A PIECE OF FUTURE

美術・展覧会紹介、雑感などなど。未来のカケラを忘れないために書き記します。

未読日記1192 『人生処方詩集』

2016-06-25 21:50:43 | 書物
タイトル:人生処方詩集 (岩波文庫)
タイトル別名:Doktor Erich Kästners lyrische hausapotheke
シリーズ名:岩波文庫, 赤(32)-471-1
著者;エーリヒ・ケストナー
訳者:小松太郎
カバーカット:エーリヒ・オーザー
発行:東京 : 岩波書店
発行日:2014.11
形態:293p ; 15cm
注記:底本: 角川文庫版『人生処方詩集』 (角川書店, 1966)
   挿画: エーリヒ・オーザー
内容:
『ふたりのロッテ』や『飛ぶ教室』などでおなじみの作家ケストナー(1899‐1974)による大人のための詩集。現代人のゆううつをユーモアをまじえた新鮮な感覚とウイットで表現。即物的でありながら抒情的、悲しさと笑いが渾然一体となった〈読むクスリ〉。はからずも人生の苦さを知ってしまったすべての人たちに!

目次

序文
使用法(索引つき)

列車の譬喩
ホテルでの男声合唱
臆せず悲しめ
堅信を受けたある少年の写真に添えて
顔のうしろはだれも覗かない(勇気のある者のためのテキスト)
顔のうしろはだれも覗かない(小心者のためのテキスト)
努力家
墓場の老女
感情の反復
偶然による残高
これが運命だ
たまたまもの干し場に出あって
顔を交換する夢
倫理
休仕のクリスマス前夜
人類の発達
他郷にでもいるような
夜会服の怪物へ
自殺戒
スポーツ
彼は彼女を愛しているのか彼にはわからない
洗濯婦の手について
森は黙っている
ある心臓病患者の日記
ヴァイオリン弾きの悩み
ハムレットの亡霊
センチメンタルな旅行
めっぽう育ちのいい淑女たち
安楽椅子の引っ越し
警告
従兄の隅窓(E.T.A. Hoffmannに捧ぐ)
見つかった十ペニヒ玉
現代美術展覧会
養老院
即物的な物語詩
リュクサンブール公園
だれでも知っているかなしみ
いわゆる知恵のない女たち
マッチ売りの少年
待ちかねた春が来た
合成人間
あるシャンソン歌手の予告
いささか早熟の子供
辛抱が大事
失意のあとの散歩
海水浴場で自殺
慈善
配役のある独白
ある女性の弁護演説
黄金の青春時代
雪の中のマイヤー九世
盲人の独白
人生がくりかえされたら
グロースヘニヒ夫人から息子へのたより
汽車旅行
少年時代へのささやかな案内
善良な娘が夢を見る
高山の仮装舞踏会
孤独
アルバム詩
永遠の愛の実例
温泉だより
青年が夜あけの五時に
謙譲への勧誘
春は前借りで
ジメジメした十一月
ある男が真相を告げる
怠惰の魅力
簿記係が母親へ
けちん坊が雨の中を
不振の物語詩
海抜千二百メートルの紳士たち
ある種の夫婦
裏通りで
略歴
日曜日の朝の小さな町
典型的な秋の夜
蕩児帰る
絶望第一号
上流の娘たちの会話
一本の木がよろしく
子守唄(父親のうたえる)
カレンダーの格言
卑しさの発生
睡眠をたたえる
郊外の路
大げさな言葉のない悲歌
母親が決算する
鏡の中の心臓
けんのんなカフェー
部屋借りの憂うつ
計画的な同時代人
大晦日の格言
天才
自動車で田舎を
轢かれるときの感想
極上の天気
ケルナー支配人はうわのそら
ひとり者の旅
さっぱりだめになった笑い
夜の路上カフェー
自殺者たちがえぞぎくの花束をにぎって
都会人のための夜の処方
ある妻の寝言
レッシング
不信任投票
秋は全線に
厭世家とは簡単にいうと
郊外の別れ
気圧の葛藤
発育不全型
同級会
静かな訪問
雨の日の朗吟
小さな日曜日の説教
シュナーベルのフォークの寓話
現代の童話
おじいさまとおばあさまのとこへお客さま
一立方キロで足りる

訳者あとがき
小松太郎訳『人生処方詩集』(富士川英郎)

購入日:2016年6月24日
購入店:ジュンク堂書店 京都店
購入理由:
 この1ヶ月、兄と友人の結婚式に出席した。人様の幸せな姿を見て、素朴に「幸福」ってなんだろう、どうして自分には幸福に縁がないのだろうと考える。ここ最近はアラン、ラッセルの『幸福論』を読んできたが、続いて日本人の『幸福論』も読んでみようと寺山修司の『幸福論』を読み始めた。そのなかで本書のことが取り上げられており、興味が湧いた。本書の特徴は、詩を処方薬にたとえ、年齢が悲しくなったら、貧乏に出あったら、孤独に耐えられなくなったら、といった使用法が付されていることである。たしかに、頭痛には頭痛薬、腹痛には胃腸薬があるが、心の変調、痛さ、苦さに効く薬はあるのだろうか。本書が「クスリ」になるかわからないが、まずは服用してみよう。
 ところで、寺山は同名のアンソロジーを作っている。こちらの方はオリジナルを上回る捻りが効いていて、とてもおもしろい。こういうアンソロジーを他の人でも読んでみたい。あるいは、他のジャンルでもできるのではないだろうか。