私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

50年続けた魚遊び。胴長ガサガサもしんどい。ならば釣りだ!野遊びだ!タナゴから珍魚・駄魚釣りへ!地元の生き物探しへ!

台灣石魚賓(タイワンハナマガリ)も釣れたの巻  台湾釣(ガサ)行記⑥  釣査47種目

2016-12-31 08:33:25 | 台湾の魚たち
 2016年12月23日 金曜日

まだ、1本目の小さな渓流にいるのである。
30分も過ぎてないのである。
「おっさん、いつまでダラダラ書くつもりなんや? いつまで続けるきいや?」
「ホンマ今日はおおみそかでっせ。他にすることもようけあるやろ?」
と問うてくるのは妻と私の良心くらいだろうけどね。
ま、この魚を書いて次の川へと移動するわな。(おっさん、3種しか釣れんかったんや!)

タイワンハナマガリの幼魚である。


今回の採集行でどこでも普通に見られた魚である。
が、ここでしか釣れなかった(しかも1尾だけ)台湾固有種である。


ようけおるがな。
下向きの口で底石の付着藻類をついばんどるわ。
乾燥してタマリに残り過密になったことで空腹なんじゃね、ミミズにも寄ってくるぞ。
が、群らがる連中の小さい口に入らんがな。
そこで大きいサイズをねらって石の陰の底スレスレに大きめのエサにして沈めたんよ。
ヤリタナゴより少し強い手応えで見事に釣れあがってくれた愛いやつなんじゃ。
しかも私の知る限り、日本人でタイワンハナマガリの幼魚を釣ったのは一人おるのである。(おるんかい!)

成魚になるとこのキレイな横斑も消え、銀の体色の細長い姿になる。
成魚は水生昆虫も食べるらしいから長い渓流竿で釣るのは簡単かもしれんね。
卵が有毒となっとるから、それ以外は食えるということやねえ。
いつか食ってみたいわあ。

さて、もともと台湾北部から西部・南西部にかけて自然分布していて、南東部・東部へは移入であるという。
しかも台湾では地理的に北部、中西部、南部と大別される遺伝的な違いがあるらしい。
今ではどこでも繁殖しているわけだから、
かつて中国大陸と台湾北部がつながっていたときに大陸から入ってきたコイツの祖先が
台湾を東西に分ける山脈を越えることがいかに困難なことだったかが分かるっちゅうことである。

では、コイツと共通の祖先から分かれたであろう親戚ハナマガリ(中国某地域で採集)を載せとくね。
見比べてくだされ。


では、みなさん良いお年を!


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

粗糙沼蝦(タイリクテナガエビ)?を釣るの巻   台湾釣(ガサ)行記⑤   釣査46種目

2016-12-30 22:16:46 | 台湾の魚たち
 2016年12月23日 金曜日

前回の続きである。
タイワンカワムツが釣れすぎないようミミズを転石のすき間の底にすばやく沈めてみる。
日本でもいろんな魚種を釣るために何度もやってきた釣り方だ。

少し待った後にアタリ。
黒茶色のテナガエビ類が釣れた。


お目にかかったことのないテナガエビだ。
体色はさておき、全体に寸詰まりでハサミを無視すればまるでザリガニである。
目の先に伸びているノコギリのような部分も短い。
それらの特徴と渓流域であることから「粗糙沼蝦(タイリクテナガエビ)」としておこう。




このテナガエビは台湾全域の上流域の転石の下で見られるらしい。
図鑑には、一生を淡水で過ごすとも書いていた。

それにしても、昨日といい今日といいテナガエビがよく釣れる。
台湾には15種類ものテナガエビがいるらしい。
養殖も釣り堀も屋台もみんな羅氏沼蝦(オニテナガエビ)のようだ。
生活に根付いているんだね。
しかも汽水域から上流域までそれぞれの環境に適応した種に分かれて広がっている。

