飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

青色の感情

2023年08月12日 07時00分32秒 | 人生論
国語指導における目的は何か。
その一つは、自分の心情をいかに言語化できるかどうかの力を育むことだと考える。
子どもたちは喧嘩やいさかいをする。
その要因は様々だが、一つには自分の気持を的確に言葉で表現できないからだ。
心に何らかの気持ちを沸き起こった時に、それを言葉にして相手に伝えようとする。
もちろん自分一人しかいない状況であったり、言葉よりも非言語によるコミュニケーションが重視される場面もあるので、すべてではないが。

国語の授業中にも、これに関した発問をする。
「嬉しいと楽しいはどう違いますか。」
嬉しいという表現は様々ある。

・うれしい
・愉しげ
・楽しい
・明るい
・仕合わせ
・ご機嫌
・楽しげ
・悦ばしい
・御機嫌
・ハッピー
・・大喜び
・幸福
・嬉々たる

この言葉の違いやニュアンスの差異を感じ取れるかどうか。

また、感動したと一言で言っても、詳細な心情は微妙に異なる。

・感動する
・感銘を受ける
・強く印象に残る
・その後の人生を左右する
・ジーンとする
・心を打たれる
・胸に響く
・ガーンとなる
・ジンとする
・心が揺さぶられる
・衝撃を受ける
・琴線に触れる
・感化される
・目に焼きつく
・胸を打たれる
・胸にしみる
・心に響く
・シビレる
・胸をふるわせる
・心揺さぶる
・グッとくる
・感服させられる
・感心させられる

「胸を打たれる」と「胸にしみる」とはどう違うのか。
詩や短歌、俳句などではとくにこのあたりの文章表現を検討させることは必須だ。

「悲しい」と表現した場合も、他の表現をした場合に印象は大きく異なる。
自分なら次のように解釈する。

・悲しい…元々そこにあったものがなくなるときに感じる気持ち。
・切ない…なくなったはずのものがそこにあるように感じること。
・寂しい…元々なかったものがやっぱりないとものだと分かること。

しかし、言葉難しい。
その人の気持ちを言葉で表現することは究極不可能と思ったほうがいい。
人は、悲しいでも切ないでも寂しいでも表現できない青色の感情がある。

そんな青い感情を追い求めることが若いということであり、いつまでも新鮮な感性を持ち続けるということかもしれない。
昔好きだった小説、テレビドラマにもなったが、「青が散る」とい作品があった。
この青は、こんな意味だったのか今思う。
そして、「それが大事」という歌の歌詞にも「ここにあたなたがいないことがさみしいのじゃなくて ここにあたながいないと思うことがさみしい」「ここにあたながいないのが切ないのじゃなくて ここにあなたがいないと思うことが切ない」という歌詞があるが、それもこういう意味だったのかと思う。