
あぁ、どうして「おっさんずラブ」を普通に描いてくれないのだろう。。。
「~LOVE or DEAD~」という副題からして勝算はないと思っていたけど、TVドラマ版で楽しませてもらったファンとしては、御礼を兼ねて観ずにはいられなかった。結果、残念。「これじゃないんだよ」と何度も頭を抱える。
ドラマ版の1年後を描く。上海勤務を終えた春田が帰国、いつもの営業所に戻り、いつもの生活に戻るが、本社に戻った牧との同棲生活でスレ違いが生じるようになる。映画版として、沢村一樹、志尊淳が参加。部長を含めた3角関係に入り込み、男色祭りの様相を呈する。
それにしても、田中圭の体つきは今回も美しい。ナチュラルに隆起した上半身と、やたらと長い手足。嫉妬してしまう。自宅に帰ってすぐにランニングした。また、初登場の沢村一樹もかなり仕上げてきている。50代であの体だ。5人が一同に裸体で集結するサウナシーンは、屈指のサービスショット。
「BLモノのコメディ」として、オリジナルを楽しんだファンに向けた拡大版といえる。自分は性別間を超えた純愛ラブストーリーとして見ていたので、おおよそ受け入れがたい内容だった。「これが見たかったんでしょ」と言わんばかりの笑いを盛り、製作予算を不要なファンタジーに投下する。後半の展開は完全に不要。作り手が肩をブンブン回すほど、どんどんシラけていった。もしかしたら、テレビ版を知らない層に向けて作ったのかも。。。んなわけないか。
監督も脚本家も、オリジナルと同じ。なので、映画用に作り直したと思える。ハッピーエンドで終わった連続ドラマだ。同じ主要キャラを使って、新しい物語を作るのは難しい。新しいキャラを入れて、かき回すか、大きな事件を起こして派手な見せ場を作るか。想像しうる展開であり、本作もそのままだった。ある程度仕方ないにせよ、描くべきオリジナルの魅力がおざなりになっているのが気に入らない。
抑えられない恋の衝動と、相手を思いやるが故に自制する気持ちがせめぎあう。激しく揺れ動く感情の狭間にユーモアが発生する。最後まで貫かれた「純愛」というテーマ。絶妙なキャラクターが無駄なく配置され、笑いとシリアスな展開を彩る。映画版では、こうしたシーンはほぼ見当たらなかった。春田と牧の「変化」によるスレ違いは良い視点だったと思うが、そこを掘り下げず、装飾で膨らますことばかりに目をやる。クライマックスの春田と牧が真正面に対峙するシーン、あんなにバカバカしい舞台で見せてほしくなかったわ。部長こと、吉田鋼太郎は本作においてはコメディとしてしか作用してない。
鉄は熱いうちに打て、か。オリジナルの人気が冷めないうちに、製作して、興行的成功を目論むのはわかるが、その急ごしらえ感が映画に出てしまっている。脚本に割く時間を、製作予算でカバー。「映画」らしい作品にすることは、スケールを大きくするのが正解じゃない。ドラマ版のミニマムなスケールで十分だった。
【50点】
TVドラマ「おっさんずラブ」【感想】
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