まさにテナガエビ天国なのかもしれない。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

台灣馬口魚(タイワンアカハラ)を釣るの巻  台湾釣(ガサ)行記④  釣査45種目

2016-12-30 09:28:17 | 台湾の魚たち
 2016年12月23日 金曜日

魚名は、台湾での代表的な書き方(日本名)で書き表すことにする。
台湾に生息する魚なので台湾に敬意を示すのは当たり前だと思うからである。

高雄市から台東市へ高い山脈を避けるように続く南回りの道沿いの渓流でとりあえず1ヶ所やってみる。
「どこかよさそうなポイントがあれば言うてよお。」
馴れない左ハンドルに格闘中の友が言う。
「分かった。しっかり見とくけえな。」
乾いた石だらけの大きな渓谷が見える。
その支流を探しているのだ。

そして、忘れもしない2・3本目の渓谷を過ぎた何本目かの渓谷(忘れとるやないの!)である。


渓流のトロ場にかろうじて水がある。しかもよく澄んでいる。降りやすそうな階段もある。
「見てみようや。わっ! 魚がたまっとるがな。」
二人ともそそくさと車へ戻り、それぞれ釣り、水中撮影の準備にかかる。

第一投。タイワンアカハラである。


初めて手にしたが次々と釣れるために日本でカワムツを釣ってる気分になり感動が薄まる。
が、やっぱり日本のカワムツやヌマムツとは尾柄部の縦線がまったく違うねえ。


台湾固有種である。
全土に分布するが、本来北西部に多く東部へは人為的移入であるという。
「我的水中夥伴」2015刊・方力行著(今回たまたま購入)によれば(あくまで私の理解にすぎないけど)、
① 700万年前:温暖な時期による海水面の上昇で、淡水起源の淡水魚類は絶滅する。
② 150万年前:寒冷な時期による海水面の低下で、北部と南部の2ヶ所で中国大陸とつながる。
③ 南北に連なる3000m級の山脈により、西部と東部の河川が完全に分けられる。
④ 南部・東部へは黒潮の影響が大きく海洋起源の淡水魚類がウェイトを占めてくる。
⑤ このようにして地域ごとに特色のある淡水魚類相になる。
⑥ 以上が生息する淡水起源の純淡水魚47種のうち、37種が台湾固有種となった要因である。
らしい。

国土は九州程度と小さくても、日本での純淡水魚類相とよく似ていておもしろい。
純淡水魚の自然分布は進化のようすを物語ってくれる。
そこには壮大なロマンがある。
やたら放流したり環境破壊したりしちゃいけないなあ、とあらためて思うのであった。
東部でもたくさんいたもんなあ。
この日、南東部で友が採集したタイワンアカハラの成熟個体も載せておく。


こいつは人が移動させた名残なんじゃねえ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

朝食バイキングも一新してたぞ!の巻    台湾釣(ガサ)行記③

2016-12-30 08:07:20 | 台湾の魚たち
 2016年12月23日 金曜日 朝

「朝食は期待せんとってなあ。」
今春、宿泊した経験のある友の言葉である。
高尾市中心にあるホテルを一泊朝食・駐車場付き一人300台湾元(約1100円)でのネット予約なのだ。
期待なんかするわけがない。
期待をするのは手配した友にも、この価格で提供するホテルにも申し訳がない。

朝食はバイキングであった。料理いっぱいならんどる。洋食もそろっとる。


「ありゃ! 良くなっとるがっ!」
「リニューアルしとるし、駐車場の位置も変わっとったけえ・・・・・・」
「こりゃうまいがな。ええでえ。」
友のはずんだ声が続く。
たしかにおいしい。何を選んでもおいしい。
味付けは基本「九州しょう油」をさらに甘くしたような味。
角煮などにピッタリ。日本では高級な湯葉も惜しげもなく煮付けている。
「ま、どこへ行っても塩を欲しがるけえなあ。」
そうなのである。
私は、もともとおかずが甘いのは得意ではない。
おかゆなどにはパッパッと塩をふりかけて食べるのがベストなのだ。
中国もそうだったが塩が食卓にないのだ。
「次は塩を持っていかんとな。」と思いつつ、すっかり忘れてしまうのだ。
にもかかわらずおいしい。
「いや、十分十分。十分すぎるわ。ラッキーや。」

