ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

「五十肩」と「東京カルテットのシューマン」

2008-02-20 | CDの試聴記
突然やってきました。
「五十肩」という名の疫病神が・・・。
先週くらいから、右の首から右肩にかけて嫌な張りがあるなぁと思っていたのですが、とうとう一昨日、首や肩だけではなく右腕全体まで痛みが広がってきました。
夜も早く床についたのですが、どんな姿勢をとっても我慢できないくらいの痛みが襲ってきます。
ほとんど眠れないまま、朝を迎ることになりました。
さすがにこれでは仕事どころではありません。昨日は一日休暇をとることにして、近くのクリニックに駆け込みました。
痛み出した状況とレントゲン写真の結果から、ドクターの診立ては肩関節周囲炎。
いわゆる五十肩です。その中でも「石灰沈着性腱炎」という症状で、レントゲン写真で白く映っている箇所が溜まった石灰(リン酸カルシウム結晶)で、痛むんだそうです。
「これは痛かったでしょうね。かなり前から徐々に炎症が起こっていたと思います。思い当たる節はありませんか」とはドクターの言。
そういえば半年以上前から首がずっと重かったかなぁ。その頃から、じわりじわりと疫病神がお近づきあそばしたのでしょうか・・・。
クリニックでは、痛み止めの座薬を入れてもらって、肩に直接ステロイドを注射、そして飲み薬と膏薬を処方してもらいました。
とくに注射が効いたんでしょうね。昨日一日でかなり回復し、今日は何とか会社に行くことができました。
しかし、まだまだ痛みは残っているし、心配の種は尽きません。
皆様もどうか気をつけて下さいね。ほんとに突然やってきますから。

右肩・右腕が痛みと懸命に戦っている中で、改めて頼もしく感じたのが左腕&左手の存在。普段右腕の補助みたいなことしかさせていませんが、この日ばかりは、寝た姿勢から起き上がるときも、ドアや襖の開け閉め、コップにお茶を入れて飲むのも、精一杯左手がやってくれました。
しかし、やはり右手のようにうまく行きません。
歯磨きの下手さと言ったら、もう赤ん坊レベル。(笑)
でも、その左手の不器用さが、かえって愛しく思ったのも事実です。

さて、そんな痛みと戦っている最中に、ふと思い立って先日通信販売で買ったばかりのディスクを聴きました。
東京カルテットの1973年の東京ライヴです。
モーツァルトもいいけど、もう私を金縛り状態にしてくれたのがシューマンの3番。
冒頭の「ラーレ」は、ロベルト・シューマンの愛妻クララのことだといわれています。そうです、「(ク)ラーレ」と呼びかけているんだと。
そして、東京カルテット演じるこの「ラーレ」が、ため息が出るほど魅力的なのです。
どうしたらこんな表情が出せるんだろう。
こんな音は、いまだかつて聴いたことがありません。
そのあと、シューマンは、この楽章の中で「ラーレ」「ラーレ」と連呼するわけですが、もう何とも微笑ましい限り。
また、第3楽章のアダージョ・モルトがこれまた魅力的。
中間部で「タター、タター、タター」とオスティナートが入ってくるのですが、その入りの表情・音量・リズム感とも、もう絶妙。
このカルテットのセンスの高さを感じさせずにはいられません。
こんなに瑞々しいのに胸にもたれるようなことは決してない。清潔な様式感の中で歌わせてくれるので、聴き手は何度でも繰り返し聴きたいと思うのでしょうね。
是非、この若き東京カルテットの「ラーレ」を聴いてみてください。

そういえばこのシューマンの3番、一昨年聴いたロータスカルテットの実演CDも、とても素敵な演奏だったなぁ。
意外に日本人に合った作品なのかもしれません。

<曲目>
■モーツァルト:弦楽四重奏曲 第19番 ハ長調 KV465《不協和音》
■シューマン:弦楽四重奏曲 第3番 イ長調 op.41-3
<演奏>
■東京クヮルテット
原田 幸一郎(第1ヴァイオリン)、名倉 淑子(第2ヴァイオリン)
磯村 和英(ヴィオラ)、原田 禎夫(チェロ)
<録音>1973年5月7日 東京文化会館におけるライヴ


コメント (14)
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