Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

昔も今もウソばかり

2015-10-13 | Weblog
国連教育科学文化機関(ユネスコ)が旧日本軍による「南京事件」に関する資料を世界記憶遺産に登録。
習近平国家主席は「侵略戦争以後に生まれた人であっても正しい歴史観を持ち、歴史の教訓を心に刻まなければならない」としており、八月の内閣総理大臣談話で「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の8割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と言った安倍総理と、徹底的に対立している。
いつの時代に生まれようが「正しい歴史観を持ち、歴史の教訓を心に刻まなければならない」ことは当然であり、もはや安倍総理の「位負け」である。それが自分の国のことであっても、そこに否定できない罪があるなら「日本軍国主義の罪」を認識することは正しいことであるに決まっている。

ところが川村泰久外務報道官は「中立・公平であるべき国際機関として問題であり、極めて遺憾」「一方的な主張に基づき申請されたもの」「南京事件は日中間で見解の相違があることが明らかだ。中国の一方的な主張に基づき申請され、完全性や真正性に問題がある」、記憶遺産制度についても「文書遺産の保護やアクセスの確保を目的とするユネスコの事業であり、政治利用されることがないよう制度改革を求めていく」と発言。
外務省幹部は「中国が日本をおとしめるため、国際機関のお墨付きを得ようとしたのは明白だ。制度にも欠陥がある」「国際機関の政治利用」としている。外務省はこれまで、中国に登録申請を撤回するよう申し入れていたほか、ユネスコにも制度改善を求めていたという。

世界記憶遺産の審査は、文書保存などの専門家14人でつくる国際諮問委員会が行っているが、委員の選考基準は明確でなく、歴史学者も含まれていないという。
中国側は南京事件犠牲者数を「30万人以上」としているが、日本政府の言い分は、「数値を正確にしよう」ということではない。登録前から自民党原田義昭国際情報検討委員会委員長は「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、申請しようとするのは承服できない」と発言していたらしい。
多くの第一次証言が確認されている現実を見ても、存在自体を否定できるはずはない。

産経新聞によれば、日本政府筋は「断固たる措置を取る」と述べ、ユネスコの分担金拠出などの一時凍結を検討する構えを見せているという。
平成26(2014)年度のユネスコ予算の日本の分担率は米国の22%に次ぐ10・83%で、金額は約37億1800万円。米国が支払いを停止しているため、事実上のトップ。さらに分担金以外でも、さまざまな事業に対する任意拠出金があり、同年度のユネスコ関係予算は計約54億3270万円に上る。
外務省首脳は「日本の分担金はトップクラス。(ユネスコ側が)日本からの申し入れに真剣に耳を傾けることに期待したい」として、中国の申請案件の登録が認められた場合は拠出金の凍結もあり得るとのシグナルを送り、慎重な審査を求めていたという。

じっさい自民党の二階総務会長は11日、徳島市で講演し、「ユネスコが『(南京事件で)日本は悪い』というなら、ユネスコの資金はもう日本は協力しないと言えないとしょうがない」と述べた。菅官房長官も本日「記憶遺産については、どういう形で決まるかということが極めて不透明なんですよね、今のやり方」と言ったうえで、ユネスコに対する拠出金を停止することや、減額することを含めて見直す考えを示した。

これは、制度改善を求めるというより、カネにものを言わせた脅迫である。
本当に恥じるべきである。

「南京事件」はなかった、などという虚偽を言いつのることができるのは、この政府が「嘘をつく」ことに無感覚になっているからだろう。

東京新聞によれば、安全保障関連法を採決した九月十七日の参院特別委員会の議事録が、十一日に参院ホームページで公開された。採決は委員長の宣告後に行われるのが規則だが、採決を宣告したと主張する委員長発言を「聴取不能」と認めておきながら、安保法を「可決すべきものと決定した」と付け加えたという。
参院事務局は、追加部分は「委員長が認定した」と説明しているが、野党側は事前の打診に同意していないという。
例の、委員長不信任動議が否決されて鴻池委員長が着席。自民党議員らの「人間かまくら」が周囲を取り囲み、混乱の中、議事録でも質疑や採決の宣告は全く聞こえなかったとされているときのものである。
議事録は「聴取不能」までは未定稿と同じ内容。しかし「委員長復席の後の議事経過は、次のとおりである」との説明を追加。審議再開を意味する「速記を開始」して安保法制を議題とし、「質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した。なお、(安保法制について)付帯決議を行った」と明記した。
これは明らかな「改ざん」である。
議事録には、安保法の委員会可決だけでなく、「付帯決議」を行ったことも書き加えられたが、これも野党側は全く聞き取れなかったという。
もう、まったくの、無法地帯である。
委員会可決について「法的に存在したとは評価できない」との声明を出した弁護士有志メンバーの山中真人氏は、議事録の追加部分について「議員や速記者が委員長の声が聞こえていない以上、採決は存在しない」としているというが、その言を待つまでもなく、テレビやネットの映像で見れば明らかにそんなことが出来たとは思われない混乱の中、「付帯決議」まで書き加えたとは、無茶である。

こんな嘘をつく人たちが言うことを、諸外国の人たち、ユネスコの委員が、どうして信じることができるだろう。

昔も今もウソばかり、ということだ。

今月は安倍内閣の14年4月の武器禁輸方針撤廃を受け、「防衛装備庁」なる庁が発足した。
「武器輸出で紛争を助長することになる」との批判に対し、当時の小野寺五典防衛相は「まるで『武器』という話だが、現実的には『防衛装備』だ」などと言っており、化学防護服などを輸出するかのような言い方をしていたが、結局、武器をがんがん輸出するのだという。
ここもほんとうに、大嘘つきである。

で、その「防衛装備庁」のロゴマークが発表された。同庁は「中心の円は、各自衛隊を想起させる色を用い、装備品の取得に係る防衛省内の組織が一致協力して和(輪)をなし、業務に取り組んでいく様子を表しています。また、地球をイメージし、国際平和に貢献していくという意味も含まれています。円を取り巻く3つの線は、陸海空自衛隊の代表的な装備品である車両、護衛艦、航空機を表しています」と説明している。
ほんとうに車両、護衛艦、航空機のシンボリックなイラストがあしらわれている。
ロゴマークは嘘をつき終わった後の確信犯であり、どうやらこういうことにはもう嘘をつく必要がないのである。

「明らかなウソ」と指摘できる間に止めてしまわないといけない。
その、「虚偽」に塗り固められた世界の中では、「ホントのことなのに何が悪い」と、言われてしまうのである。
急がなければ時間がない。
コメント (1)
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