Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

『いとこ同志』初演から、十年

2015-10-28 | Weblog
昨日、新作『お召し列車』の稽古場で、渡辺美佐子さんに「別な芝居ではここでピーッと汽笛の音が鳴るんだよね」とか言っていたのだが、その「別な芝居」というのは『いとこ同志』のことである。どうしても同じ鉄道の芝居なので、鉄道部分ではいろいろと相似点が出てくるかも知れない。いや、そうでもないか。
というか、『いとこ同志』初演から十年経っていることに、驚かされる。

『いとこ同志』は、開館したばかりだった〈まつもと市民芸術館・実験劇場〉の、ほぼこけら落としに近い時期の上演だったのではないか。
渡辺美佐子さんと串田和美さん、宮本裕子さんと佐藤アツヒロさん、と、二組の「いとこ同志」が出てくる。というか、四人しか出ない芝居である。
たまたま読み返してみて、こんなにロマンチックな劇だったのかと、あらためて唸った。
堀尾幸男さんの列車と周景のセット、小笠原純さんの照明、市来邦比古さんの音作りも、そこのところのツボをしっかり押さえていた。 
夢幻能的でもあるしSF的なところもあるし、狂気とユーモアが紙一重のところもあるが、まあ、男女関係の劇だ。
というか、四人の出演者が、ものすごく色っぽかった。
まあ、そういう世界なのである。
後半期の稽古も、初日も、松本だった。松本暮らしの日々が懐かしい。
シビウで久しぶりに串田さんの劇を観たが、俳優としての成熟がほんとうにすばらしいと思った。同時に、がっちり美佐子さんと向き合う串田さんを、もう一度観たいという気もする。

ファンタジーの要素の濃い劇だからこそ、リアルでなければならない何かがある。それを今の私は、強く思う。

『いとこ同志』は、東京、水戸、東北、関西、九州等、十箇所以上をツアーして、沖縄では〈キジムナーフェスティバル〉にも参加している。
2年後の再演では串田さんが佐野史郎さんに交代して、また違う印象の劇になった。

『いとこ同志』戯曲集は、れんが書房新社から出ている。
表紙イラストの沢野ひとしさんが乗ってくれたのだろうと思う、本来の表紙はモノクロで渋いのだが、カラーになっている幅広の帯のほうの絵に、台詞とコピーまで書き込まれている。
四人しか出ないから手頃ということなのだろうか、やはり艶っぽいことをやってみたいと若い人も思ってくれるのだろうか、その後、けっこういろんな劇団、学生演劇でも上演されている。
http://www.amazon.co.jp/いとこ同志-坂手-洋二/dp/4846203263/ref=la_B004L9V9AQ_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1445978309&sr=1-2


それはさておき今は『お召し列車』。

以下、『お召し列車』上演情報です。

…………………………


燐光群最新作


『お召し列車』


もうこれ以上ひどいことがないっていうくらいのひどい目に遭ったら、勇気が出る。私はそうなの。

明治5年から現在まで、幾度となく特別運行されてきた「お召し列車」の歴史。
新たな東京オリンピックで海外からの来場者への「おもてなし」として再現された「お召し列車」。
その車輌の中で繰り広げられる、「果たせなかった思い出」をたどる旅。
渡辺美佐子+坂手洋二・燐光群による「鉄道劇」、最新作。


作・演出○坂手洋二

渡辺美佐子
円城寺あや 岡本舞 中山マリ 大島葉子 大月ひろ美
鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 さとうこうじ
杉山英之 武山尚史 東谷英人 樋尾麻衣子 松岡洋子 
宗像祥子 秋定史枝 川崎理沙 宇原智茂 根兵さやか 

照明○竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響○島猛(ステージオフィス)
舞台監督○大川裕
美術○じょん万次郎
音楽○太田惠資
演出助手○城田美樹
擬闘○佐藤正行
衣裳○小林巨和 ぴんくぱんだー・卯月
舞台協力○森下紀彦 
文芸助手○清水弥生 久保志乃ぶ 長谷川千紗
宣伝意匠○高崎勝也
協力○岩淵ぐるうぷ 浅井企画 無名塾 T-ARTIST青年劇場
DULL-COLORED POP
制作○近藤順子 鈴木菜子 
Company Staff○古元道広 田中結佳 桐畑理佳 鈴木陽介
福田陽子 西川大輔 宮島千栄 橋本浩明 内海常葉 秋葉ヨリエ
齋藤宏晃


