ロイス ジャズ タンノイ

タンノイによるホイジンガ的ジャズの考察でございます。

SA氏の新装置1

2009年06月07日 | 訪問記
昔、SA氏に言った。
誰も造ったことの無いような凄いアンプを、いつか、造ってみませんか。
それがどんなアンプか当方は知らない。
SA氏のアイデアを傾けた、それの実現が楽しみである。
ところで、故障したアンプの修理に先日迫区にあるSA城を訪問し、そこに新しく置かれた装置を初めて聴いた。
全容を眺めた最初、思わず両の耳に綿を詰める用心も、念のため考えたが、センスと情熱の結晶は聴くものに深く感銘を与える。用心は全くの杞憂で、ブルー・ノートのサウンドは易々とあっけなく、あるときは優しささえ漂わせて眼前に展開され、おもわず、鳴らしているのはどのアンプですか、と尋ねた。幾つも並んでいるどのアンプの音なのか、知りたいものである。
SA氏は、小型のアンプでも、これほどの威力を聴かせる高能率のスピーカーであると、知らせたかったのか、出来上がった写真を見て、その時の音を思い出した。
当方の故障アンプは、まもなく整備されて届けられたが、SA氏が、牛のようにのんびりした言葉で「ウー、出来上がりましたが、うまくいったと思います」と、電話のむこうで話した様子から、当方はなんとなく良い結果を思った。
間もなく登場したSA氏と出来ばえをタンノイで聴いて、永い間、故障のまま待機していた845アンプが、以前とさま変わりしたことを知った。
SA氏が立ち去った後、しばらく眼前の音について考えたのだが、念のため管球のサイズをモノサシで計ってみると、845管の前段に挿っていたのはやっぱり4本の300Bそのものであった。すると直熱管のほうが良いのではないかナ、と漠然とつぶやいていたことは、このことであったのか。
これまで、845管が良いとか、いや300Bが、と悩ませていた、捨てがたい微妙な音の個性は、紫の上と夕顔を二人並べた相乗効果が聴こえているのか、源氏物語の世界をしばらく楽しもう。
どのような再生音が良いと追求して、何年か経った後に『あれは良かった』と忘れられない音が、やはり宜い。
さらに未知の音像世界を考えるとき、高度に完成された眼前に展開する凄まじい演奏音像はそれとして、その林立する演奏音像の隙間に、ふとあたかも向こうの景色が見えるようなことがあるとしたら、そして、演奏者の背後にまわって動きが見えるような錯覚が聴こえたら、それも慶賀なことである。
オーディオの七大難問は、まだ人知れず探されている。
言葉だけでは漠然としているが、今回の改造で、名人の技倆の未来にそういうことも考える。






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