ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

フランク 「前奏曲、フーガと変奏曲 op18」

2006-03-29 | CDの試聴記
何故か無性にフランクのピアノ曲が聴きたくなって、久しぶりにかけてみました。
フランクの鍵盤音楽としては、「前奏曲、コラールとフーガ」等素晴らしい作品がたくさんありますが、私がとくに好きなのは「前奏曲、フーガと変奏曲」です。
最初に聴いた時から、「何という敬虔でロマンティックな音楽!」といっぺんに虜になってしまいました。
今日聴いたのも、もちろんこの曲。

この「前奏曲、フーガと変奏曲 op18」はフランク40歳前後の作品で、オルガンのための「6つの作品」の第3曲として作曲され、サン・サーンスに捧げられています。
ベートーベン、ワーグナーの影響もあるといわれていますが、音楽の深遠な響きはやっぱりバッハだなぁ。
オリジナルのオルガンで聴く演奏(イゾワールがサントリーホールで見事な録音を残しています)ももちろん素晴らしいのですが、私がもっとも大切にしているディスクは、ヴェデルニコフのピアノによる演奏です。
ピアノへの編曲もよく知られるバウアー版ではなく、ヴェデルニコフ自身の手によるもの。

まず前奏曲。幻想的な雰囲気がとても良く出ています。またバスの生き生きとした表情がとても印象的。
続くフーガは、ヴェデルニコフならではの緊張感と内声部の表現力の高さによって素晴らしい名演になっています。この立体感は、他の演奏からはなかなか得がたいものだと思います。
そして終曲である変奏曲。最弱音できわめて静かに、でもぞくぞくするような緊張感をともなってアルペッジョが始まります。
しばらくすると、静寂の中からかすかに前奏曲のテーマが現れ、しだいにはっきりした形になっていきます。そのあと、確信を持って再現されるテーマの何と美しいこと!
蓋し名演だと、改めて思いました。
聴きながらふと感じたのですが、この変奏曲のあとにバッハのフルートソナタBWV1031(偽作の疑いがありますが)の第2楽章シチリアーナを続けて演奏したら面白いんじゃないかと。

この曲の他のお薦め盤としては、先ほどご紹介したイゾワールのオルガンによる演奏。これはバッハとフランクの名作を交互に演奏したプログラムで、録音も極上です。
そして、ピアノによる演奏ではクロスリー盤。クロスリーは、端正なスタイルの中に瑞々しい叙情性を感じさせる素敵な演奏を聴かせてくれます。
また、クロスリー盤は、フランクの鍵盤楽器のための傑作がカップリングされているのも魅力的です。


ロシア・ピアニズム名盤選26
ヴェデルニコフ/リスト、ラヴェル&フランク
<曲目>
■リスト:ローレライ
■リスト:メフィスト・ワルツ 第1番
■リスト:エステ荘の噴水
■ラヴェル:水の戯れ
■ラヴェル:組曲「クープランの墓」
■フランク(ヴェデルニコフ編):前奏曲、フーガと変奏曲 作品18
<演奏> 
アナトリー・ヴェデルニコフ(ピアノ)

コメント (6)
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