さて、いよいよ台湾中南部河川めぐりが始めるでえ!
このとき、まだ自分がいくつもの幸運に包まれていたことは知る由もない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大衆セルフの店で晩飯を食うの巻  台湾釣(ガサ)行記②

2016-12-29 15:56:20 | 台湾の魚たち
 2016年12月22日 木曜日

台湾初日。
車を止める度に眼下にうつる枯れ川か、
行く手をはばむ灰色のきめ細かいシルトの堆積物の河原かのどちらかだ。
ようやくたどり着いた先に広がる同色に濁る水。
淡水魚にとって最悪ともいえる環境。
流れ幅50mはある川にのびる2本の1.8m竿。
闘いの結果はもはや誰の目にも明らかだった。
夕暮れがせまる。

かろうじて手にしたミナミテナガエビ4尾を心に刻み(写真を撮る時間なし)
私たちは口数少なく重い足をひきずりホテルへと向かったのであった。

「さ、飯でも食いに行こうや。旨くて安い店があるんじゃ。気に入ると思うでえ。」
友のさり気ない言葉が胸に染みる。
そういえば腹が気体で膨らんでいたことを思い出す。
台湾初釣りの期待が胸で少ししぼんでしまった今、腹を固体や液体で膨らませるしかないわな。

ホテルから数分の所に有名な屋台通りがある。
観光客でごったがえしているみたいだが、こういうのはどうにも苦手だ。
目指す食堂はそのほんの先にある。
(写真は明け方散歩中のもの、店員5人・客4人。すいとる時じゃないと失礼なので)


そこは24時間営業のこぎれいな大衆セルフ食堂だった。
「まだ、働いとる人が多いんかの? 今日は割とすいとるで。」
友の言葉に逆らうようだが、ひっきりなしに客がやってきとるぞ。

とりあえず友のマネをし、トレイと皿を手に・・・・・・
調理されたおかずが無茶苦茶並んどる。選べんがな。1掴み○○元と書いとるけど。


貧乏性の私はセルフも怖い。
あれもこれもと選ぶうちに予想を超える量と金額になるからである。
「メシ大。」「あっ私も。」しもうた。小にすりゃよかったわ。もう遅い。
とりあえずまとめて私が払う。
日本人と判断した店員さんがすかさず電卓で金額を示してくれる。
「165」という数字が見える。
えっ? ホンマ? 2人分で600円にもならない。


「スープ、タダなんじゃ。飲む? おっ、今日は野菜たくさんあるで。冷たい麦茶もタダで。」
こういうときの友は実に生き生きとしている。
「台風の時もこの店開けるんよ。この店の食事が生活の支えになっとる人もおるけえな。」
「どんなときも開けるちゅうんが信念らしいでえ。」友の熱い言葉が続く。
よく見るとシャレた若い人も会社員もたくさんいる中、
少しくたびれた服にちぎれそうなサンダルのお婆さんがご飯と1品のおかず、スープで食べておられる。
「ええ話やなあ。腹もいっぱいじゃが、胸もいっぱいになったわ。」
「日本も誰もが腹いっぱいになれる国になってほしいよなあ。」

と、そのとき私たちのテーブルに一人のおじいさんがすわる。おかずはやはり1品。
が、それは手のひらより大きいハタ類の煮付けであった。
「あんなおかずあったか?」
「いや、見とらん。あれば取っとる。」
「日本じゃったら高級魚じゃし最低数百円はするでえ。」
「いくらするか見てくる。」・・・・・・「どこにあるか分からんわ。」
「わしが行くわ。」「わっ! 40台湾元(150円くらい)じゃ!」
「取れば良かったわあ。腹いっぱいで食えんがあ。」

さっきの話はどこへやら・・・・・・私、ホンマさもしい日本人ですな。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする