ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

マエストロ!~カラス・コンサート

2007-06-24 | BS、CS、DVDの視聴記
今日は、(満を持して?)バレンボイムのマーラーの9番をとりあげるつもりだったのですが、ハードディスクに溢れそうになっているDVDレコーダーの整理(汗)をしていて、その中の1プログラムに見事にはまってしまいました。
それは、クラシカ・ジャパンでオンエアしていたマリア・カラスのコンサートです。
コンテンツとしては、1958年のパリのコンサートから1965年のフランス放送局のスタジオコンサートまで、カラスが歌った5つのコンサートの中から10曲あまりをセレクトして収録されています。

一気に最後まで聴いて(観て)しまいました。
素晴らしかった。ただただ、素晴らしかった。
マリア・カラスという不世出の名歌手の本当の凄さを、恥ずかしながら初めて思い知らされた感じです。
私は、今まで長い間、カラスのことを誤解していました。
CDで聴くカラスの声は、輝かしくそして表現力に富んでおり、いつも圧倒されてきました。
しかし、どうしても金属的な響きが気になって、楽しめなかったのです。

しかし、今日実際に歌うカラスの映像をみていて気付きました。
彼女は、はなから美しく音楽を表現しようなんて考えてないんです。
カラスが表現したかったのは、譜面から感じ取った「作曲家の心」、もっというと「作曲家が登場人物に託した熱い思い」だけなんですね。
そう考えると、必要なのは、「単に美しい声」ではなく、「意思の感じられる強く鋭い声」「緊張感と凄みを持った弱音」「聴くものを惹きつけて離さない優しい声」ということになります。
今回の映像をみると、カラスが表現したかったことが、本当にストレートに伝わってきました。

大半を占めるコンサートのライブ映像は当然のこととして、1965年収録のフランス国立放送スタジオ・コンサートの3曲に、私はことのほか大きな感銘を受けました。
マスネやベッリーニをこれだけの存在感をもって聴かせてくれる歌手は、今でもほとんどいないでしょう。
そして、1958年のリスボンライブでは、カラスの女優顔負けの演技力・表現力に圧倒されますし、若き日のクラウスの「いかにもアルフレード」といった純な歌唱も聴くことができます。

とにかく素晴らしい!
この映像は、間違いなく私を「マリア・カラス元年」に導いてくれました。
でも、マリア・カラスを語るときは、やはりプリマドンナというよりもディーヴァと呼びたいなぁ。

***収録曲***
《「レジョン・ドヌール勲章」特別慈善コンサート1958》
■ベッリーニ:歌劇『ノルマ』~清らかな女神
■ロッシーニ:歌劇『セビリアの理髪師』~今の歌声は
■ヴェルディ:歌劇『トロヴァトーレ』~恋はばら色の翼にのって…ミゼレーレ
■プッチーニ:歌劇『トスカ』第2幕より「歌に生き恋に生き」

《ハンブルク・コンサート1959》
■ベッリーニ:歌劇『海賊』~ああ無心の微笑みで…ああ目の前にかかる雲を

《ハンブルク・コンサート1962》
■ビゼー:歌劇『カルメン』~ハバネラ

《フランス国立放送スタジオ・コンサート1965》
■プッチーニ:歌劇『ジャンニ・スキッキ』~わたしのお父さん
■マスネ:歌劇『マノン』~さようなら私の小さなテーブルたちよ
■ベッリーニ:歌劇『夢遊病の女』~おお花よ、おまえに会えるとは思わなかった

《ポルトガル/リスボン公演1958》
■ヴェルディ:歌劇『椿姫』より
第2幕「ああ私はなぜ来てしまったのしから、無分別にも!」
第3幕「さようなら過ぎ去った日よ」「パリを離れて」
[出演]アルフレート・クラウス(アルフレード)

コメント
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