私魚人(あいうおんちゅ)~定年親父の魚三昧:タナゴ仕掛けとガサで出会った魚たち~

50年続けた魚遊び。胴長ガサガサもしんどい。ならば釣りだ!野遊びだ!タナゴから珍魚・駄魚釣りへ!地元の生き物探しへ!

アカエビ Metapenaeopsis barbata :人知れず大貢献のエビ

2024-04-07 09:34:46 | 昆虫以外の節足動物
2024年4月7日(日)

アカエビ Metapenaeopsis barbata

20240331  5cmほど

底引き網漁の最終日、ミニ水族館を併設してる龍神丸さんにお礼を言いに出かけた。
何度もお邪魔して、水族館や売り物の魚介類の記録撮影をさせていただいたからだ。
店じまい寸前の青トロ箱に1尾、コイツが元気に泳いでいた。
笑いながらくださった。
最後の最後までやさしいお二方だ。

さて、この小さなエビ、広島の小さな駄菓子会社を日本の大企業へと成長させた立役者なのだ。


私の地域では、アカエビ・サルエビ・キシエビ・トラエビなど
底引き網漁で獲られる小エビたちをまとめて「ジャコエビ」と呼んでいる。
コイツらが「やめられない♪とまらない♬」のメロディーとともにカルビーを成長させたという訳だ。

「ジャコ」とはすなわち「雑魚・ざこ」のことだ。
「じゃこ天は貧乏くさい」と発言し咎められたどっかの知事さんもいた。
が、ジャコエビのことはよく知らなかったらしい。


クルマエビ科だから、模様や大きさ以外フォルムはよく似てる。
ただ、上部にある眼がより大きく、潜るより外敵からの逃避行動に長けてるのかもしれない。

さて、香川県へは下のチラシ配りやうどん食いのためだけに出かけたのではない。

観音寺市を中心に、このエビたちを使った「えび天」という安価なじゃこ天もどきがあったり
テッポウエビ類をからあげなどにして食べる地域特有の食文化があり、鮮魚市場を回りたかったからだ。

地元の生鮮魚類に強いスーパー鮮魚部でお話を聞いたが、テッポウエビ類は最近売ってないとのこと。
また、「えび天」「えび竹輪」はいくつか買ったが、撮影前に食ってしまった。
どっかの知事さんは、そんな私をもう「貧乏くさい」とは口が裂けても言わんだろうなあ。

白状すると、私も初日の2月10日にはコイツを邪険に撮影してて

「ま、適当でいいや」と思っていた。

ところが、帰宅後ネットで調べてみると・・・
アカエビという名は
ホッコクアカエビ(通称甘エビ)とか
クマエビ(通称アシアカ)とか
最近では、もはやクルマエビ科でもないアルゼンチンアカエビに使われてたりする。

だから、アカエビという和名を言ってもその正体を知らない人だらけだ。
エビせんべいの素材のエビというくらいで姿・形に関心もないだろう。

それは、ネット上の画像にもよく表れてて
「生きた画像がほぼほぼない!」のである。

小エビのかき揚げくらいは、日本に暮らす人たちの大半は食べたことがあるだろ?
えびせんべいくらいは手にしたことがあるだろ?
日頃、お世話になりながら、生きた姿を知らない・見たことがないというのは失礼の極みだと思うのである。

なので、じっとしてるとこと


腹肢を使って泳ごうとしてるとこを

あらためてしっかり撮っておくことにしたのだった。
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テナガテッポウエビ Alpheus japonicus :浜売りミニ水族館にて

2024-03-31 11:32:07 | 昆虫以外の節足動物
2024年3月31日(日)

テナガテッポウエビ Alpheus japonicus


20240210  40mmほど

横島の底引き網漁で採られたテッポウエビの1種
水深数十mほどの泥底に生息しているためか
今まで河口域の泥干潟などで見かけたことはない初見のテッポウエビ

鉗脚が相当長いことから「手長」という和名になったらしい
はさみの部分を急激に閉じて生じる強い衝撃波と音波で獲物をしとめることから「鉄砲のエビ」ということだ
飼育していてガラス水槽を割られたこともある

テッポウエビ類とハゼ類の共生は有名な話だが
コイツの場合、水揚げの様子からおそらくイトヒキハゼと共生しているようだ


潜って観察できればいいのだけれど、泥が舞うから相当むずかしいだろう
人はわずか数十mほどの距離(水深)にいる生き物のことがほぼわからないままなんだなあ

今日は、横島底引き網漁浜売りの今シーズン最終日
売り物にならない生き物たちを「ミニ水族館」に展示し続けてくださった「龍神丸」さんに会いに行かなくちゃ!
紹介しきれていない生き物たちも多いまま・・・
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ウロコナガコムシの1種 Lepidocampa sp.:陸のプランクトンたち

2024-03-04 10:06:48 | 昆虫以外の節足動物
2024年3月4日(月)

ウロコナガコムシの1種 Lepidocampa sp.

