主義者」の集う場ではありませんか」。
「国連創設70年の慶賀すべき年,安保理改革に関わる大きな動きが始まりました」「この熱意,さらには日本が果たすべき役割への確信をもって,私は,議長ならびに各国との協力のもと,安保理改革を実現し,日本が安保理常任理事国となり,ふさわしい貢献をする道を,追い求めてやみません」「「国際協調主義にもとづく積極的平和主義」を高く掲げ,日本は,国連を21世紀にふさわしいものとするため,安保理改革を行い,そこで,安保理常任理事国として,世界の平和と繁栄に一層の貢献をする責任を果たしていく覚悟であります」だそうだ。

そして、質疑応答で海外の記者に「日本がシリア難民を受け入れる可能性は?」と尋ねられた安倍首相は、次のように答えたという。
「人口(統計学の)問題として申し上げればですね、いわば我々は移民を受け入れるよりも前にやるべきことがある。それは女性の活躍であり、あるいは高齢者の活躍であり、そして出生率を上げていくには、まだまだ打つべき手があるということでもあります」
今や国際的な課題である難民受け入れについて尋ねられているのに、「女性と高齢者の活躍と出生率を上げるのが先」?
まったく会話になっていない。
「同時に、この難民の問題においては、日本は日本としての責任を果たしていきたいと考えております。それはまさに難民を生み出す土壌そのものを変えていくために、日本としては貢献をしていきたいと考えております」,要は、金を出すだけということだ。
今や世界の課題である、決して金で解決するものでもない、国際社会に於いて責任ある立ち場なら自分から買って出てでも引き受けるべき難民受け入れについて、実はまったく関心を払わず重要さもわかっておらず、自分の国の人間の人口問題、労働力は、自分のところでまかなう、と、見当違いなとんちんかんきわまりない子供じみた回答をしたのだ。
日本の昨年の難民認定者数は、5000人の申請に対してわずか11人だったことは既に広く知られている。
安保理常任理事国入りを求め、積極的平和主義を標榜する者が、難民の受け入れを拒むのである。「国際貢献」の意味がまったくわかっていなかったということであろう。
難民を労働力の問題と捉えている、独りよがり、自分の利益しか考えていないことがバレバレになったのだ。

これが「難民差別」であることは明白。
ロイター通信は会見の内容を「安倍首相、シリア難民受け入れより国内人口問題解決が先」とのタイトルで報じている。安倍周辺は、これが皮肉だってことをわかっていないんじゃないのかな。
イギリスのガーディアンは「人権団体は、ロシアやシンガポール、韓国と並び、日本は高所得の国なのに、第2次世界大戦以降で最悪の難民問題に手をさしのべることに失敗している」「日本は昨年、1億8160万ドルを国連の難民対策部門に支出し、アメリカに次いで2番目に多いが、シリアや他の難民受け入れは、その経済規模に見合っていない。日本で難民資格を申請している60人のシリア人のうち、認められたのは3人であり、約30人は人道上の理由で長期滞在が認められているだけだ」「日本の人口は今後、劇的に減少し、専門家は経済の衰退を予測しているが、移民受け入れを現実的な解決策として主張する政治家は少ない」と報じたという。
国連で安倍首相の演説を聴いている人数が少ないとか馬鹿にしても始まらない。
本当に恥さらしだ。

かと思うと、ネット上で、シリア難民のことを、金や贅沢目当ての「移民」と断じるイラスト書き込みをした者がいるようだ。しかもフェイスブック側がそいつを「ヘイト」認定しないで放置しているという。

安倍もそいつも、君たちのやっていることが「国辱」なのだと、なぜ気づかないのか。
コメント (1)
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