【東京】11月27日(金)~12月6日(日) 座・高円寺1

11/27(金)19:00~
11/28(土)14:00~
11/29(日)14:00~
11/30(月)19:00~
12/1(火)19:00~
12/2(水)14:00~
12/3(木)19:00~
12/4(金)19:00~
12/5(土)14:00~/19:00~
12/6(日)14:00~

受付開始◯開演の40分前 開場◯開演の30分前

前売開始○10月18日(日)【全席指定】
◇一般 4,000円(なみちけ使用可)
◆劇団特別割引(劇団予約・燐光群オンラインチケット扱いのみ)
 一般 3,600円 ペア 6,600円 
 U-25(25歳以下)/大学・専門学校生 2,500円 高校生以下 1,500円
 ※学生・U-25は、前日までにご予約の上、当日受付にて要証明書提示。

◆燐光群オンラインチケット(学生券を除く) 
http://rinkogun.com 
24時間いつでもホームページ上でご予約頂き、セブンイレブンでチケットをお受け取り頂けます。
お支払いは現金(セブンイレブン)、またはクレジットカードとなります(手数料はお客様負担)。
※会員登録(無料)が必要です。

◆ご予約・お問合せ○燐光群/(有)グッドフェローズ
03-3426-6294 
ticket-rinkogun@ee.alles.or.jp
①<お名前/電話番号/希望日時/チケットの種類と枚数>をお伝え下さい。
こちらからのお返事を以てご予約とさせて頂きます。
②当日、開演の10分前までに受付にお越し下さい。代金と引換でチケットをお渡しします。
この時間を過ぎますと、あらかじめご用意しておりましたお席にご案内できない場合がございます。
※キャンセル・日時変更はできません。

◎以下のサービスは劇場で承ります 
お申込・お問い合せは座・高円寺チケットボックス TEL 03-3223-7300まで
*車椅子スペースをご利用の方は、前日までにお申し込みください(定員あり) 
*障がい者手帳をお持ちの方は、座・高円寺チケットボックスでのご予約に限り1割引きになります。
*託児サービス(11月28日・12月2日・5日 各14時公演/定員あり・対象年齢 1歳~未就学児・1週間
前までに要予約)料金:1,000円


主催○有限会社グッドフェローズ
後援○杉並区
提携○NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺 

座・高円寺 秋の劇場21 日本劇作家協会プログラム
文化芸術振興費補助金(トップレベルの舞台芸術創造事業)
フェスティバル/トーキョー15 連携プログラム


【燐光群最新作 『お召し列車』 ゲストと坂手洋二によるアフタートーク決定!】

11月30日(月) 19:00の部 小沼純一(早稲田大学教授、音楽・文芸批評家)

12月1日(火) 19:00の部 丹羽弘子 (足立区立足立小学校教諭)

12月2日(水) 14:00の部 深作健太(映画監督、脚本家、演出家)

12月5日(土) 19:00の部 ドリアン助川(作家)


12月には国内ツアーがあります ↓

【伊丹】12/11(金)~13(日)@AI・HALL(伊丹市立演劇ホール)
【岡山】12/17(木)@岡山市立市民文化ホール
【名古屋】12/19(土)・20(日)@愛知県芸術劇場


写真は、『パーマネント・ウェイ』より、渡辺美佐子

http://rinkogun.com/the_imperial_train.html


……………………………


座・高円寺フリーマガジンに以下のような記事を書いていました。

「『カウラの班長会議』で、オーストラリア・カウラの捕虜収容所で脱走事件のさい居合わせた、当時ハンセン病患者であった立花誠一郎さんと出会った。私の故郷に住む立花さんとの親交が始まった。昨年カウラ当地で上演したとき、彼がその時ここにいたという事実に、あらためて大きく揺さぶられた。
そして私は、国鉄により幾度となく実施された、ハンセン病患者を強制輸送するため設けられた特別列車=通称「お召し列車」運行の歴史を知った。
……私には列車の中を舞台に劇を作った経験がある。渡辺美佐子さん・串田和美さん共演の『いとこ同志』だ。今回は美佐子さんと、昭和と戦後について、決して忘れてはならない楔を打ち込むつもりで挑みたい。」    坂手洋二(座・高円寺フリーマガジン14号より
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする