ETUDE

~美味しいお酒、香り高い珈琲、そして何よりも素敵な音楽。
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バッハ:カンタータ140番「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」

2004-11-06 | CDの試聴記
●バッハ カンタータ140番「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV140

<演奏者>
ヘルムート・リリング(指揮)バッハ・コレギウム・シュトゥットガルト
オージェ、バルディン、他


リリングのバッハ全集から、有名なカンタータ「目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声」BWV140を聴きました。
クリスマス前の11月に聴くには、時期的にも大変ふさわしいカンタータです。
1983年の録音ですが、全体的にテンポの速いきびきびした演奏です。
リズムの歯切れよさと、古楽器風の表情が印象に残りますが、
もう少し伸びやかさとしっとり感が欲しいと思いました。
標題になっている第4曲のコラールも、アーティキュレーションの関係もあり、ややぶつ切りになった感じがします。
第3曲のアリアはとても美しい演奏。(どこかマタイ受難曲の名アリアである「神よ、憐れみたまえ」に似ていますね)
その他、晴れやかで明るい第6曲のアリアで、オーボエソロが歌と絡み合って本当に見事に音楽に溶け込んでいるので、誰が演奏しているのかとメンバー表を見たら、名手ギュンター・パッシンでした。
その横をみると、オーボエ・ダ・カッチャのところにN響の首席奏者茂木大輔氏の名前も見えます。
そういえば、茂木氏の著書「オーケストラは素敵だ」でこのリリングのバッハのカンタータ演奏へ参加したことが触れられていましたが、そのときの録音がこれなんですね。同時に師匠のパッシンのこと、(鬼の2番?)ヘダ女史のエピソードを思い出してしまいました。
それから、この第6曲では、2小節目の装飾音符のリズムが他の演奏と異なっているのが印象に残りました。

このカンタータの他の演奏では、リヒター盤(アルヒーフ)が落ち着いたテンポと密度の濃さで感動を与えてくれます。
リヒターの演奏が少し重いと感じられる方にはアーノンクール盤(テルデック)がお勧めですね。
私のベストチョイスは、実は上記リリング盤とほぼ同時期に録音されたこのアーノンクール盤なのです。
テンポはリリングよりゆったりしていますが、決して重くなることなく大変しなやかです。
ボーイソプラノの起用も当たっており、聴き進むにつれて感動が湧いてきます。
その他、ガーディナー盤(アルヒーフ)、ヴェルナー盤(新・旧)(エラート)も改めて聴きましたが、それぞれ良さを感じつつも私はアーノンクール、リヒター盤の方が好きです。

全く余談ですが、このカンタータには私にとって想い出があります。
20数年前に大阪のある教会で結婚式をあげ、教会のすぐ隣の小さな会館で本当に手作りの披露宴を行ったのですが、その際バックで流した音楽がこのカンタータでした。
そのときの演奏は誰のものかって?
リヒター盤です。その時点ではアーノンクール盤は未聴だったので・・・。

コメント (3)
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