魔人の鉞

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イスラームは危ない宗教だと思う18項 後半

2024-07-29 16:15:00 | 日記
イスラームは危険だと思う18項の後半、⑪~⑱と総括です。

⑪「絶対無謬」の神とは
全能で「絶対無謬」な神が存在しうるということは、私には理解できません。そういう神だと規定してしまうことはできるかもしれませんが、人間のすることに絶対無謬などありえないし、神の属性も人間が考え出したものですから、絶対無謬も同じことでしょう。アダムをそそのかす蛇を作ったり、前述の悪の存在、大水害など神の失敗はたくさんあります。大水害は神自身が反省するくらいですから、間違いだったことは明白です。こんにちの災害も神の御業ならば、どう考えても間違いでしょう。

クルアーンでは、メッカ時代の啓示とメディナ以降の啓示には若干の食い違いがあるそうです。メッカ啓示とメディナ啓示と呼ばれ区分されており、僅か10数年新しいメディナ啓示が尊重されるそうですが、やはりアラーも時代に合わせて啓示をアップデートさせたようです。前のものを誤謬と言わなくても、変化したことは事実です。
あり得ないことですが、もし1350年後に啓示が下るならば、その内容はメディナ啓示よりさらに異なった、昔の啓示をアップデートし進化したものになるでしょう。恐れながら、過去の啓示を金科玉条・絶対無謬としない方がいいと思います。

⑫ 救済について
人の救済については、クルアーンでは善行を奨励し、それによって罪は清められるとしますが、最終的な救いは神の御心のままで、これだけ善行をしたから救われると思ってはならないのです。救済が人の行いだけで決まってしまうならばアラーの「全能性」が損なわれてしまうからです。

イエスは信仰すれば神の国に入れると説き、細かな律法を制定しませんでした。大乗仏教では、人心の救済はなんと阿弥陀仏の念願! なのです。仏のほうが人を救おうと心願を掛けるのです。もちろん仏は天地の創造神ではなく、衆生は仏の被造物ではありませんから、その救済を念願するというのは理屈が通っています。しかし 「全能の神」はなにしろ全能ですからそんな願を掛けたりする必要はなく、最初からそのように創造すればいのです。
しかしアラーは、俺の言うことを聞けば救ってやるなどと言っていろいろな律法を命令する。その内容は喜捨・徳行など確かに良いことが多いのですが、1日5回の礼拝や断食、不可解な食物禁忌など理由の明白でない束縛もたくさんあります。そうしてみると、アラーの慈悲は口うるさい奴隷主の慈悲のようで、人々はアラーの言いつけを守れば許され褒めてもらえる奴隷のようです。クルアーンに書いてあることは絶対の真理であり、奴隷がご主人に理由を聞いたり逆らったりすることは許されないのです。

人心の救済を念願する仏と、信心すれば救ってやろうというアラーと、どうしてこれほどの違いができたのか? まさしく世界観の違いかもしれません。

⑬ 全能の唯一神は支配の道具
いろいろ考察してみると、「全能・万能の唯一神」 ということは矛盾に満ち満ちています。論理的には難しく、信じるなら理屈抜きに信心するしかありません。
おそらくレザー・アスラン氏 (「人類はなぜ〈神〉を生み出したのか」文芸春秋 2020) の言うように、「全能の唯一神という観念は人間が、それも支配者が作り出した」ものです。そのほうが権力者にとって好都合なのです。エジプトのアテン神、ユダヤのエホバ、イランのアフラ・マズダ、そしてイスラームのアラー、みな支配者からの発想です。イエスだけは支配される側で権力を持っていなかったので、支配するための神の啓示はまったくなく、社会的弱者の救済を心にかけていました。私はそんなイエスに親近感を覚えます。

暗黒の中世と言われる厳格な教会組織は聖書に書かれているものではないので、聖書に立ち返ることで個人の信仰に基づくプロティスタンティズムが生まれることができたと思います。世俗権力との対立を繰り返すことで教会もずいぶん変容してきました。ローマ法王は中南米で行なった侵略行為を謝罪さえしています。
支配者に都合のいいイスラームは逆で、原典には民主的改革の契機は見つかりません。イランは政教一致の状態に戻り、トルコもイスラム化し、スンニ派の諸国は現世の権力とイスラーム教義の折り合いにいまだ苦慮し、チグハグなままです。

その昔、神はたくさんいたので民主的だったのですが、強権支配には不都合です。文句をいわない人民を作るには神は一人のほうがいいので、唯一絶対神になるのです。そして全体主義に傾きがちで、個人の自由や民主主義とは相性が良くないのです。

