ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
これが、私(romani)の三種の神器です。~

アルブレヒト&読売日響 マーラー:「巨人」他

2006-03-12 | コンサートの感想
先週は水曜日に名古屋、金曜日に広島と出張が続いたせいもあって、少々グロッギー気味です。
しかも、広島・名古屋の連続出張といえば、1月にインフルエンザに罹ったときのあのコンビネーションではないか・・・。
案の定、花粉症と風邪の合わせ技一本という感じで、熱っぽいし、喉は痛いし、咳も止まらないし、目も鼻もむず痒い。
完全にブルーの週末になってしまいました。

ただ、今日は2005年度最後の読響マチネーコンサートの日なので、気力を振り絞って(ちょっとオーバー?)、いざ池袋の東京芸術劇場へ。
今日のシェフは、来シーズン限りで常任指揮者を勇退するアルブレヒト。プログラムは前半がモーツァルトの初期の交響曲から3曲、後半がマーラーの「巨人」です。
オケのメンバーを見渡すと、コンサートマスターはデヴィッド・ノーランで、2月のマチネーのときと同様セカンドヴァイオリンの首席の1人が替わっているようです。

さて前半のモーツァルト。
流行のピリオド楽器のスタイルとは異なりシンフォニックな響きですが、颯爽としたテンポで生気溢れる音楽を聴かせてくれました。
とくにヴィオラ・チェロ等内声部を受け持つ弦楽器の響きに「こく」があって、それが音楽にしなやかな弾力性を産み出します。このしなやかさが、モーツァルトの初期の作品にはことのほか重要で、その意味でも素晴らしい演奏でした。
私の席は前から3列目のセンターやや左という場所なんですが、ホールの中央辺りの席では、ブレンドされたさらに素晴らしい響きだったのではないでしょうか。

後半は、がらっと雰囲気を変えてマーラーの「巨人」。
隅々まで気配りされた、充実感一杯の素晴らしいマーラーでした。
クライマックスの設定、弱音部の緊張感、音楽の勢い(方向感と言ってもいいかもしれません)を決して損なわない音楽作りは、まさに名匠の名に恥じないものだと改めて感じ入りました。
そんなアルブレヒトのタクトに見事に応えてみせる読響の実力は、まさに本物です。
とくに印象に残ったのが、第3楽章のコントラバスのソロ。
首席の星さんでしょうか、凛とした見事な音色と表現でした。終演後、アルブレヒトが真っ先に労をねぎらったことも大いに頷けます。
こんなに素晴らしいアルブレヒトと読響の演奏を、あと何回聴けるんだろう。
ちなみに、来月から始まる新シーズンの読響マチネーコンサートでは、アルブレヒトは2回登場します。
満を持して12月にはベートーベンの第九を、そして最後の月である来年3月にはマーラーの第九を聴かせてくれることになっています。
とりわけ、マーラーの第九は今から楽しみな半面、その後きっと寂しさに打ちひしがれるんだろうなぁ・・・。

<日時>3月12日(日) 午後2時開演
<場所>東京芸術劇場
<曲目>
■モーツァルト: 交響曲K.74
■モーツァルト: 交響曲K.110
■モーツァルト: 交響曲K.111
■マーラー: 交響曲第1番 ニ長調「巨人」
<演奏>
■ゲルト・アルブレヒト指揮
■読売日本交響楽団



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