ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

ホーネック 読売日響のマーラー:「復活」

2008-02-13 | コンサートの感想
2月24日の読響マチネが用事で行けないので、この名曲コンサートに振り替えてもらいました。
昨年のドレスデンシュターツ・カペレの「復活」が聴けなかったので、これも何かの縁だったかも知れません。

<日時>2008年2月12日(火) 午後7時開演
<会場>東京芸術劇場
<曲目>
マーラー/交響曲第2番〈復活〉
<演奏>
■ソプラノ:薗田真木子
■アルト:マルティナ・グマインダー
■指 揮:マンフレッド・ホーネック
■管弦楽:読売日本交響楽団
■合 唱:国立音楽大学合唱団

開演前のステージを見渡すと、さすがマーラー。
ステージが本当に狭く感じるくらい、たくさんの椅子と譜面台が並べられています。オケのメンバー・合唱団が入ってくると、もっと凄い・・・。
まさに「壮観」のひとことです。
この日はステージ側にヴィオラ、2ndヴァイオリンの隣にチェロという配置。
音の響きという点では、「復活」の場合、逆のほうがしっくり行くような気もしますがいかがでしょうか?

そんなことを考えているうちに、この日のマエストロであるマンフレッド・ホーネックが登場。
コンマスである藤原さん・鈴木さんと握手を交わした後、凄まじい気迫と共に「復活」が始まりました。
以前も書きましたが、ホーネックの棒さばきは、故カルロス・クライバーを彷彿させるところがあります。身のこなし、曲線を多く用いた図形の描き方等、本人もしっかり意識しているのかもしれませんね。

ただ、この日の読響は、いつものアンサンブルの精緻さが感じられません。
ピッチもいささか不安定。気合がから回りしているのかなぁ。
いかにもホーネックの音楽にぴったりだと思われた第2楽章も、好演の域を出ません。
「原光」では、初めて聴くマルティナ・グマインダーの声を楽しみにしていたのですが、真摯な歌い方に好感を持ったものの、突き抜けてくる何かが不足しているような・・・。
という具合に、第4楽章までは、ややブルーな気持ちになりかけていました。
このまま終わったらどうしよう。
しかし、フィナーレは良かった。実に良かったのです。

まず、ホーネックの曲の組み立て・設計が良かった。
ひとことで言うとメリハリのついた演奏で、とくに弱音の扱いが鮮烈。
コーラスもソリストも口をほとんど開けないで、緊張感のあるピアニシモを作り出していました。
このため、聴きようによってはハミングのようにも聞こえるし、遠くで「巡礼の合唱」をきいているようにも感じました。
弱音がデリカシーにとんだ美しさを持っていたからこそ、何度か登場するクライマックスそしてエンディングが、まさに圧倒的な印象を与えてくれたのでしょう。
また、薗田真木子さんのソプラノは良かったですねぇ。声の威力に頼るのではなく、隅々までコントロールされた歌唱に私は惹きつけられました。

ところで、この日は色々なアクシデントが起こっていました。
4楽章の途中で、私の近くの聴衆が、体調不良か自然の摂理か分かりませんが途中退席してしまいましたし、フィナーレでは、第1ヴァイオリンの弦が大きな音ともにブチッと切れたりしたようです。
でも、そんな中、バンダはばっちり決まっていたし、オルガンも壮麗な響きでホールを包んでくれました。
「終わりよければ・・・」じゃないですが、感動的なラストが聴けてよかった!
心からそう思いました。
コメント
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