サ カ タ の ブ ロ グ 

やぁ、みんな。サカタだよ。

サカタはみた

2018年06月13日 | サカタだよ
ある日のことです。どうも会社に行く気がしなくて都内をほっつき歩いてました。もっとも、会社に行く気が
しないのは、その日にかぎった話ではなく、だいたい毎日のように会社に行く気がしないのですけれども、
とにかくその日も、行きたくないものは行きたくなかったのです。さて、コンビニで週刊マンガ誌の連載でも
読もうかと自動ドアを通ると、レジで男の子ふたり指を絡ませ合ってるのが見えて、あれ? イチャイチャ
してるのかな? と思ったらパッと離れました。別にいいのに、初々しいのう。



ラーメン屋さんだったところも、薬局だったところも、タバコ屋さんだったところも、学習塾だったところも、
レンタルビデオ屋さんだったところも、古書店だったところも、みんなコンビニになってしまいましたよね。
よねっていわれても、わかりませんよね。



まだコンビニになってない、さびれた喫茶店に入って資料を読み始めました。会社に行く気がしなくても、
仕事はする気になるんです。メールがくれば返事します。用事があればスマホで通話もします。会社って
いったい何だろうって、新宿三丁目のあの狭いディスコティックで始発電車が動くまで語り合ったあの頃
みたいに考えていると、すごく太った人が『一生太らない体をつくる健康法』といった類の本を甘いもの
食べながら読んでました。そりゃ無理だわ。



80年代の前半までが歌謡曲の黄金期だったイメージが強くて、名曲ばかりだったように思うんですけど、
こうして昔の曲ばかり流している店で懐かしく耳を傾けてみると、けっこう屑みたいな曲もいっぱい出てた
ことに驚きを禁じえませんよね。よねっていっても、わかりませんよね。宝塚ファンのおばさんがスマホで
どこかの誰かと通話して、なんとかっていうスターの千社札を個人的に300枚発注してたけど、300枚も
千社札どうするんだろう? 貼るのか。どこに?



そろそろ行かなくちゃと思って時空の狭間にある店を出て、まぶしい往来をとぼとぼ歩き、スイカで駅の
改札を心神喪失状態で通過して、でたらめな電車に乗りました。行き先なんか考えません。ただ運ばれて
まいります。時おりスイカを使って乗り換えます。バッグを抱えてシートに座り、少し眠ったかもしれません。
いま何時でしょう。そして何月、何日、何曜日でしょうか……乗客がたくさん乗り降りするので目を開けると、
新宿のようでした。また目を閉じて、また乗客がたくさん乗り降りするので目を開いたら、どうやら渋谷です。
もともと新宿も渋谷も、蚕のために作られた駅だったのに、いつのまにか蚕は消えて人ばかり我が物顔で
電車を乗り降りします。ますます会社に行きたくなくなります。



これさえあればどこへでも好きなところへ行ける魔法のカード、通称スイカを自在に振り回して知らない駅
で降りて歩くと、角打ちで飲んでるおじさんがいます。まるで吉田類です。そういえば角打ちは九州の方言
だって吉田類が、いつか酔っぱらってしゃべってるのケーブルテレビで目撃しました。向こうは覚えてない
かもしれませんが、こっちは素面だったので覚えてます。メイクは虫よけとして始まったのに、本来の用途
をはずれて虫みたいな顔になってる女の人が、「ぶぉわっはっ頭おかしい!」って笑っているのは果たして
何がおかしいのか、頭おかしそうに見えます。だんだん会社に行きたくなってきました。



小男の歩きタバコ (見たまんま)に少々イラつき、少女時代の平均年齢がそろそろ30歳に迫っていると
すれ違う高校生の会話を聞きかじって、30歳の少女って何だろうと首をかしげ、そういえば従軍慰安婦の
当時の平均年齢は25歳だったそうだから、30歳もいれば20歳もいたろうけど少女を選んで従軍させた
わけじゃないので、あの少女像はモチーフが変だと思ったところへハイヒールの女性が通りかかりました。
ハイヒールは女性が脚をきれいに見せるためじゃなくて、男性が身長を高く見せるために発明されたのに、
いつのまにか男性ではなく女性がハイヒールを独占してしまって、また会社に行きたくなくなってきます。
もちろんハイヒールが履きたいとか、そういうことではありません。



喉渇いたのでカフェに入ってビールを飲んだら、隣のテーブルでスーツ着てシャツのボタンを上から3つ
開けた男が地味な女を2人はべらせて説教めいた話をしてる。「これからは従業員ではなく経営者感覚で
仕事を取ってきただけ契約料を払うから」とか何とか、要するに社員としての待遇を保証しない使い捨て
の下請け要員に格下げという宣告じゃなかろうか……酔いが回ってきた。ブラックな話はたくさんだから、
河岸を変えて飲みなおさなければ。当然ながら会社には辿りつけなくなりました。

めでたくない
めでたくない
コメント
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