私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

50年続けた魚遊び。胴長ガサガサもしんどい。ならば釣りだ!野遊びだ!タナゴから珍魚・駄魚釣りへ!地元の生き物探しへ!

アユモドキ Parabotia curtus:厳島の磯に鹿をおまけに

2024-05-05 13:43:56 | 純淡水魚
2024年5月5日(日)

アユモドキ Parabotia curtus

20240422  体長12cmほど

国の「天然記念物」であり、種の保存法指定種であり、絶滅危惧ⅠA類
アユモドキが広島県東部に生息していたという記録は極めて怪しく
生息域西端は岡山県だと思うのだけれど
コイ目ドジョウ科の淡水魚だから、こいのぼりが揚がる子どもの日に似合う


若魚の頃には黄色の明瞭な横帯が側面に

あらわれる。

所用で宮島水族館を訪ね、スイゲンゼニタナゴやニッポンバラタナゴの人工繁殖の様子を見させていただいて

順調に事が進んでいることにホッとしつつ

同時に、このアユモドキの繁殖も順調で、若魚たちもスクスク育っていて


3種とも館内に展示できていた。

ま、国の天然記念物・絶滅危惧種でめったやたらに出会えない生き物なのに・・・
野生化で出会うとしたら、法律違反のガサ採取の場面だろうから逮捕だというのに・・・
小さな水槽展示に立ち止まる人も少なく、アシカショーの館内放送に負けてしまってる。

用事を終え、シカの糞にフンコロガシがいないか見て回り
出会えないまま、干潟の広がった大鳥居を眺めつつ知人のくれたパンをかじる。


遠く広がった干潟の沖に一頭の牡鹿


宮島では、神の使いとしてニホンジカは大切にされていて
お菓子や弁当など、エサをあげることは厳禁とされているせいか
この日は、海藻を食べようとしてるのか干潟をうろつく鹿たちもちらほらいた。

一頭の牝鹿は間違いなく海藻を食べていた。

体内の塩分調節は大丈夫なんだろうか?

と、眼が合ったら少しずつ近づいてきた。

私のパンがほしいのだろう。

知人は、後ろ足で蹴られたという苦い経験をもつために、その場を離れた。
私は、じっと身動きせずパンをかじり続けた。
「ピー」という短くかすかな鳴き声を途切れ途切れに3回
牝鹿も鳴くのだと初めて知った。

と、話はそれまくったまま・・・

宮島水族館での希少淡水魚類の順調な繁殖の様子については
来る5月25日の下記シンポジウムにて詳しくわかりやすく発表されるから楽しみだな。
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スイゲンゼニタナゴ Rhodeus atremius suigensis :保護現場と種の保存法と・・・

2024-05-03 08:58:11 | 純淡水魚
2024年5月3日(金)

