ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

アバド&ミラノ・スカラ座管弦楽団員の「ブランデンブルク協奏曲」

2006-03-25 | CDの試聴記
オペラ演奏を本業とするオケのメンバーたちがバッハを演奏すると?

このテーマに対するひとつの回答がこのディスクです。
ミラノ・スカラ座管弦楽団といえば、皆様ご承知のとおり、ヴェルディやプッチーニの書いた美しくも激しい音楽のうねりを、歌手達にぴったり寄り添いながら見事に表現できる稀有のオケです。
ただ、それがバッハとなると、あまりに明るくまたカンタービレが効きすぎるのではないかと、このディスクを実際に聴くまでは内心一抹の不安を感じていたことも事実です。
しかし、杞憂でした。
当時40代前半だった若きマエストロ アバドのもと、スタイリッシュといってもいいくらい爽やかなバッハを聴かせてくれています。何より肥大化した厚化粧の音楽になっていないことに、私は安堵しました。

もちろん古楽風の演奏様式ではないし、全編にわたって太陽の光をいっぱい浴びたような明るさが支配していることは疑う余地がありませんが、とにかくメンバーひとりひとりが「音楽することの喜び」を持って演奏していることがよくわかります。
第3番・第4番などはその好例でしょう。
第5番はチェンバロのソロに名手カニーノを迎えての録音ですが、少しチェンバロ独奏が浮いてしまっている感じもしなくはないですね。
私が最も印象に残ったのは、第6番です。
しっとりとして温かい見事なバッハだと思います。
からっとした明るさからは全6曲中最も遠い、どちらかといえば地味なこの第6番に惹かれたというのも、私自身ちょっと意外でした。

また、まったく演奏内容には関係ありませんが、ムーティーやジュリーニと組んで素晴らしい録音を数々残している「ミラノ・スカラ座フィルハーモニー」という立派な名前がこのオケにはあると思うのですが、なぜ「ミラノ・スカラ座管弦楽団員」という名称になっているんだろう。
レコード会社との契約の問題もあるのかもしれませんね。


<曲目>
■J.S.バッハ:ブランデンブルグ協奏曲 BWV.1046-1051
<演奏>
■クラウディオ・アバド指揮
■ミラノ・スカラ座管弦楽団員
■ブルーノ・カニーノ(チェンバロ・ソロ)(第5番)
<録音>
1975年11月、1976年5月
コメント (4)
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