⑭ 女性は子どもを産む道具?
クルアーンでは女性の立場がとても弱い。ムハンマドの3番目の妻アーイシャは預言者を助けて活動したそうですが、他にはほとんど女性は出てきません。そしてハディースの伝えるところによれば、アーイシャは6歳で当時53歳だったムハンマドと婚約して9歳! で結婚式をあげ、彼が没するまでの9年間をともに生活したと伝えられます。恐れ入るほどの幼児性愛です。当時のアラブ社会では普通のことだという説もありますが、9歳児とのセックスが普通というのはとても考えられません、しかし預言者の行跡ですから書き改めることはできず、批判は許されません。
イスラームの天国 「緑園」 では復活して入園を許された者には絶世の美女が何人もあてがわれ、セックスし放題で、彼女はいつまでも処女のままという摩訶不思議なことがクルアーンに書いてあります。ムスリムはよほどセックスが好きなのでしょうね。そしてジハードで戦死した人は審判なしに緑園に入ることができ、40数人の処女があてがわれるということです。素晴らしい!
しかし、その女性たちはいったいどこから来たのでしょうか? ひょっとするとアラーがこしらえたアンドロイドかもしれません。そうでないと男女の比率がめちゃめちゃになってしまいます。

一方で女性はどうなるのか? 緑園に美男がいて女性にかしづくということは書かれておらず、そういう男性はいないはず。そもそも女性が緑園に入れるのかどうかも定かではありません。
男性は4人まで妻を持てるということも、イスラム草創期には戦士の死亡が多かったので寡婦を作らないための社会政策だった、などという説明がなされます。しかしヒジュラ以後のイスラームは連戦連勝で領土を拡大し、20~30年で大国となり、寡婦の心配などする必要が無くなったはず。それでも1400年にわたってこの制度が維持されているということは、女性の権利や立場についてアラーもイスラーム社会も真剣に考えていないということでしょう。女性は男性が養うもの、とクルアーンにはっきり書いていますから、改革などはとても難しい。女性は「子どもを産む機械」と言って大臣をクビになった人がいましたが、同じような考えだと言わざるを得ません。

2014年ノーベル平和賞受賞のマララ・ユスフザイさんのような女性が出てきましたが、ノーベル賞はキリスト教世界で選考されたので受賞できました。しかしイスラーム世界で彼女の名声が高まり、後に続く人が続々と出ているとは聞きません。改革は前途遼遠、イスラム世界単独では自己改革は絶望かもしれません。

⑮ なぜ食べてはいけない動物を創造したのか?
イスラームにはハラームという食品の禁忌がたくさんあります。豚、犬、ロバ、ラバなどやそれらが含まれる加工食品も食べることが禁止され、それ以外の肉であっても屠殺が正規の手順に従ったものでなければ食べられないそうです。ひれやウロコのないイカやタコも不可。 食べてよいものはハラールと言います。
宗教的禁忌は一般的なことで、どうでも良いことのようですが、不思議なのは全能の神はなぜ食べてはいけない動物をわざわざ創造したのか、ということです。イスラームでは人間は万物の管理者と言われるのに、毒でもないのに食べてはいけない動物がいる。文化と言えばそれまでですが、豚は不潔だとか、穀物を食べるから不経済、という説もあります。ともかく、クルアーンには禁止の合理的な根拠が全く説明されておらず、今となっては聞くこともできません。

お酒の禁止だけは例外で、これは当初メッカ啓示では禁止されていなかったものの、礼拝で酔っぱらったり酒の上の諍いが起きたりして、ヒジュラ後のメディナ啓示で禁止されたそうです。このように啓示がアップデートされていけばいのですが、「最後の預言者」 ムハンマドの死後はその可能性がなくなってしまいました。

⑯ 命令で始まる聖典とは
クルアーンは、「読め」という命令で始まるそうです。アラーは超絶的に偉いのでしょうけれど、強制はどんなものでしょうか。人は神のシモベなんだからいうことを聞け、俺を信仰したら救ってやってもいいと言うのです。アマノジャクの私は奴隷はイヤなので、それだけで信仰する気がなくなります。

イエスはどうだったでしょうか。たとえ話でいろいろなことを教え、「耳のあるものは聞くがいい」と言いました。読めとか聞けとか、命令したことはありません。自分から聞くようにと諭したのです。あれこれの律法はまったくありません。(ユダヤの) 律法を成就するために来た、と言いましたが、安息日に病者を癒したり、神殿の店をぶち壊したりという律法破りを平気で行ないました。律法を成就するとは、人々を救済するのが律法本来の目的であり、それを成就するということでしょう。そして神の気まま、インシャラーではなく、信仰する者は救われるのです。
律法が無いということが、キリスト教において教義解釈の柔軟性をもたらし、西洋近代の基礎となったと思われます。