スイゲンゼニタナゴ Rhodeus atremius suigensisオス


メス

20240502  体長3~4cm

国の種の保存法と絶滅危惧ⅠA類に指定されてるきわめて危機的なタナゴの仲間。
国に余裕がある時代なら、天然記念物になっている筈の淡水魚。

ここのところ、県下のスイゲンゼニタナゴ繁殖関連施設数カ所を訪ねている。
もちろん許可申請をきちんとした上で。

ここでは、二枚貝を入れたプールでの人工繁殖を試みている。
オスの婚姻色とメスの抱卵状態(産卵管ののびなど)を確かめるために数匹ずつ採集して

この施設ではまだほんの少し時期が早いようだ。

オスの美しい婚姻色は白い背景で撮影すると


数分の後には

すっかり色あせてしまうこともよくわかる。

だから他のいろんなタナゴ釣りをされている方々も撮影は短時間に済ませ痛めぬよう放流してくださればと思ったりする。

人工授精による繁殖を行ってる施設では、胚の発生の様子を見させてもらって・・・
卵黄の側部が突き出る翼状突起がスイゲンらしくて愛おしいのだが・・・

中に異常発生している胚もいて・・・


双頭の胚だということが眼球の数でわかる。


この胚はいずれ発生を止めて死を迎えるのだが

コイツ以外にも途中で発生を止める胚は少なからずいて、日々飼育シャーレから取り出しているそうだ。

まったく相関していないが、コイツを見ていると、アブを捕えている
デーニッツハエトリ Plexippoides doenitziメス

の顔が浮かんでしまった。

さて、隣県ではどうなのかというと・・・
岡山県内におけるスイゲンゼニタナゴの危機的状況について(外来タナゴ類の確認について)

近縁である外来タナゴの侵入について発表せざるを得ないほど、追い込まれているようだ。

5月25日のシンポジウムでは、こんな状況を詳しく分かりやすく聞かせてもらえるみたい。

無関心なまま無意味な形で、種を絶滅させたくはない。
だから、もちろん参加しようと思ってる。
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アマゴ Oncorhynchus masou ishikawae :釣査268種目

2023-03-25 08:47:39 | 純淡水魚
2023年3月25日(土)

アマゴ Oncorhynchus masou ishikawae

20230324  体長18cm

タナゴ竿(10尺)&仕掛けで釣った268種目。
パーマークも朱点もひれも実に美しい個体だ。

静岡県以南の本州太平洋・瀬戸内海側に生息する渓流魚で
他の地域のヤマメと分布域を異にしていることは有名な話。

この日、久しぶりにカワガラスの観察をしに
市内の渓流沿いを散歩しようと、かみさんと出かけたら

渓流の浅場にカワムツより大きな魚が何匹もみえて


アマゴだっ!


そういえば、漁協再開に向けて試験放流をするらしいという話を思い出した!


そう、ここ数年この渓流にある漁協は休業状態、鑑札券も遊漁料もいらない。

もっとも遊漁対象のアユやアマゴなどにも長年お目にかかったこともない。

釣ってみたいという本能的な衝動が突き上げてくる。
ただ、タナゴ釣りの道具はいつも車にあるけれど、エサがない。

しかたなく散歩を続けていると、一人の爺さんが竿をたたんでいた。
もちろん挨拶をした。
たくさん釣れ、もう釣れなくなったから帰ると言う。

しばしの会話で
数日前にアマゴの試験放流が行われたこと
もちろん鑑札も遊漁券も今はいらないが、来年から必要になるだろうとのこと
そして、な、なんと観察しやすいカワガラスの営巣場所も詳しく教えてくださった挙句
な、な、なんと「余った餌(イクラ)をくれる」とおっしゃられた。

となれば、千載一遇の機会だもの、カワガラスは後回し。
車に戻って、いつもの釣り・撮影道具を手に、他の釣り人の邪魔にならない最下流付近へ。
なに、1匹でいいのだ。
撮影ケースに入る全長15cm以下の個体でいいのだ。

ただ、さすがに昼過ぎでいろんな釣り人が竿を出した後なんだろうね。
簡単に食ってはくれない。
砂底にイクラを落としたままの状態にし、しばらく様子をうかがったら・・・
小さいのがくわえてはしった! 釣れたっ!


サイズはちょうどいいっ!


観察ケースが15cmだから、全長12cmほどの個体だ。


時間と手間をかけ、弱らせないよう丁寧に撮影をした。
タナゴ竿・仕掛けで初めて釣ったアマゴだし、後で放流した方がいい小ささだしね。

惜しいのは朱点があまりはっきりしてないのだけれど、贅沢言っちゃいけない。
もらった餌だし、たまたまの試験放流だったわけだし・・・十分満足だ!

問題は、釣り名人のかみさんがまったく釣れぬまま粘っていること。

しかたなく竿を出し続けてたら、今度は明確なアタリとともに


冒頭の美しいアマゴが釣れ、サイズが大きいので、しかたなく大きな観察ケースを取りに戻り

これならば、アマゴらしさいっぱいで大満足!