20240104   5mm弱

カニムシたち土壌生物に魅せられて、里山の山道をはずれ、砂留直下の落ち葉の堆積層を歩く。
ふんわり足元が包まれる。
落ち葉の下のリター層をひとつかみいれた100円ショップの金ザルを白バットの上でふるう。

夕日に光る5mmに満たない透明な生き物がスススと走る。
「コムシだっ! 図鑑で見たコムシだっ!」


眼は退化し、体は透明で消化管内容物が透けて見える。
地中生活に適応した進化をしたんだなあ。

コムシ目は昆虫類と同じ六脚類に含まれ、親戚すじにあたる連中。
国内には3科10数種が生息するとされているが、もっと研究が進めば種類は増えそうだ。
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ゼンマイヤドカリ Pagurus spiriger ?:底曳き漁ミニ水族館

2024-02-28 10:43:03 | 昆虫以外の節足動物
2024年2月28日(水)

ゼンマイヤドカリ Pagurus spiriger かな?

20240215  ツメタガイの殻径2cmほど

横島底引き網漁「龍神丸」の浜売りのミニ水族館(トロ箱)にいた。
カニ・エビの類はよく知らない。
しかも、底曳き漁だからたぶん初見のヤドカリ。
なので、一から調べないといけない。


しかも、画像だけ。
ほじくりだすわけにもいかない。
撮影後は、漁港へそっと逃がすのだから。


図書館から書籍・文献を借りてきて・・・

甲や脚に短毛が密生
第1脚は小さく、左右がほぼ等しい大きさ
第1~3脚には「うろこ状飾り」がある
宿貝はツメタガイ・トミガイなど

などの状況証拠から「ゼンマイヤドカリ」があやしいという結論に至ったのだが・・・
コイツが数十mの浅海の泥底でどんな生活をしてるのかはまったくわからなかった。
マリンアクアリウムのペットとして売られてるみたい。

はて? 5日前出会った違う巻貝を宿貝にしてたコイツは?

誰だ?
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トゲヤドリカニムシ Haplochernes boncicus かね?:樹上性のカニムシ

2024-02-10 10:40:54 | 昆虫以外の節足動物
2024年2月10日(土)

トゲヤドリカニムシ
Haplochernes boncicus
かね?

20240209  体長4mmほど

昨日、とある疑問解決のために渓谷沿いの山道散策。
はがれかけた杉の樹皮にコイツらがいることはすでに調べていて

これまで書いてきた土壌性カニムシとは、少々違う生活環をもっているらしく非常に面白い。

ま、情報過多の時代。
そんなことは「ネット上を自分で調べれば済む」ことなので省くとして・・・

コイツはその近くにある公園のプラタナスにもいて

ヤドリカニムシ科には数種いるのだが・・・
どちらも同じトゲヤドリカニムシみたいなのである。

杉の樹皮をやたらと剥ぐ行為は、マナーとして許されるものではないが
公園のプラタナスの今にも剥がれ落ちかけたカサブタみたいな樹皮ならば、剝がすのも少し気楽だ。
そこで成長段階を追うことにした。

1mmにも満たない半透明な若齢若虫と


何度か脱皮した若虫と


さらに色素が濃くなっている若虫を見つけた。

横から見ると、とっても平べったくて樹皮のすき間に見事に適応してる。
ニッチという生態学用語は、基本「生態系での地位」を示すのだが、最近は「生態系のすき間」という意味で使う人たちもいる。
いわゆる「すき間産業」ならぬ「すき間生物」としてのニッチを確立した連中なのである。

杉でもプラタナスでも
2mmほどのハイイロチビフサヤスデとか


1mmほどのコナチャタテの仲間とか

すばやいトビムシたちとかがいて、ソイツらを捕食してるんだろうなと思った。

で、冒頭の疑問についても、ほんの10分ほどで納得できるだけの情報を確認し、すっきり散策を続けたのであった。
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