⑰ 慈悲についての疑問
アラーは 「慈悲深く慈悲あまねき神」とされていますが、それは当たり前のことです。ユダヤのエホバのような、妬む神、虐殺を厭わぬ神が異常なのです。仏教では人は誰でもみな慈悲心を持っていると考えるので、慈悲は何もアラーの専売ではありません。しかしアラーは全能なのに災害を起こすのに平気だったりしますから、アラーの慈悲は不徹底です。イエスの神は愛の神です。

アラーは他宗を認めますが、偶像崇拝と多神教を徹底的に嫌います。イスラームはユダヤ教の聖典をすべて聖典として認めているので、妬む神の対比として慈悲を強調したのでしょうか。しかし妬む神、虐殺指令を厭わぬエホバと慈悲深いはずのアラーが同一神というには無理があります。(アラーは多神教徒を攻撃せよと言っていますから、少し近いところがありますが。)  イスラームのアラーからすればエホバは当時のユダヤ民族を教化する「方便」という位置づけかもしれませんが、ユダヤ教からすればとんでもない言いがかりです。違いすぎるエホバと一緒というのはやめた方が良いと思います。

イエスの愛の神は、エホバとはまったく違う。アラーとも随分違う。セム的一神教というけれど、キリスト教は残虐なエホバを唯一神としている旧約聖書とは縁切りしたほうがいいと思います。( 「イエスはユダヤ教より仏教に近い」 長谷川洋三 考古堂 2009)。

⑱ カリフ位のあいまいさ
預言者ムハンマドの後継者カリフの地位は信徒にとってはたいへん重要で、信徒に戦争を命じる権限を持っていますが、いま空位になっています。もともとムハンマドの死後直弟子である教友たちの互選で、その後は前任者が指名しましたが、ムハンマドの属していた「クライシュ族」でなければ即位の資格が無い、というのもいかにも時代錯誤の血縁主義です。民族平等と言いながらカリフ位は特定部族の独占、ということで、なんとISILでカリフ就位を宣言し、攻撃で殺されたバグダディもクライシュ族だそうです。

そして武力でカリフ位を奪い取っても全土を平定すれば正統とみなされるというのがスンニ派の多数見解だそうです。(ムハンマドの従兄弟・娘婿の第4代カリフ・アリーからカリフ位を奪ったムアーウィヤが初例で、クライシュ族の支流)。 身もフタもない話で、勝てば官軍、日本的な融通無碍の現実主義と言えばそれまでですが、多神教の日本ではなく唯一絶対神アラーのイスラームでそうだというのが摩訶不思議です。

つまりスンニ派は現世の支配者に基本的に逆らわないことを良しとするわけで、道義などよりも社会の安定を優先し、内戦などで人々が苦しむことを避けたい、という理屈だそうです。そうしたことに納得せず分裂したのが第4代カリフ、暗殺されたアリーを奉じるシーア派ということになります。(シーア派も血縁主義で、アリーの血脈のイマーム <最高指導者> が絶えた後はガイバ <幽隠> に入っているとしています。)
全能のアラーの威光もイスラム社会の分裂・抗争を防ぐことができませんでした。つまりは人間の欲が勝つのです。なんと悲しいことではありませんか。

◆クルアーンの見直しが
イスラームは、人々の自由な発想・創意工夫を妨げるクルアーンを再解釈しなければ再生はありえないでしょう。しかしそれは絶対のタブーです。逆にクルアーンで禁じられていないことは何をしてもい、ということだそうですが、それでも新しいことにはそのつど教理解釈のファトワーを求めることになるでしょう。
全能の絶対神はそれとして、「全人類、異教徒・多神教徒、男女・LGBTが対等に共存できる教理」を作り、すべてのムスリムがそれを受け入れなければなりません。個人の尊厳と創意工夫を尊重する理念も必要です。そのためにはイスラーム内部でよほど真剣な理論闘争がなされなければならず、あるいは現在の支配層、ウラマー層に対する革命的努力、文字通りのイジュディハードも必要になるでしょう。どこまで柔軟にそれができるでしょうか。

スライマーン氏によればイスラームの衰退がはじまってからすでに1300年ほど経っています。十字軍を撃退してからでも 800年近く、オイルショックで居ながらにして巨万の富を手にしてからすでに50年。しかし敗戦から立ち直った多神教の日本、侵略と内戦に苦しんだ無信教の中国、植民地支配から立ち上がった多神教のインドにさえはるかに置いて行かれています。

何百年かかっても遅々として進まないイスラーム社会の改革。根本の宗教改革がなければ、イスラームは原油の枯渇あるいはその前にエネルギー構造の転換によって、100年を待たずに衰亡するでしょう。
徹底的に没落してはじめて、再生が可能かもしれません。しかしその間に過激なテロが多発する可能性があります。気をつけなければなりません。
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