コイツは晩のおかずにすると決め、かみさんが釣れるのを待った。
そして、タナゴ針を新しいのにつけかえた途端、かみさんの竿にもヒット!


朱点が大きく散りばめられているが、太く、パーマークは薄く、尾びれが小さく溶けかかっている。

典型的な養殖ものだけれど、私のより大きい。

かくして、ただちにカワガラスの観察へと向かい、有意義に過ごし

夜、大変美味しくいただきました。

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アブラハヤ Rhynchocypris lagowskii steindachneri :釣査265種目

2022-11-30 09:45:52 | 純淡水魚
2022年11月30日(水)

アブラハヤ Rhynchocypris lagowskii steindachneri

20220618

タナゴ竿・仕掛けで釣った265種目。

6月の話で恐縮なのだが・・・
昨年お手伝いした若い研究者さんから
「また、協力してくれませんか?」
「今度のポイントは釣りの方が確実なので、ぜひ・・・」と誘われたときのこと。

若い研究者さん、昨年ずっと1人でアブラハヤの分布の西限流域辺りを調べて回っていた。
そのとき1度だけ手伝った話の一部は👇
混在流域に至る!:B線上のアブラハヤ④ 

その研究が一段落し、研究に差し障りがないよう当人に確かめ、許諾をもらった上で書いているので遅くなったのだ。
私の釣りは年寄りの趣味に過ぎないから研究内容には触れない。
当初からのブログのテーマに沿った遊びの釣りだもの。

このポイントでは、タカハヤが数尾釣れた後、岩陰で立て続けに2尾釣れた。


タカハヤとの違いはしっかり判別できるようになっていたものの、初めて釣っただけに震えた。
最初の1尾の尾びれが少々奇形になっていたことにも気づかないくらいに。
何せ私の暮らす広島県には生息(自然分布)していない。
ガセネタに翻弄され県内をうろついたことも幾度かあったし、他県の方から誘われて出かけたこともあった。
でも、一度も釣れなかった。

それが立て続けに釣れたのだ。
2尾目はかなり大きくて、フォルムも美しい。(と後で気づく)


3尾目を釣り上げた頃


研究者さんがガサから戻ってきた。
「想定したより良いポイントがありました!」

その中から若魚だけ選んで撮影させてもらった。


サンプルは私の釣った3尾も含め、10数尾。
過不足なくあっけなくそろったこともうれしかったな。
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野良カワバタモロコ Hemigrammocypris rasborella:やや婚姻色

2022-09-08 18:06:30 | 純淡水魚
2022年9月8日(木)

カワバタモロコ Hemigrammocypris rasborella

20220611 体長5cmほど

婚姻色が出はじめてる個体。

顛末はいずれ書くとして、あり得ない流域で採集されたもの。
誰かが飼育個体を意図的あるいは手違いで放流したとしか考えられない。
つまり野良猫ならぬ「野良カワバタモロコ」だ。
そのことを明らかにするために、遺伝子解析などたくさんの見識者さんの手を煩わせた。
もちろん関わった私たちも周辺の水系を何度も調べたりと労力を使った。

自然分布している他県では、絶滅危惧種指定されている希少種だから
処分するのもしのびないし、採集した数個体は知人が持ち帰って飼育していた。


その水槽内で、繁殖期の婚姻色が出はじめたということだ。
コイツら、末代まで知人の水槽から一歩たりとも出ていくことはできない定め。

絶滅危惧種だからといって、採集がすべての生息域で禁止されてるわけじゃない。
また、飼育していて最初は繁殖がスムーズだからと、近くの流域に放流するのが違反ではないこともある。
だからといって、それらの行為を「個人の自由だ、権利だ」と利己的に言うのもいかがなものだろう?
自由や権利には、必ず、人としての責任や義務がともなうものと、私は思うんだけどね。

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